core19:フランス合同投下訓練Ⅱ
>読みやすいようにしました。
冷静な指示が来る。ようは飛行型と戦えば目的としては問題ないんだ。飛行型を常に視界に入れながら破壊された建物の下を探す。しかし瓦礫によってメセルを見つける事は出来なかった。まさか敵によってメセルの位置を教えてもらうことになるとは思わなかった。上空の飛行型から赤いレーザーが道路に向かって発射された。
おそらく目標に直撃したんだろうか爆発音が鳴り響いた。その辺りを注意深く見ると、左手の無いメセルが倒れこんでいた。
「-メセルを発見しました!ジャミングワイヤーの影響でレーダーが使えません、この距離では飛行型にレーダーを使わず狙撃は難しいです-」
「だけど、早く助けに行かなくちゃ!」
ただ待っているわけには行かない。エンジンもやられてしまったのだろうか、這って逃げるメセルを指をくわえて見るだけだった。こんなのは僕には無理だ。助けに行く。
「-駄目よ!-」
リナさんが叫ぶ、僕は無視をして思いっきりジャンプし近くの建物の屋上へと移動した。あの建物まで一回のジャンプでいけるな。助走をつける為に一旦下がった。ローマンは同意してくれるだろうか。僕の勝手な行動がローマンの命を危険に晒させている。
「-雪人さん、あの子もまた私の家族です。ありがとうございます。行きましょう!-」
ローマンからの愛しさで心が温かくなる。感情が流れ込んできた。どんどん気持ちが高ぶる。絶対に助けると二人の気持ちが一致する。メセルが居た崩れた高い建物目掛けて思いっきりジャンプすると飛行型はこちらに気づきレーザーを撃って来た。おそらく待っていたんだろうか、こっちしか見てない。
レーザーを最小限でかわす。飛行型との距離が近づき右手のスマートパルスライフルを構え、相手の動きを予測するんだ。かすかに飛行型が傾き左に旋回しようとするのが分かった。
ジャンプしながらロックオンせずに銃口を少しずらす、先読みしてスマートパルスライフルのトリガーを僕が引く。命中したか確認せずそのままメセルの居る建物に無事着地した。何とかジャミングワイヤーをくぐってこれたが、どうやらこちらの弾も当たっていなかったようだった。
すかさずローマンが建物の一番上の崩れてむき出しになった壁に向かってアースローミングを右手から打ち込んだ。
「-アースローミング投射、エコー-」
下の道路はまだ煙で見えないが、ローマンによって放たれたアースローミングによって一度だけメセルの位置が分かる、損傷が激しいのだろうか数メートルしか移動してないようだった。ジャミングワイヤーに囲まれているせいか視界が荒くなってきた。
するとリナさんからメッセージが入った。
『2分後にその建物上に修理ポッドが到着する。』
その間にあいつを倒して救助すればいいんだな。リナさん有難う、ローマンの右上腕が一番濃いジャミングワイヤーの場所へ向いた。
「-バレルバーストを使用します。通信が良くなりますので一気に救助へ向かいます-」
「必ず助けよう!ローマンの家族は、僕にだって家族なんだ!」
右手から爆発と同時にオレンジの強烈な閃光が走った。雷花が見せた時のとは次元が違う大爆発だった。すると通信が少し良くなりレーダーでメセルを確認できた。時間が無いので一気に降下する。飛行型も急降下して追ってきた。背後からレーザーが襲ってくるが、何とか一発ずつ回避した。
反撃したいが先ほど居た唯一の高い建物を破壊する事は出来ない。地面に降りメセルまで走ろうとするが再びジャミングワイヤーの色が濃くなってきた。機体にも付着しているようだ。
しかしもう止まれない、背後から飛行型が低空飛行で近づいてくる。追いつかれる!
「ローマン、アンカーでメセルを捕まえられないか?」
「-可能ですが、手加減できません!-」
迷っている暇はない。パイロットとの通信は殆どつながっていないだろう、孤独に酷く損傷した身体を引きずっている。今すぐに助けなければ。
「アンカーで足を打ち抜く!レーザーをかわして!」
「-レーザーは任せてください!メセルをお願いします!!-」
左手のアンカーに集中する。レーダーが使えないのでロックオンできない。走る事は忘れ助ける事だけに集中する。アラートがなり背後からレーザーが放たれた。今だ!
「メセル!今助ける!」
数メートル先でアンカーがメセルの左足を貫通しロックが掛かり、思いっきり引っ張り上げた。ローマンが身体をロールさせレーザーを避ける。続いて僕は左肩のショルダーキャノンに全神経を集中させた。まだ視界にはメセルがアンカーにひっぱられて宙を舞っている。
反転し接近する飛行型を完全に捕らえた。このままぶち抜いてやる!ショルダーキャノンを撃ち込んだ。飛行型が急上昇し回避しようと身体を傾けるが、その先にはショルダーキャノンから放たれた青い閃光弾がまっている。逃がしはしない。
「「あたれええええぇ!!!」」
ローマンと一緒に叫んだ。青い閃光が飛行型のメインコアに直撃し爆発が辺りを襲う。爆風と煙の中メセルを抱きかかえて最初の高い建物まで直行した。メセルの右手がローマンの肩に触れた。
「-雪人さんにローマンさん、ありがとうございます-」
か弱い声で精一杯の通信が来た。助けるとローマンに約束したんだ。本当に良かった。何とか建物の上に到着すると上空には修理ポッドが大気していた。
すると修理ポッドの下から大量の赤いフレアを放ちジャミングワイヤーを焼き払う。僕達の目の前までホバリングで近づき背後のハッチが開いた。メセルを抱きかかえて修理ポッドに飛び乗った。ぼろぼろになったメセルがローマンの右手を握ってゆっくり話した。
「-ランスポーツを見ていました。美しく華麗に舞う姿は量産型の私には天使のように映りました。ローマンさんのように舞いたい。そうやって張り切っていたら。大失敗してしまいました。本当に恥ずかしいです・・・・・・-」
ローマンは左手でメセルの頬をなで髪を整えてあげる。同じ機体だろうか機体情報もナンバーだけが違うだけで本当に似ている。金色の髪が眩く暗い修理ポッドの中ではまるで淡い照明のようだった。
「-いいんですよ、それと私の事はお姉様と呼びなさい。またいつでもそばにいてあげますから-」
「-ありがとうございます。お姉様-」
そう別れを告げてポッド内の修理カプセルに乗せた。リナさんから通信が入り、修理ポッドの下のバーにつかまって途中のポイントまで移動しなさいと指示が来た。言われたとおりに修理ポッドから一旦外に出て。下のバーにつかまりぶら下がったまま移動した。作戦ルートが表示されておらずこれは本当に訓練なのだろうか。
「-帰還ポイントを新たに検索中です、現在の相性は78%です-」
下を見ると、辺り一体がジャミングワイヤーの箇所がいくつかあった。修理ポッドから放たれたフレアをもっと使えないだろうか。標準装備にするとか。
「リナさん、修理ポッドから放たれたフレアは装備としては無いのでしょうか。それに今回の訓練事態がよく分かりません」
このまま帰還ポイントまで到達して今回は訓練終了なのだろうか、実際に僕自身は日本に入るから切断されたら終わりになるのだが、ローマンや他の機体この戦場に留まる事になる。安全な場所に行くまでは訓練だろうと、とても作戦が終わった気持ちにはなれない。
「-フレアに関しては無理よ。一社しか作ってなくって。あれは敵のコア結晶体を加工した物なの。基本的に修理ポッドにしか付いてないのよ。いまぶら下がっている修理ポッドには他の子たちも乗っていてやられちゃったら被害が大きいからね-」
なるほど貴重なんだな。バレルバーストで焼ききれるのも確か液化コアガスというのを使用していると言っていた。
「-一旦、中継基地に行ってから、最前線の基地に向うわ。それに後続の輸送ポッドの為にも飛行型は倒さないと道が開けないのよ。訓練とはその事よ。最初に同乗していた子達も別の基地に向かっているわ。メセルは一旦前線から離れる事になるわね-」
小さなアラートがなった。FLDのレーダーが反応している。何か起こったんだ。




