core03:レーザー防壁の中で
少しでも見やすくなるように修正しました。
暫く待っていたがネック博士のデータは殆ど消えてしまい成果無かったようだった。どんなデータがつまっているのかは僕には検討もつかなかった。マイクさんは装甲車の運転席にうなだれて上を向いたり落ち着かない感じだった。端末を渡して以来ずっとしゃべってない。
リナさんからは学校には電話しておいたからって言われたが僕は制服のままどうすればいいんだ。その後、装甲車をしばらく走らせると知らない町のマンションに到着していた。もう外は暗くおなかもすくのも忘れていた。
パイロットスーツを脱いで学校の制服に着替えてリラックスするつもりだったが逆に窮屈に感じる。コクピットのフィットして心地よい感覚がまだ忘れなかった。
このマンションも同じで黒いレーザー防壁で覆われておりいったん中に入ると外がまるで見えない。20階の一室に案内された。マイクさんは装甲車で寝泊りしているとの事で、僕とリナさんだけがマンションに入った。女性型アンドロイドのオペレーターはアイヴィー・ミドルと教えてくれたが装甲車を出る時に姿は見えなった。
リナさんが足を止める。2379とナンバーが書いてあるだけで名前も無い。重そうな二重ドアを開け中に入る。
「雪人君、おなかすいたでしょ。何か食べる?とは言っても私料理できないけどね」
冷蔵庫らしき物は無く部屋にはソファーだけで家具も照明も殆ど何もない。リナさんはクローゼットへと向かい山積みなった箱から手に取ったのは缶詰。『うまい肉テリヤキ味』もう食べるきも無くなるようなネーミングと中身だった。
でも香りがとてもよく気が抜けてしまったのか急におなかがすいてきたので、プラスチックのフォークであっという間に平らげてしまった。
リナさんは僕が食べ終わるのを見るとおそらくシャワーに向かった。どうしよう。特にする事もないし端末も返してもらってない。
今日の事を考える。しゃべるロボットだけど美しい声のローマン機。他に誰かが操作しているのだろうかテストプレーにしては不自然だった。本当にあのリアルな感覚はゲームなのだろうか。
部屋の隅に座り込み足を組む。これからどうなるんだろうか帰れるのだろうか。帰るって言っても誰も待っているワケではないし。父親だって殆どあっていない。
部屋の向こうからシャワーが終わった音、ドライヤーで髪を乾かす音が静かな部屋をさらに静けさに変える。リナさん以外誰も生活してないと証明するかのような時間だった。
「たくさん聞きたいことがあるかもしれないけど、明日もテストプレーしてもらうから。今日はシャワーはいって寝なさい」
「わかりました・・・・・・」
すべてが一方的過ぎた。逃げたくなって外を見るもレーザー防壁で夜空も見ることもできない。なぜだろういつも家のソファーから見る景色とまったく変わらないのに。
レーザー防壁は暗く冷たくとても大きく感じた・・・・・・。
「ごめんね・・・・・・」
隣からいい香りがする。すごく近くにいるのがわかったが、僕は膝を抱え込んで座ったまま目を瞑って下を向いてしまった。顔を見上げたいけど恥ずかしくなってしまった。女性と二人きりでいるのは初めてだったし、頭をぽんってなでられると足音が遠ざかり隣の部屋の扉が閉まるのがわかった。
変な期待をしてしまって少し恥ずかしい・・・・・・。だまってシャワーに入る事にした。お湯との温度差が自分の体温を知らせてくれる。生きている。明日もまたあのコクピットに入るのだろうか、シャワーから出たあと僕は床に寝そべって薄暗い部屋の中、壁を見ていた。