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想いのカタチ

作者: ねこすい

 初めて彼と出会ったのは、初等部へ入学した頃です。綺麗な顔をした男の子、というのが第一印象でした。



 顔が整っていて、性格が良く、勉強も運動もでき、由緒ある家柄の子。

 こうも揃っていて、女の子たちが放っておくわけがありません。同級生のみならず、上級生、学年が上がってからは下級生までもが彼の周りに集まりました。


 彼は、周りに集まる人々に、優しく、丁寧に接しました。

 けれど時々、彼女たちに見えない場所で彼が浮かべる負の表情に、私は気付いてしまいました。

 嘲り、憎しみ、嫌悪。

 そういった感情を彼女たちに向けて浮かべていて。その時から私は、彼のために尽くすことを決心したのです。



 彼の嫌がるようなことは一切せず。

 彼が軽蔑しない程度に自分を磨き。

 彼の平穏のために、陰でひっそりと動き。



 そうして高等部に入った頃、彼が選んだのは。


 彼の忌み嫌うようなことを陰で平気でするような女の子でした。




 彼が幸せになれるのでしたら、誰と添い遂げようとも構いません。ですが、お互いに想い合い、必要とし合うことを望む彼と、全ての異性から特別扱いを受けることを望む彼女とでは、根本的に違うのです。

 彼女が相手では、彼は幸せになることは出来ません。勝手な判断かもしれませんが、少なくとも彼が望む形の「幸せ」は手に入らないでしょう。



 それならば。


 どんな手を使ってでも、たとえ彼に嫌われたとしても。


 私は、彼と彼女の仲を引き裂きましょう。




「君は、本当にそれでいいのかい?」

 友人が、綺麗な顔を歪めて私に尋ねます。

「はい」

 私は笑顔で答えました。



 私が相手では、彼は幸せになれないのです。


 彼が幸せになれるのであれば。


 私も、幸せです。



「ーーっ、バカな娘だ」

 友人は、力強く抱きしめてくれました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

初投稿でした。


活動報告にて裏設定のようなものを書いてみましたので、関心を持ってくださった方は覗いてみてくださいませ。(2015/04/15)

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