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core11:真紅の破片Ⅲ

>読みやすくしました。

 紅音は叫び空高くジャンプし思いっきりアフターバーナーを点火した。中型レーザーは地面をえぐりその先の大量の建物が破壊されたのが見えた。そのままやつのいる背面へ宙返りをする。弾丸のように回転し加速しながらタイタンに突っ込んだ。


 なんてスピードだ!紅音はスマートパルスライフルを高く構える。意識が腰の武器に集中した。あの武器で叩くのか!タイタンは当然のように小レーザーを4本同時に頭から発射した、回転し回避するも右足をかすめ損傷アラートがなる。


 こちらも反撃した。メインコアには当てる気は無く、シールドを発生させる為にスマートパルスライフルを3連射する。稲妻と共に発射された青く光る弾丸は想定どおりに敵コアシールドによって塞がれる。


 あと5m。正面衝突覚悟で高速で移動する僕と紅音は敵頭部ギリギリを通過した。スマートパルスライフルを投げ捨てて、両手を伸ばし強引にタイタンの後頭部にしがみ付く。

 両足を頭に引っ掛け運動エネルギーを無理やり停止させた。視界には見えないけどFLDの表示から分かる。○(レーザーコア)と◎(中型レーザー)が後ろに動いてくる。だが遅い。腰から取り出した右手のC1911ハンドガンの銃口をコアに押し込んだ。7発全弾を叩き込む。


「くだけろぉおってーーーの!」


 頭の複数のレーザーコア、中型レーザーコアも破壊した。紅音は叫びながら、C1911ハンドガンのグリップで頭をぶったたいた。やってやったと思ったが、どうやら敵の身体には表裏は無いようだ。とても大きな拳で後頭部にいる僕達を殴りつけてきた。


 一瞬音が消えた世界で無残にも真紅の小柄な機体は建物へ直撃し貫通、反対側の道路まで吹っ飛んだ。視界がぐらぐらだ。


「紅音、紅音!大丈夫か?頼む返事をしてくれ!」


 損傷アラートが頭の中で反響する、損傷大。もう武器が無い。C1911ハンドガンは握ったままだが、ハンドガンで殴ったせいでひん曲がっている・・・・・・。撃てるのかこれ・・・・・・。すると怒りの真っ赤な感情が僕を塗りつぶしていく。


「絶対、絶対、絶対、ぜぇーーっったい、ぶったたく!ゆるさないっつーの!」


 紅音は身体を震わせながらかろうじて立ち上がる。僕もそれを支えるかのように一緒立ち上がった。負けない。絶対に負けない。そんな感情が紅音と同じだった。こんなところで立ち止まってはいられない。進むんだ!


「-胴体、左手、右足、パーツ損傷大、作戦成功率6%、相性80%です。帰還しますか?-」


 オペレータであるアイヴィーからの当然の質問が来る。損傷アラートが鳴り止まず、敵タイタンはこちらを向いて今にも残りのレーザーコアで撃ってくるきだ。


「紅音も雪人君も帰還と言っても聞かないでしょう。作戦続行よ。エネルギーも少ないわ。対コア弾をC1911ハンドガンのスライドを引いて一発だけ直接入れなさい。文字通り一発勝負よ」


 すぐに紅音は突っ込んだ。正面突破だ!タイタンは反応して数箇所から赤い閃光が見えるが頭部のレーザーコアは破壊してるので2本しか撃ってこれない。


 交互に襲ってくるが間隔があいているから簡単に避けられる。しかしエンジンからは不完全燃焼している不規則な音、今にも止まりそうだが、決して諦めない力強さを背中に感じた。


 腰から対コア弾を取り出して言われた通りにC1911ハンドガンに装填する。紅音の怒りがビリビリ伝わってくるが意思を確認するまでも無くわずかなエネルギーを使用し全開でアフターバーナーを点火した。


 目標はもちろん敵胴体の△(メインコア)。大ぶりの拳が襲ってくる身体にかすめるその瞬間。


「E.B.R.S!ぶったたけ!紅音ぇぇぇええ!」


「紅音様と呼べって言ってんだってーの!うおぉぉおおお!」


 オレンジ色のドームが展開される、自動的に拳を避けてメインコアに銃を突っ込みトリガーを引く。それだけだ。一瞬で決まった。


 この巨体に1センチほどの弾丸が流れ込んでいく。メインコアは激しく砕け散り、身体が崩壊していく。僕達はエネルギーが殆どなく。そのまま地面に落下してしまった。


「-目標敵コア破壊を確認しました。修理ポッドを手配中です。現在の相性は84%です-」


 まったく身体が動かない。倒壊した建物の中に倒れ込み大の字に寝そべった。損傷アラートが小さくなり修理ポッド到着まで10分と表示されている。紅音と重なって見上げた空は埃と煙で見えず、それに見合うかのように体の感覚がだんだんと弱くなってきた。これは切断されるのか?


「-紅音・・・・・・。あなたを失いたくないの。無茶しないでお願いだから・・・・・・-」


 リナさんが悲しそうに話した。紅音は上を向いたまま。何もしゃべらなかった。しばらく空を見ていると真っ暗になりFLDだけになった。あぁ、切断される。


 また僕だけが日本に戻るのか・・・・・・。呼吸が荒くなり、指先、腕、足先、太ももそして胸へと血液の熱さ、体が重くなり、やがて痺れがくる。顔だけが汗だらけだった。スーツのおかげで身体の汗は吸収されているのだろう。


 ドアがゆっくりと開いていく。終わったんだ。紅音をフランスに置いてきて僕は安全な日本にいる・・・・・・。紅音は無事に安全な所に行けたのだろうか。


 リナさんが迎えてくれた。車内のオレンジ色のやさしい光がゆらゆらと温かく照らす。僕の手をとってリナさんは言った。


「お帰りなさい」


 リナさんとの会話はこれで終わりだった。いつもどおり部屋に向かった。結局トーストを食べて部屋を出てから30分程しかたってないのか。自分という感覚をどこかへと置いてきたままコクピットでは無く、ただ座るだけのソファ-に横になる。お昼になったら起きようと端末の目覚ましタイマーをお昼にセットして横になった。


 薄っすらと目を閉じると身体がフランスに行くような錯覚に陥った。とても怖かった。でも紅音の力強い意思が僕の胸に焼きついていて、まぶたの中、小さな紅い点という存在がいた。『だってーの』ってちょっとかわいいな。


 自分にやっと笑いが戻ってきたのかな。紅音に会えて良かったと思う。薄っすらと目を開けたまま時間が過ぎていった。端末にメッセージが入る。


『ローマンです。作戦成功おめでとうございます。次は私の番ですね、ランスポーツ開始まで機体の調整してますので、沢山練習してくださいね。』


 そうだった。3日後はランスポーツだ。紅音が暫く修理に入るとの事で出撃は無くなった。それまでの間シミュレーター訓練するように言われたんだった。休む暇も無いな。


『ありがとう、沢山練習するね。』


 控えめに返信をして安心してしまったのか、寝てしまった。昼過ぎになると目覚ましタイマーで起きて買い物へと出かける。リナさんのマンションの周辺は意外と栄えていて食材や日用品までそろえる事が出来た。


 両手いっぱいに荷物を持ち徒歩でマンションへと向かう。何も変わらない平和な日常、そう言えば学校に行ってないな。この辺は知っている人もいないし学生をサボっている事になんとも感じなかった。


 道の向こうに見慣れた車、そう8輪の装甲車が向かってくる。僕の横で減速し上のハッチが開いた。中からは金色の髪が美しくなびいているローマンが手を振ってこっちへ笑顔で大きく口を開いた。


「またお会いしましょう」


「はい!」


 その笑顔に答えられるように大きく手を振った。装甲車は再び走りだして行った。さっきまでの戦闘ががまるで嘘だったかの用に平和な光景。


 誰かと一緒に居る事が出来る。このままでいたい。大量に買った買い物を強く握り締めて坂道を登って僕は帰り道という真っ直ぐな線を踏み締めて行った。


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