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core26:休息の流れ星Ⅱ

>読みやすいようにしました。

 そして月を見る。必ず皆を守ると日本で決めた覚悟の月明かりが僕へと戻ってくる。僕の心は揺らいではいない。幸せを望む希望の光は真っ直ぐ誰かへと届くんだ。装甲車の中に入るとリナさんからドリンクを受け取った。


「この基地には人が居なく食料は無いから、このドリンク飲む?美味しくないけど。1日はおなかすかないわよ」


 これは「栄養いっぱい、お腹いっぱい、元気いっぱい」と書いてある、バーガードリンクだった。過去に一度だけ飲んで二度と飲まないと誓ったものだった。でもここには人が居なくて食べ物だって無い。仕方ない。みんなで飲もうと言って3人一緒に飲んだ。


「うげええ・・・・・・。日本に帰ったら必ず美味しいものを食べましょう」


「まさかここまで不味いとは、戻ったらリナ特製ハンバーグカレー3を作ってあげるわ」


「そうか、食事なんて面倒だし俺はよく飲んでんだぜ!やっぱバーガードリンクだぜ!」


 といいながらマイクさんは更に2本飲んだ。必ず3日あけて飲んでくださいと注意書きがあるのに。パイロットスーツは青。フル装備のを着てコクピットの中で寝る。世界の中心に居るような気がした。目の前を見続けてどれくらい時間が経っただろうか。なかなか寝付けなった。



 周りの雑音が聞こえない。温度も匂いも感じない。接続していないのに。繋がっている時の感覚だ・・・・・・。何だろうかこの感覚は。コクピットのドアが開いたのだろうか、光が見える。そう、この感覚は・・・・・・。白い少女だ。


「ここはあなたのゴール、そう出会ってしまった。本当に救えるかしら」


 少女は暗闇に飲み込まれるかのように消えていった。僕だけが取り残されて真っ暗になった。目の前にはFLDに目的が表示されている?だけど何も聞こえない。頭が重く痛い。なんて表示されているんだ・・・・・・。


目標:超大型2000メートル級、低空飛行タイプ、イギリス海峡側カーン周辺に出現。大量のタイタンが出現


「-正気に戻って!雪人君!目を覚まして!おねがい!-」


 リナさんの叫び声が遠くから聞こえてくる。無理やり力を入れようとするも逆に凄い力で押さえつけられた。違うこうじゃない。どうしてだ。動けない。ミシミシと音だけが聞こえてきた。それは自分の右腕。いやこれはローマンの右腕だった。


「-ようやく、戻ってこられましたね。雪人さん-」


 僕はローマンの右手でローマンの顔を握りつぶそうとしていた。ローマンが左手でそれを必死に押さえつけていた。またやってしまった。


「-大丈夫です、損傷はありません。雷花が待っています。第2輸送ポッド隊として、接近します-」


 心臓の鼓動が呼吸を押さえつけるかのように激しく音を立てる。そのせいで息苦しく正気を保てなくなる。それはローマンも一緒だった。落ち着かなきゃ。FLDの心拍数が異常値まで上がっているのがはっきりと見える。これは受け入れるしかない。始まったんだから。


「-超大型まで、輸送ポッドで向かいます。1時間で到着。現在の相性は80%です-」


テントを出ると大量の輸送ポッドがカーンへと向かっていた。


「-今一番近いのは、ニューアメリカ艦隊に居る紅音だけど、これからイギリス本土から牽制用の新型弾道ミサイル攻撃を行うわ。近づいたら灰も残らない。今はローマンで近づいて様子見よ。アメリカのとは形状が違うから攻撃パターンが予想できないそうよ-」


 すぐにルート通りの輸送ポッドに乗る。10機の輸送ポッドで編成を組んだが、雷花は別のポッドだった。僕達の乗った輸送ポッドには知っている人は居なった。祈りを捧げたりまったく動かなかったり。それぞれだった。


 無言のまま輸送機は地獄へと向かっていく。シャトー基地を出発して30分を過ぎた、パリはすでに越えており目的地カーンまで30分だ。すると輸送ポッドから小さなアラートがなる。


「-突然変種のタイタン型、60メートル級、未確認タイプです。輸送ポッドから退避してください。現在の相性は-」


 しかし遅かった。すさまじい衝撃で目の前が明るくなり平衡感覚が働く、すぐに撃墜されたと分かった。機体が回転している。アラートが響き次第に輸送ポッドのドアが強制的に開いて外に投げ出された。体がきりもみ状態に吹っ飛んでいくのが分かったが、視界の先には何機も輸送ポッドが撃墜されて炎と黒煙を纏いながら落ちていく。


「体制を立て直す!着地地点を決めるんだ!」


「-軌道修正します!雪人さん反撃準備を!-」


 凄いスピードで落下していくがローマンが体制を立て直す。冷たい空気のお陰で冷静さを取り戻した。手が震えるが右手に握り締めたスマートパルスライフルが戦えると教えてくれた。その巨大なタイタンは手当たり次第大量のレーザーを絶え間なく撃っていた。みんな反撃するがシールドで防がれてる。アイヴィーから何度も通信が入る。


「-第1、2輸送ポッド隊で突然変種タイタンを撃破します。他の輸送ポッド隊を別ルートでカーンに向かわせますので援護してください。現在の相性は82%です-」


 何とか身体をコントロールして建物の上に着地した。するとカーンの方向から強烈な光が見えた。まるで太陽のような明るさだった。おそらくミサイル攻撃なんだろう。ローマンが首を横に振る、そうだ見入っている場合じゃない。


「-この状況はみんな完全に混乱しています、地上に雷花が居ます。雷花と組みます!-」


「-了解です、お姉様!こいつジャミングワイヤーも出しているので、高度を注意してくださいませ!-」


 ローマンが視界にジャミングワイヤーの位置を見せてくれた。高い位置にあるので、低い建物を選んで雷花と一緒に回りこむように後ろから近づいていく。他の機体もだんだんとこの状況の戦いに慣れてきたようだ。


 僕達に合わせて高速移動で特殊タイタンを囲むように動く機体が居た。あれはイタリアの蹄鉄の翼ディオーネ!正面の3つの中型レーザーを引き付けてくれている。


 ジャミングワイヤーの下に入り機体同士での通信が悪い。パイロット同士の通信を行いたいが今フランスの前線の基地に居る僕は通信はしないように言われていた。


「-コアシールドが背面に30、前面40、全体の小レーザーが50、中レーザー3、メインコア確認できません。現在の相性は84%です-」


 10機以上で取り囲んでいるのにメインコアが分からない。それどころか3人落とされた。救助に向かいたいが今は出来ない。やつを倒さないと修理ポッドも呼べない。


「-お姉様!これでは消耗して戦えなくなります。一旦接近してメインコアを探します。援護してください-」


「-まかせなさい!その美しい翼を持つ妹よ!-」


 特殊タイタンを中心に円を描くように囲んで高速移動していたが雷花が一気に直角に曲がり背後から突っ込む。それにあわせて反対側のディオーネからの通信が聞こえた。


「-おおお!すべてを踏み荒らせ!蹄鉄の翼あぁぁああ!-」


 反対側でマシンガンとミサイルの一斉掃射によって閃光の後に爆音が鳴り響く、その中にまぎれてレールガンによって放たれた青い弾丸がシールドに防がれること無く巨体を貫通していく。


 特殊タイタンがよろめく。一気に背後の攻撃が薄くなった。当然のように正面へレーザーの猛攻が強くなる。決定的な隙を雷花が見逃さなかった。雷花は特殊タイタンの巨大な足めがけて加速した。


「雷花!援護する!」


 反対側の足にスマートパルスライフルと打ち込むがシールドで防がれる。だがそれは予想済み。今度は僕達が標的になったので急上昇と急降下をしてレザーの雨を引き受けた。


 雷花が敵の足に密着してトンファー型の武器の先端が爆発して強力な一撃をヒットさせた。特殊タイタンが少しだけ傾くが足元の雷花めがけて攻撃しようとした。FLD上のみんなのロックオンマークが共有されて雷花に攻撃が行かないように上部へと集中砲火をする。雷花は臆することなく、更に加速した!


「-お姉様!私の翼見てください!これが私の翼!明日と共に咲け!紫電の翼!-」


 雷花の複数のエンジンから赤い炎の翼が噴出す、そのエンジンから散った炎の花びらが青い機体に触れ、紫の翼に見えた。超高速で連続で敵の足に攻撃を仕掛ける。両手のトンファーが何度も爆発し敵の足が崩れていき傾いていく。この60メートルもある巨大な体が膝を付いて倒れこんだ。


「-メインコア頭部に発見しまた。しかしレーザーコアとシールドコアが複数あり接近は危険です。現在の相性は85%です-」


 ディオーネと雷花はもうすぐスタミナ切れになる。ここは僕達が行くしかない。一旦地面に着地し翼の息継ぎをする。機体の先端から羽までへと風が抜けていく。呼吸を取り戻して背後から頭部めがけてジャンプした。失敗のイメージが無かった。


 特殊タイタンが立ち上がりながら背中から手のようなものが生えてきて、僕達を叩きつぶそうとした。その強烈で巨大な拳はローマンの頭をかすめた。増えた腕にもコアが付いている。それでも恐れずに背中に乗っかり、アンチマテリアルナイフをアンカーにつけ、頭めがけて射出した。


「あたれええええ!」


 その黒く硬い身体に綺麗につき刺さる。そして後頭部目掛けて加速し急接近した。ローマンは攻撃の事は何も考えずに高速移動を続ける。背中の腕から大量のレーザーが放たれたが突き刺したアンカーを引っ張り軌道を変えながら、さらに近づいていく。アンカーが刺さった一箇所だけがコアが無くスキだらけだった。ローマンも気づく。僕達が見逃すわけが無い。ショルダーキャノンのロックオンマーカーが完全な赤となる。


「「吹き飛べえぇえええええ!」」


 ローマンと一緒に叫ぶ!青い強烈な光の弾がシールドの間を抜けて頭部へめり込んでいく。僕達は後ろに切り替えして加速させて精一杯退避した。特殊タイタンのメインコアに直撃して散っていった。勝ったんだ。特殊タイタンの巨大な体が崩壊していく。


「-さすが私のお姉様!やりましたね!-」


『ランスポーツであった時より、成長しているわね』


 ディオーネが離れた場所から両手を振ってメッセージをくれた。辺りは煙と瓦礫まみれになっており、みんな建物の屋上に上がっていた。他の人たちは大丈夫なのだろうか。


「-目標撃破しました。再度チーム編成し超大型へ向かってください、現在ルートを修正中です。現在の相性は85%です-」


 FLDのレーダーで他の機体を探すも見当たらない。残ったのは僕達含めて13人か。7人が倒された・・・・・・。修理ポッドは手配されていない。こんなにも簡単に死んでしまうのか。パイロットはいったいどんな気持ちなんだろうか。


 想像も出来なかった。誰も失いたくない。絶対にだ。恐怖から視界が霞み周りの音が聞こえなくなってきた。ローマンの感情がこの光景を受け入れていくようにとささやく。


「-とてもやさしいのですね。雪人さんと紅音と皆と一緒に帰るまでは倒れませんから。私の翼を支えてください-」


「ありがとう、ローマン・・・・・・」



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