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core15:イギリス司令本部

読みやすくしました。

 その頃フランスでは戦闘が激化していた。タイタン型が毎日のように出現する。100年前、アメリカが崩壊へと加速した時と似たような状況に陥っていた。修理ポッドと輸送ポットが行き来する所は何処も煙を上げている。地獄へと。


 イギリスの基地にはニューアメリカ艦隊が到着していた。艦長であり大統領のエイブラント。宇宙兵器リベレーターの発射権限を持つスキの無い男だ。最新のイージス艦に集められたのはフランス政府、イギリス政府そして王族。


「我々ニューアメリカ艦隊はフランスをアメリカの二の舞にはしない。イギリスからの新型弾道ミサイル攻撃、我が艦隊からの新型巡航ミサイル攻撃を行う」


 周りがざわざわし始めた。ニューアメリカ大統領からの提案があまりにもお粗末のように思えたからだ。


「ちょっとまってくれ、機銃掃射、ミサイル攻撃、空爆、核兵器どれもタイタンには効かないはずだ。それに戦場では常にアギルギアが戦っている。戦果も揚げている。ミサイルなんぞ邪魔の何者でも無い。何をするつもりだ!」


 そう言ったのはフランス軍の将校だった。100年前にアメリカも当初は優勢だった。クモ型、飛行型は何とか戦闘機や高性能の誘導ミサイルで倒していたが、タイタン型の出現で状況が一変したからである。エイブラントは続ける。


「タイタン型を倒す為にさまざまな兵器を投入した。それに今の戦果をあげている第一世代から第三世代までのアギルギアの開発を行ったのは我々アメリカだ。やつらは高温に過敏に反応する。この新型の超高温爆発ミサイルでかく乱し超大型への道を開く」


 プロジェクターにはさまざまな資料が写されていた。しかしこの資料映像や作戦内容は超大型を倒す為の作戦。当然の如く会議室は動揺と恐怖におびえていた。


 その中ただ一人落ち着いていたのは王族の装飾が入った白のワンピース姿のアンドロイド、第三世代のブレアエンフィールドだった。


「つまり、一ヶ月以内に超大型が出現するとおっしゃっている。そういうことね」


エイブラントは頷き話を続けた。


「そのとおりだ。新型ミサイルでタイタンを引き付けている間にアギルギアで超大型の上部の大型コアシールドを破壊して欲しい。その後、宇宙兵器リベレーターで止めを刺す。フロリダ級を撃破した時と同じ作戦だ」


 過去にアメリカには3体の超大型が出現した。中でも大きかったのはフロリダ級1000メートル。残りの2体は今もアメリカを蹂躙し続けている。フロリダ級を倒す為に第一世代と第二世代の海兵隊がほぼ全滅状態になるまで戦った。


「大量に出現し続けるタイタンの気を引けるなら、少しは勝算があるわね。成功を祈るわ」


 そう言い残しブレアエンフィールドは会議室から抜けてしまった。世界中が旧フランスを中心に集まっていく。来るべき戦いに備えて。



 一方日本ではランスポーツが終わり各機体の調整を終えて旧フランスへと向けて出発した。


 暑い夏の日差しにさらされた装甲車はやけどする程熱かった。もしかしたらコレで目玉焼きが焼けるんじゃないかと思う。ランスポーツが終わってから2日がたったが出撃は無く、また紅音とローマンを交互に訓練した。リナさんがランチタイムといっていたので、外に出るとパラソルとテーブルセットがあり、マイクさんはベンチに寝そべっていた。すると背中に冷たい何かが当たる。


「うぎゃあ!?」


「あはは、なんて声出しているのよ、びっくりしすぎよ。気を抜いているとやられちゃうわよ」


 理不尽な台詞がするほうへ振り返るとリナさんがジュースを渡してくれた。短いTシャツにウサギのロゴが入っており、なによりもショートパンツにびっくりした。すらっとした足はとても綺麗だった。


「なーに見とれてんのよ、どっちに会えなくて寂しいの?そろそろ一緒に空を飛べるわ。地獄の中でね。」


 二人で上をみた。強い日差しの中に流れていく雲、とても人類が世界の終焉を止めようと戦っているとは思えない平和な景色だった。


「もう、紅音の身体は治ったんですか?」


 二人とは繋がらない訓練ばかりで気になっていた。あれから遠まわしにリナさんに質問するもはぐらかされて紅音の情報が分からなかったら。出撃は嫌だがそれ以外では会えないからだ。


「この間直ったわ。紅音は今特別な場所に行っているの。ローマンはドイツに到着したわよ。そろそろ大規模作戦が始まる。まあそんなことよりバーベキューしましょうよ!」


 そんな事って。もう考えてもしょうがないや。バーベキューって初めての経験だったので楽しかった。リナさんが考案した串焼きがあまりにもバランスが悪く火がついて焦げたり、マイクさんが器用にステーキを焼いていた。強い日差しを受けながら自分達もこげる。



 マンションに戻りシャワーが日焼けにしみる。いつものようにベットに寝ようとするが、リナさんの部屋の扉が少し開いており僅かに明かりがもれていた。行ってはいけないとわかっているがそっと足音を立てずに近づいてみる。ドアの隙間越しにベットの上にいつもの格好で座っていた。


 明かりが肌に反射し淡くまばゆく白い肌だった。日焼けはしておらず赤くも無い。きれいな後姿だった。リナさんは自分の手を見ながらつぶやいた。


「やっぱり、こんなものね・・・・・・」


 そっと一言だけ。リナさんは横になった。覗きと思われたくないのですぐに自分のベットに戻り寝ることにした。リナさんの部屋の明かりも消えてまた静かな空間になる。


 レーザー防壁とマンションの僅かな隙間を通る風。体中が低い音に包まれた。目を閉じても耳をふいでもここにいるという重さだった。


 誰がどんな思いで作ったのだろうか、守られているという安心感をいつの日か体験することになるんだろうと。自動でついたエアコンから涼しい風が日焼けを癒し、すぐに眠りにつけた。


明日もまた訓練しよう。


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