core17:白い服の少女
>改稿内容 旧イラストを削除
>読みやすくしました。
装甲車から降りるとまだ昼前だった。朝の日差しは相変わらず強くセミの鳴き声が急に耳に入るようになると慣れるまでは暫くうるさく感じた。小型自転車で日陰を探しながらふらふらとまたあの丘を目
指す。アスファルトは陽炎で歪みすれ違う車の中はどれも涼しそうだった。
コクピットのシフターシートはフィット感が凄く一体化する。周りの雑音からシャットアウトされ温度さえも感じなくなる。だからこそ日差しと風、そして重力を感じるこの丘までの道が好きだ。
丘に到着するとボロボロのキャップのお陰で見渡す事が出来た。空港のように整備された場所には何も止まっておらず、それどころか日差しを遮る建物も無い。太陽が真上まで昇り両面焼き状態にな
ってしまった。
ただ何も無い空港の真ん中、陽炎の中に白く眩い光が見える。錯覚だろうか白い服の少女が見える。
こっちを見ているようだが近づこうと歩くも近づけない。何だろう、何か喋っているようだ、僕に向けてかな・・・・・・。
『けして近づいてはいけない。けして知ってはいけない。なぜならあなたはもう』
目眩がした。あの少女の声だろうか激しい頭痛がする。端末から危険のアラートがなっている。この大きな音にすら気づかなかった・・・・・・。危険アイコンは脱水症状と表示されている・・・・・・まずい体
温を下げて何か飲み物を・・・・・・。僕は目の前が真っ暗になり倒れて込んでしまった。
気がづくと真っ先に視界に入ったのはアイヴィーだった。ここは装甲車の中だろうか腕には点滴の管が刺さっており、端末には僕の心電図だろうか、いろいろな医療キットがあった。
「脳波に異常はありません。正常です」
何でも出来るんだなと関心してしまった。するとガツっと足に何か当たった。いや蹴られた。足を見るとリナさんだった。
「あんなところで倒れるなんて、そんなにフランスに行きたいの?それとも天国?」
「いや、なんとなく。あそこまでの道と丘が好きだったんです。それに幻覚なのか白い少女にあったような。いてて・・・・・・」
また頭が痛い。あれは何だったんだろうか。クーラーの風がとても冷たいが、身体が発熱しており全身が痛い。
「なんとなくで死なれては困るのよ。もう私達は家族なんだから」
リナさんが悲しそうな顔でつぶやいた。本当に申し訳ない。そうだ一人じゃないんだ。アイヴィーがそばで看病してくれたお陰で、夕方には起き上がれた。
装甲車から出ると一人で歩きリナさんのマンションに戻る。エレベーターの中で端末の電源を入れ自分の行動をトレースしたがあの時間帯の履歴がまったくなった。というかこれは削除されている?いった
い自分は何をしてたんだ。そして誰が履歴を消したんだ。
(けして近づいてはいけない。けして知ってはいけない。)
白い服の少女の事を思い出す。声は忘れてしまったが。このフレーズしか覚えてない。リナさんの部屋に着きドアを開けて入る。恐る恐る近づくと晩御飯を作っていた。初めて見るエプロン姿だったが後ろ
姿は露出が多く目のやり場に困った。
「もう出来たから、そこに座って。リナハンバーグカレー2よ!がんばったのよ!ほらほらこれ食べて回復しなさい、回復、回復!」
あらかじめ溶いてあるカレーをハンバーグにかけて食べた。がり。がり。がり。なんだ。これは?新食感だ。味はハンバーグとカレーなんだがそっとリナさんをみたら眉間にしわを寄せて同じリアクションだった。
「また失敗ね。元気の元としてタブレットを入れたのが間違いね」
それはもう別々に食べたほうがいいんじゃないのでしょうか。気を使ってくれたんだろう。とても嬉しかった台所を見ると散らかっており、一生懸命作ってくれたんだ。もちろん思いっきり歯を食いしばってカレー
を完食した。リナさんも一緒だった。
また楽しい食事だった。一瞬データを消したのはリナさんかと疑ってしまったけど。たぶん自分で消したかちゃんと記録されてなかったんだろうと、今日の出来事は反省だけにして。自分の中で終わらせた
。
夜になりソファーに寝そべりマイクさんから貰ったファイバーフォトでニュースもたまにはいいかな。すると後ろから影がかぶさった。
「あら、珍しいことしているじゃない。いっつも端末でエッチな画像でもみているんじゃないかと、気を使っていたのよ」
「ちょっと、何言っているんですか!違いますよ。いつもゲームの情報とか、そのたいした事はしてないですが・・・・・・」
勢いよく否定したのはいいものの、反論する程たいした事はしてなかった。振り返るとバスタオル一枚のリナさんがいい香りで近づいてきた。息を呑んでしまった。少しずつバスタオルが下がっていき近づい
てくる。
そして目が合うが目を離せない。下を見たら見えてしまう。顔が近い。息遣いが聞こえ、温かい息が顔に当たり、続いてそっと吹きかけられた風をそのまま飲み込んでしまった。
「そう、大人の女性を・・・・・・。近づいて、知りたいと思わないの?君はもう・・・・・・」
ドクンと心臓に響いた。思い出した。だけどまた目眩が、頭が痛い。そのまま目を閉じて寝てしまった。目が覚めるとここはソファーの上。今は夜中だろう、シャワーに入るのは朝にしよう。
手元のファイバーフォトの電源がスリープになっていたので指を触れると見慣れない画面、これは旧フランスの戦果?右上にはLinaとログイン名が表示されている。もともとログインした覚えはないし、マイ
クさんから貰った時点でログインしたままだったのか。
恐る恐る戦闘履歴や作戦内容を見る、完全に関係者しか見れないページだった。気になるページがいくつかある。ロシアの第5世代試作機について。
-トライクアッドエンジン(コアエンジン2機、液化コアガスタービンエンジン2機)は第四世代のデュアルデュオエンジンよりもエネルギー効率が良く高速飛行が可能。アフターバーナーを使用せず超高速移
動も可能にし音速も超える事も可能。制御方法等その他詳細不明。-
なんだ完全上位の機体じゃないか。これと戦うわけではないからいいけどストライクユニットなしでも音速を超えるのか。凄すぎる。後はドイツ機については低コストの量産に成功し新兵器を開発済みと
だけ書いてある。
最新ニュースはイギリスの第三世代機のブレアエンフィールドがタイタンを3体連続で撃破と書いてある。計10体撃破でエースと。そうだった紅音と同じ第三世代で頑張っている人が居るんだ僕達も負
けられないな。
他にも第四世代のアップデート情報、ドイツでの特殊人型コアとの戦闘など色々見きれない程に記事があったが眠いのでまた朝にしよう。ファイバーフォトをスリープ状態にして充電スペース置いてベット
に入った。
今日一日で色々ありすぎて頭がパンクしそうだ。ここで横になるのも慣れたから簡単に眠りにつけた。