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core01:過ぎ去っていく日々

少しでも見やすくなる様に修正しました。

 僕はただの高校生のはずだった。100年前に奴らによってアメリカを破壊されて今も尚、取り戻せてないとか日本もいつかやられるとかどうでもいいと思っていた。


だけどたったこの2週間で僕は僕のままで時代という無限の闇、そして人々の命の螺旋の中で目を瞑ったまま、ただ感覚を研ぎ澄ませて行く・・・・・・。




 高校生という生物は学校が終わると彼女を連れて何処かに帰るか何も考えずにとりあえずゲーセンに行くかの二択である。まあ僕はいずれは彼女とゲーセンに行くという、さらなる勝ち組になる、そう思っていた。


「よう、雪人」


 特にゲームが上手いわけでは無い中学からの友達。あれ?彼女連れになって友が話しかけて来た。ここはゲーセンなのに。あぁ・・・・・・と言葉にならない音を発した。


 これから稼働したばっかりの最新ゲームをやるのにいきなり負けた気分だった。

さておき最新の大型筐体に目をやると大変残念そうに今の僕よりも敗者顏したプレイヤーが降りてきた。


「なんだよこれ、稼働して3週間でアップデートして難しくなったじゃん。まじクソゲーじゃん」


 今のは見なかった事にしたがコクピット型の大型筐体の中を覗くと確かにゲームオーバー時の画面が明らかに違い画面いっぱいに相性と表示されていた。カップルゲームかよ・・・・・・。


 思い出して後ろを見たが、いわゆる勝ち組はもう居なかった。ここはゲーセンだ男子高校生の聖地だと気持ちを取り戻す。


 カバンから端末を取り出す。専用アプリでの認証が必要だからだ。データが盗まれるとかハッキングされるとか言ってやらない人がいたが確かにそう思うのも無理もない、余りにも開発コストに見合わなそうなゲームだからだ。


 完全男子向けの無骨でこてこての兵器を搭載したロボットを操って敵を倒すだけかと思いきや操作方法は全身を包み込むようにフィットするシート、そして両手と首筋にセンサーがあり動作を指先に集中し意識するだけで動かせる。


 画面も実写かって思うぐらい綺麗だった。ただ画面に酔う人は多くこれが一回100円って1000円はするだろっていつも通りツッコミ入れながら始めることにした。


 画面には弾数、目標、目的、距離、タイム。昨日プレイした時と表記が違うな、画面もまだ文字だけで真っ暗だし。


「-FLDフロントラインディスプレイ中央の目標に集中しタイムを目視してください-」


 オペレーターだろうか女性の声でアナウンスが流れるようにったのか。言われた通りにFLDの表示を目視する。


「目標を確定しました攻撃ルートを検索中です。相性は10%です」


 相性10%?低いな・・・・・・。さっきの敗者顏のやつが15%だったからヤバイなこれ。いきなりゲームオーバーとかシャレにならんぞ。


 突然視界がクリアになって行き場所も初めてのマップだった。なんだここは。トレーニングルームとFLD(フロントラインディスプレイ)にはそう表示されていた。


「これより、ルート移動訓練、慣性飛行訓練、射撃訓練を行います。目的地までFLDに表示されたルート通り進んでください。相性は31%です」


 何もしてないのに相性が31%に上がったぞ!とりあえずGOだ!走ってみると自分の足かと思うぐらいに動ける。そして画面のルート通りにジャンプした。


 感覚が前とは違い大きな正方形のブロックがたくさん浮いていて、飛び乗ったり隙間をくぐったり高速移動と停止を繰り返す。さらにどんどんエンジン音が高音になりオーバーヒートゲージがギリギリのラインを行き来している。


 楽しい感覚だ。まるで自分の身体が自由に空を駆け巡る最高の気分だった。あっという間に射撃訓練、慣性飛行訓練など簡単な操作をこなして行った。


 何度も呼吸をするのを忘れてしまい画面に表示されている心拍数が高くなるがゲームの安全性の考慮からか、オペレーターから行動停止のアナウンスや機体が自動的にルートから外れるなど行動制御や補正をしてくれた。


「作戦成功です。帰還ルートを検索中です、相性は69%です」


 画面が切り替わり真っ暗になる。FLDは文字だけになった。相性69%。さっきのやつの画面はこれか・・・・・・。15%ってありえないだろ、もう一度やれば80%ぐらいになる自信がある。興奮したせいかかなり疲れたので、今日は帰ることにした。



 僕の家はマンションでレーザー防壁になっていて真っ黒な20階建てだ。ベランダからは勿論外は見えない。まだ日本は敵が来たことが無いのに地球をあの敵が攻めてきてからはこのタイプのマンションが世界中で沢山建てられるようになったという。


 家に入ると玄関に鞄を放り投げ鍵を閉める。チェーンを掛け分厚い二重ドアもロックする。防犯たがらとかじゃなくいつ来るか分からない、いや来ることは無いだろうという敵の為に。死んだ母から必ず面倒でもロックするように教わったから。


 家の中は薄暗く古びた冷蔵庫のぬるいお茶を飲む。汚いと分かっているソファーに横になり帰りのコンビニで買ったトマトハンバーガーに噛り付きながら端末を起動した。


「今日の戦績は?」


 ゲームのマイページを開くと相性69%か。どうやればもっと相性が上がるんだろうか。攻略サイトは無く今日のアップデートがかなり不評な事ぐらいしか無かった。新しい感覚をもう一度感じたい。明日が楽しみだ。そのままソファーの上で寝る事にした。


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