core12:ランスポーツⅠ
>読みやすいようにしました。
ランスポーツは明日だ。今日もシミュレーターでタイムアタックをする。紅音の時と同じでローマンとは繋がってないから少しでも僕が上手くならなければいけない。
目標タイムはたったの3分ほどだった。3分11秒がどうしても切れず優勝するには2分59秒を切らなければならない。
第四世代で5機でレースするとの事だが量産型で本当に勝てるのだろうか。暫く立ち止まり考え込んでしまった。FLDの時計がお昼を過ぎたのでいったん外にでて気分転換しようと訓練を中断した。殺風景な映像の空間から密室の暗闇へと戻される。次第に手の平にビリビリと神経が自分の手だよと教えてくれる。ドアが開くとオペレーターのアイヴィーが待っていた。
「お疲れまでした。着替えを用意しました」
着替えは見たこと無い半袖の赤いパーカーだった。広げてみるとウサギのイラストが書いてある。ああ、リナさんか。マンションは高台に建てられており、見晴らしのいい丘まで散歩する事にした。小型自転車で坂道を加速させ風が顔にあたる。二人とは飛んでいる時とは違う。ローマンが感じた風、紅音が羽ばたいた空。この戦いが無ければ出会ってなかった。
きっと僕は今、楽しんでいるのだろう。
15分ほどすると丘に到着した。小さな空港のようで滑走路と整備された芝生しかない。近くのフェンスに着いている案内板を見ると非難区と書いてある。案内板には蔦が生い茂りずっと平和だろうと示していた。日本もいつか襲われる日がくるのだろうか。芝生の上でぼんやりと寝転んでいると、1機の飛行機が向かってくるのがわかった。どこに行くんだろうと目で追ってるとだんだん大きく音も近づいてきた。それは旅客機というか、軍用の輸送機。
わずかに日本の国旗が見え、その隣にはあれは台湾の国旗かな?爆音で自分の頭上を通過し滑走路のラインに着陸する。どこからか作業用の車が近づいて行きコンテナをおろし始めたので、見ていても面白そうにないからマンションへ戻ることにした。
確か晩御飯はハンバーグ定食を作るって言っていたので楽しみだった。部屋に戻るとリナさんがハンバーグをお皿に盛り付けていた。何かいろいろ乗っている。ジャガイモ、にんじん、パスタ。僕は料理はコンビにの種類しか知らないのでじっと見ていた。
「よし!出来たぞ~腹ペコな雪人君もおなかいっぱいになる、リナ特製ハンバーグカレー」
「え?カレーは?どこにあるんですか?」
どうみてカレーが無い。ハンバーグを開くとカレーが出てくるのか、それともかけるのかな。カレーの香りがするわけでもなく不思議料理だった。
「ほうら、これよ、これ。カレーふりかけ!じゃじゃーん!」
うれしそうに瓶に入ったカレーふりかけという物を出してきた。僕自身もカレーはトマトカレーしか食べたことしかなく、でも液体状だったような。トマトスープにこのカレーふりかけをかけるとトマトカレーになるのか。リナさんがばっさばっさとかけ始めた。僕も真似してかけ、一口食べると辛すぎた。目が点になる・・・・・・。
瓶にはいったん熱湯で溶かしてくださいと書いてありますよ・・・・・・。リナさんは辛さを笑顔でごまかして全部食べきった。もちろん僕も残さず食べた。一緒に食べるハンバーグカレーはとても辛く美味しかった。
「あ、それとローマンの機体がランスポーツ用になったから。性能は変わらないけど、スポンサー的なロゴがいっぱい描いてあるの。装はかなり脆いけどこの大会用の使い捨てだから気にしないでね」
「性能が変わらないなら大丈夫だと思います」
何が大丈夫かわからないが回答した。また重要なことをさらっと言ってたが、もうなれた。いつもどおりリナさんが先にシャワーに入り寝る。その後僕が入ってベットに入る。
明日はランスポーツだ。そう思うとなかなか寝れなった。天井や壁を見ながら心を落ち着かせる。レーザー防壁の中はとても暖かかった。
朝の目覚めはよく、早々と装甲車に乗り会場に向かった。ローマンに一度会えるとの事で楽しみだ。一度サーチした場所なので緊張することは無いだろうと思ったけど、雰囲気がまるで違う。あの広い道路に色々な障害物が置かれていた。
ブロックやアーチ等、一見ばらばらに見えコースになってないように見えるが、FLD上にはルートが表示されるのでちゃんとしたレースになると言う。
こうして見るととても大きく不安になってくる。ローマンがいるピットの機体整備車へと向かった。観客のような人だかりはなく、全員関係者だろうかいろいろな国の言葉が飛び交っていた。
他国の国旗とチームマークがある。あれは台湾?昨日の飛行機にも描かれていたマークがあった。ローマンの隣に日本の車両がももう一台あり、あれは雷花かな?ということはパイロットも近くにいるのだろうか探して見ても、それらしき人物は居なかった。
やっと見つけたローマンの機体整備車両の中に入る。一人分のカプセルが立っており、整備用のアンドロイドがカプセルの隣の操作パネルに手をあてる。するとカプセルのドアがゆっくりと開く。そこにはカラフルなデザインのロゴが入っているローマンが居た。
カッコイイ、これがローマン。目はつむっており髪は同じで金色で美しく機体のサイズは変わらないだろうか、全体的に白く青いラインのデザインだった。
「ローマン、また会えたね」
話しかけても返事は無かった。というか動きがなかった。それでも嬉しかった。今日は戦いではなくスポーツだ。緊張するけどなんとか乗り切れると確信できた。必ずゴールしよう。何気なくローマンの顔に近づく。遠くで繋がっていても僕達が会う事はめったにないから。
もちろん息はしてないが唇が透き通っており綺麗だった。吸い込まれそうになる・・・・・・。が、後ろから声がする。
「うれしいわ、って?ふふーん、ねぇ雪人君」
ニヤニヤしているリナさんだった。恥ずかしいところを見られてしまった。だがリナさんは腕を組みながら難しい顔をしていた。
「う~ん、他チームの情報が全然なくって、ノープランだけど完走してね」
ほらっと言われて手渡されたのがパイロットスーツだった。ローマンとお揃いのデザインだとすぐに分かった。それに何故かリナさんは見慣れないサングラスをつけている。
「なにやっているの?早くそれに着替えて、スタンバイよ」
ここで着替えるのか?ドアは開きっぱなしだし、いまさらだけど後ろにローマンもいる。だけどこういう事はいつもの事だからあきらめて着替えることにした。
「先に行ってて下さい、すぐ着替えて行きますから」
「迷子ならないでね、端末にマークいれてあるから、じゃあ先行っているわよ。それとローマンに変な事しないでね!」
「なにを言っているんですか!し、しませんよ!」
リナさんは再びニヤニヤしながら機体整備車両から降りていった。僕は特技なのかすぐに着替え終わって振り返りローマンを見るもカプセルのドアがしまっていて見ることは出来なかった。
とてもひんやりとしているの機体整備車両の中から出ることにした。パイロットスーツで外に出るのは初めてで、気にしすぎのせいか注目されているようで恥ずかしい。ヘルメットは無いので顔がもろばれだ。
人の視線を気にしていると人ごみの中に視線があった。それは紛れも無く日本人のパイロット。おそらく雷花のパイロットだ。
すると向こうからこっちへと近づいてくる。人ごみが彼を避け、僕達だけの道が出来てしまった。同い年だろうか。髪は茶色で少し僕よりも身長が高そうだ。
「この間は、驚かしてすまない。俺は雷花のパイロット。将吾だ。将吾って呼んでくれ。これからもよろしく」
さわやかな好青年だったが、しかし今回はライバルだ。しかしなんて喋ろうか。
「雪人、そう身構えないでほしい。同じ日本人で次に会うときはフランスだな。雷花と一緒に空を飛んで欲しい」
なぜ僕の名前を知っているかと考えると、恐らくリナさんだろう。しかしそう言われてしまうと、ここに居るみんなが見方だし仲間だ。でも負けたくないと思う。
「ありがとう将吾、ローマンも一緒によろしく」
将吾が拳を突き出してきた。僕も自然に拳を作り将吾に合わせた。このレースではライバルだ。思いっきり戦って見せる。そう胸に誓い装甲車へと向かった。




