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core07:刻を止める鳥Ⅱ


「-私は紅音、こいつは暮葉雪人よ。本命をたたき潰すからじゃまするんじゃないってーの-」


「-超大型コアを倒したロシアの氷の雷帝か!?-」


 色々と間違っているので紅音も僕もイラっとした。しかし恐怖は一瞬の間の出来事だった。赤く不気味に光るレーザーのフラッシュが神経を伝わらず脳を直接刺激した。


 強引にレーザーを避ける為に機体が斜めになる。僕は思わず力んでしまい操縦桿の視界切り替えスイッチで視界を後方やってしまった。機体がアンバランスになり体の一部が道路のアスファルトをえぐり巻き上げる。


「どこみてんだってーの!」


 直ぐに視界を正面に戻すとガタガタを揺れながら必死に十字路でターンし大量の家の塀にぶつかり破壊した。こうなると視界をまた背後にしなくては!


「次で右に曲がるからそのまま正面向いていろっつーの!」


 ものすごい遠心力で体がコクピット内の反対側にめり込む。シートベルトがきつく締まりガタガタと揺れて食い込む。股が痛い!


「紅音!スピード出しすぎだよ!股が痛い!」


「はぁあああああああああ!?アンタなに言ってくれてんのよ!」


 すると視界には人型のアップ映像が見えたが一瞬だったので右下に記録した映像が映し出された。人型だけど飛んでいて背中には翼!?


「何なのよこれ!?アタシたちの真似!?もう、あったま来た!」


 激しい振動でもHMDはぐら付かず黒い翼のコアの映像は目に焼きついた。身長は2mは無いだろう、翼も小さく紅音と同じようなサイズで背中のコアから赤い帯を引いた姿だった。


 右手の形が剣の様に突き出しており恐らくあそこから放たれたレーザーが輸送機を撃墜したんだろう。警戒しなくてはいけない。


「-こちらレンドルフ隊、隊長グリッツだあの敵はこちらの獲物だ。アギルギアの無いお前たちには辞退してもらおうか。ここからは軍人の領域だ-」


「軍人?はぁ、残念だけど。生き残るには早い者勝ちってエイブラムスから聞いているから」


「あ、紅音、勝手に大統領の名前出しちゃ駄目だよ」


 目を離した瞬間だった。常に時速40kmを維持していたのに空中で静止続けるやつの右手からレーザーが放たれたと認識した。だけど遅かった。左肩をレーザーがかすった後、続けて二発目がレンドルフ隊の数名を蒸発させた。赤い霧だった・・・・・・。


「紅音!」


 無理やり旋回させた為バランスを失う。僕はシートベルトに固定されていても傾いたジャガーノートの機体に激しくぶつかる。木々もなぎ倒し更に視界を遮る。強引に左手を地面に叩きつけて身体を起こした。


「ふざけんなってーの!ノーモーションで撃ってくるなんて!行くわよ!」


 ジャガーノートにはFLDのようなコアのマークが無いので常に目視での確認しかない。ロックオンマーカーやレーダーも独特だけどアイコンはシンプルだ。でも今はそんな事を考えてはいられない。


 狭い道路をジグザグに動く。僕の全身にシートベルトが食い込み左右に揺れるけど、右手の感覚だけに集中した。そう人差し指だけでいいんだ。


 翼の人型コアの下を通過する!視界を後方に切り替える。ロックオンマークは要らない。

「ぶちぬけぇええ!雪人!」


 さあ翼を動かせ君の向かう先に弾を送り込むだけだ。狙っては当たらない。先読みだ。空気が歪み半分ほどしかない視界の中、0.1秒ほどだった。にらみ合いが続く。


 しかし動く様子が無く敵を動かす為に一発を正面に打ち込んだ。回避するんだ。シールドを出したって僕は驚かない。右手がかすかに動いた。弾を打ち消す気か!?駄目だ「回避」という言葉を紅音に伝えるのに時間がかかり過ぎる。いつもなら意識をあわせるだけなのに。


 動け!すでに僕の人差し指は二発目のトリガーを引いていた。だけど弾が発射されるまでのタイムラグ、この0.5秒ほどがもどかしい。


「うぉおおおお!後で必ず!ぶったたく!」


 紅音が二発目のトリガーに反応してくれた!大きな機体がジャンプする。赤いレーザーは1発の弾丸を消しながら僕たちの下を直撃した。


 二発目の弾丸が敵を動かす。凄いスピードで数百メートル上昇した・・・・・・。アレでは当てるのは不可能だ。僕たちの機体はドン!と音が鳴って着地しガタガタと激しく揺れる。20m程ジャンプした結果だった。すると端末から音声通信が!


「-おい!紅音!雪人!3.5世代機を持ってきた!200m先の坂を下れ!装甲車の中でアギルギアに換装する。ファウストとシュツカートが投下されたが、たぶん二人でも厳しい!」


「遅いってーの!援護しながら下るわよ!」


「分かった!行こう!」


 上空を見ると、二つの光が流れ星のように高速で落下してきた。その中でも力強く加速する!二つの翼!端末越しに直接声が聞こえる。


「-本当に君はその目で確かめないと気がすまないのだな-」


「-うあああ、アレって本当に私達みたい。いやだなぁ。あ、ユッキー久しぶり!-」


ユッキー・・・・・・。リナさんだな。


「アンタ達アレ、アタシの獲物だから、それに私の奴隷に馴れ馴れしくしないでくれる!?」


 って奴隷って!ジャガーノートを最高速まで加速する。常に黒い翼のコアを視界に入れながら。ありったけの弾丸を連射(フルオート)で撃ち込む。レンドルフ隊はもう2人しか居ない。カウンターで来たレーザーによってライフルが壊された。


それと同時に二人がダイブストリームを仕掛けた!翼が開く!


「-アンリ!私に愛をちょーだい!光を生み出せ!黒蝶ダリア!この永遠の翼で!!-」


「-二人が付けてくれた翼の名!今もう一度叫ぼう!世界中に力を!!撃ち放て!勇気の翼!!-」


 二つのクリムゾンレッドに光る翼が形を目で追えないほどに加速し、その背中の光の線がうねる。そして二人は黒い翼とすれ違い地面に激突するように激しく着地した。僕たちは見入っている余裕も無く崖を下ると装甲車が見えた。


どうだったのだろうか・・・・・・。


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