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core27:超大型戦Ⅰ

>読みやすくしました

 FLDに超大型の移動ルートが表示された、その行き先は僕達の後ろのパリ。ここで待機し待ち伏せとなる。


「-カーン基地を放棄しました。イギリス本土からの新型弾道ミサイル攻撃は失敗しましたが攻撃パターンを確認しました。小中レーザー数千、超大型レーザーを隠している可能性あり。メインコアは依然不明です。敵上部シールドは守りが厚い状態です。レーザー及びシールド位置、攻撃パターンをダウンロード中です。現在の相性は85%です-」


「-雪人君、今ニューアメリカ艦隊から作戦が伝えられたわ。FLDに表示されているルート通りやつはパリに向かっているの、私達はパリ手前の地下で待機し待ち伏せよ。イギリスから新型弾道ミサイルの超高温爆撃で敵の注意をそらした後、地上に出て大量に沸いているタイタンを撃破、1分後にミサイルの効果がなくなるからひたすら回避よ。後は上空のドイツ機に任せるわ。地上にもドイツの量産型がタイタンを引き受けるから巻き添えを食らわないようにね-」


「了解です」


 足を引っ張らないようにしなくちゃ。アイヴィーからの指示通りに地下を探すがどこも入り口が破壊されており、タイタンが居る為いけない場所もあった。このままではミサイルに焼かれてしまう。再びリナさんから慌てて連絡が入る。


「-まずいわ。予定より敵の移動スピードが上がっている。みんなパリへ退避するから輸送ポッドに乗って頂戴-


「-お姉様時間がありません、付いてきてください!-」


 慌てて輸送ポッドまで低空移動する。みんな焦っていた。雷花がみんなを先導し高速移動する。とてつもなく早いから今にでも見失いそうだった。なんとか2機の輸送ポッドが待機している所まで到着し輸送ポッドへ乗り込みパリへ出発した。


 タイタンに気づかれないように遠回りだったが10分ほどでパリの手前まで到着した。しかし10メートル以上のタイタンの数が多くなる。飛行型、クモ型そして人型も大量に居る為に迂闊に高速移動が出来ない。ディオーネから通信がきた。


「-やられたわ、私達完全に囮ね。ミサイルの後はここの建物が瓦礫と化して逃げ道がなくなるわよ。地上に出たらただの的。ドイツ機が来るまで必死に逃げろというの?-」


リナさんからローマンを通してディオーネに通信する。


「-確かにそうだけど、一番最初にやつに近づけるのは私達だけよ。カーンの時の弾道ミサイル攻撃の後はスキがあったけど、誰も近くに居なくそれどころか敵の警戒が最高潮の時に突っ込んで壊滅状態だったそうよ。それにアメリカの超大型を撃破したのは地下に潜んでいた小型核兵器を持った第1世代の海兵隊よ-」


まだ徒歩で地下鉄の入り口を探している最中だった。雷花からも不満がもれる。


「-確かにそれは有名なお話なんですが、最後は核兵器で海兵隊全滅ですし・・・・・・-」


 イギリスからの弾道ミサイルが発射されて数分がたった。FLDに着弾ポイントが表示されこのまま地上に居れば焼かれてしまう。


「-現在のポイントではタイタンに囲まれてしまいます。弾道ミサイルは手前から爆発していくので初弾が着弾後一斉に地下へ退避してください。それぞれの地下へのポイントを表示します-」


 みんな分散するように配置された。地下に潜り込んでしまうと通信が出来なくなってしまう。パイロットと通信が暫くされないと移動は出来るが攻撃が出来ない。僕達は一番近い地下ルートだった。


「-お姉様、始まります。どうかご無事で-」


 雷花は一番遠いルートだったが自身に満ち溢れていた。とてもその背中は大きく映り輝いていた。みんなのエンジン音が強い意思と共に鳴り響く。


「-雷花。いつも私の前を進み振り返ること無くその翼で私を信じてくれました。この機体がここまで来れたのは雷花のお陰でもあります。妹よ。必ず明日も明後日も一緒に羽ばたきましょう-」


「-お姉様、約束ですよ-」


 雷花の笑顔、そして赤い瞳に明日と一緒に羽ばたく翼の光が反射した。迫りくるミサイルの線がFLDに表示される。それは地球上の物質で作られた人間を殺す為の兵器、そして今度は地球で生き残る為の力強い兵器となった。上空を新型弾道ミサイルが僕達を追い越したのが分かった。後ろから閃光、衝撃波そして最後に爆音が聞こえた。


「必ず戻って見せる!!」


 目の前は強烈な光で見えず、視界を白と黒に切り替えて最小限の情報だけで一気に突っ走った。雷花やディオーネのエンジン音も聞こえない程に音を最小限にした。FLDの爆発危険サークル内に入ってしまう。どんなに走っても脱出できない。アラートが頭の中で反響する!


「-こんな所で、倒れることは出来ません!雪人さん!-」


 ローマンが目を瞑った。アースローミングをいつの間にか地下鉄の入り口に当てていて、前が見えなくともFLDには完璧にマップが作成されていた。僕はそのマップのルート通りに全力で身体を支えた。無謀過ぎたけどいつだってギリギリでやってきたんだ!


しかし背中に衝撃が走る。爆風を食らってしまったんだ!


「あああっぁあ!ローマン!」


 地下に入ったが吹き飛ばされ階段に激しく打ちつけながら奥まで落ちてしまった。すると目の前が真っ暗になる。通信が切断されたのか。


「-通信が切断されました。現在検索中です。作戦が開始されました。全ての新型弾道ミサイルが展開されました、戦闘に戻ってください。通信が切断されました。現在検索中です・・・・・・-」


まずい、まずい、まずい。戦闘どころかローマンを見失ってしまった。感覚よ早くもどれ!こんな所で躓いている分けには行かないんだ!


『そのまま待機してください。お姉様を支えてください』


 雷花が戻ってきてくれたんだ、真っ暗なFLDには雷花のルートが表示されている。ぐっと拳に力を入れる。仲間が居るんだ。大切なローマンの家族だ。徐々に足に力が戻ってくる。この感覚は僕の足じゃない世界中を翔る足、この手は誰かを支える手、この背中は誰かを守る為に羽ばたく翼!


「こんな時でも僕は飛びたいと思う、皆が居るからだから独りにはなりたくないんだ。僕達の空を返してもうぞ!」


「-雪人さん!了解です!妹に助けてもらってばっかりでは姉が務まりません、行きます!-」


 雷花に担がれていた身体を今度は僕が支える。再び視界が重なる。紫の稲妻と共に雷花がタイタンへ突っ込む。出遅れないように僕たちは別のタイタンに接近した。


 あいつらはこちらに気づいておらず、空中で爆発し続ける新型弾道ミサイルの光を見ていた。背後に着くように回り込む。新型弾道ミサイルの残り時間がどんどん減っていく。急がなくては!


だが巨大な影が絶望という風、恐怖という闇で僕達の小鳥のような翼を狂わせた。


「-超大型が接近しています。タイタンを撃破後に直ぐに後退してください。現在の相性は80%です-」


「-ローマンちゃん、雷花ちゃん、ささっとこいつら撃破して後退するわよ。後ろからドイツの量産型が来ているわ、もたもたしていると巻き込まれるわよ-」


 ディオーネが皆の士気を落とすまいとエンジンに力を入れながら見える位置に立った、しかしその巨大で不気味な影はエンジン音やその排熱さえも奪っていく程に恐ろしかった。長時間は戦えない完全に闇に飲み込まれる前に、一体でも多くタイタンを撃破しないと。


「-回避ルート検索中です、ルート上のタイタンを1体を撃破してください。目標まで200mです。現在の相性は85%です-」


 周りが殆ど見えなかった。生きた心地がしなかった。逃げ場の無い瓦礫と化した町を高速移動しているとミサイルで倒したのだろうかタイタン以外の敵は居ないが、どこを見渡してもタイタンだらけ。しかしどのタイタンも身体を破壊したせいか形が変わっており、動きが鈍かった。メインコアの位置も分かる。今ならやれる・・・・・・。


「-目標タイタンまで30メートル、メインコアを頭部に確認。速やかに撃破してください。現在の相性は86%です-」


 右足から思いっきり踏み込んでジャンプした。こちらにタイタンが気づく、頭部の赤い不気味なコアから光が放たれようとする、FLD上のロックオンマークは完全にメインコアを捕らえていた。そのライン上にシールドコアも発見した。


 考える必要は無かった。トリガーを引くとスマートパルスライフルから発射された青い閃光が敵レーザーが放たれる前に着弾した。防がれるのは当然の事で身体をひねりレーザーをかわす。


 ローマンのエンジンが強い意志と共に背中を押してくれるから、高速移動中でも次の事を考えられる!右手のスマートパルスライフルを突き出して、ローマンが答えてくれた。人差し指が重なり僕がトリガーを引く。銃口はすでにタイタンの頭部に密着していた。青い稲妻が目の前に光りをもたらす。一瞬で頭のメインコアを砕き僕達はそのまま地面へと着地した。


「-タイタン、メインコア撃破を確認。回避ポイントへ移動しドイツ機に参戦してください。現在の相性は87%です-」


「駄目だ、皆とはぐれてしまった。合流は無理だ。このまま踏ん張ろう」


「-了解です!-」


 FLD上に大量の味方のマークが出てきた。どんどん近づいてくる。同時にまた新型弾道ミサイルが発射された。その目指す先は超大型。それはとてつもなく巨大な影、いや浮遊している町だろうか、不気味な赤い大量の光をゆらゆらとさせながら今にでも爆発しそうなくらいにうごめいていた。


 地上の量産型のドイツ機が少しずつ視界に入る。地上専用だろうかエンジンは小さそうで小柄な黒い機体、どこかシュツカートに似ていた。


「-アイヴィーこちらの状況はドイツ機には正確に伝わっている?-」


 リナさんが不安そうに確認していた、どうしてだろうかかなり焦っている。その答えがすぐに分かった。FLD上に僕たちを無視してタイタンを攻撃するルートになっている。まずい!避けなければと後先考えず垂直にジャンプした!


 僕達の下を数え切れない程の弾幕が通過していく、だがそれ以上の量のレーザーの反撃があった。しかし彼女達はまったく怯まず前進をやめない。


「さがれ!さがるんだ。まずは回避してメインコアの表示のある敵から撃破しないと!」

 僕たちもすぐに参戦するけど応答が無い。これではもっとも有効な同時攻撃が出来じゃないか、黒く小さな機体がどんどん倒されていく。どうしてこんな事に。ローマンが倒れた機体に近づいた。レーザーで身体半分が消し飛んでいるじゃないか・・・・・・。やさしく包み込むように抱き上げた。


「-すぐに救助ポッドを呼びます、下がりましょう-」


 この地獄の戦場でもローマンは優しく美しい声で耳元でささやいた。しかしドイツ機からの応答は僕たちの翼を揺るがした。


「-私は0088M、ドイツの量産型第四世代です。作戦続行不能の為、タイタンが近づき次第自爆します-」


「何を言っているんだ!パイロットと話をさせてくれ!」


思わず怒鳴ってしまった。そんな事をパイロットが許すわけが無い。


「自爆なんかさせない、僕たちが救助ポッドまで運ぶ、それまで切断しないであげて手を握ってよ」


「-はぁ?何マジになってんだ、ゲームごときに-」


 まさかこの大量の機体は全部ゲームだと思っているのか?ふざけるな、みんな命が在るんだぞ!抱きかかえた機体の赤い目は黒くなり、やがて鼓動と言うエンジンが動かなくなってしまった。まだまだ増援がくる、我とぞ先にタイタンに近づき倒していく。だが大量に死んでいく。その巨大な影の中に名も無き命が同じ色に染まっていく・・・・・・。


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