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core10:真紅の破片Ⅱ

読みやすくしました。

「あなた達なにやっているのよ、心配したじゃない!」


 リナさんが泣くかのように怒鳴った。そうだE.B.R.S中は通信も出来ないんだ。反省したいと思ったが紅音とはこれで少しは繋がった気がする。訓練の成果があったかな。


「-敵飛行型撃破しました、新たな敵を検索中です。相性は72%です-」


 すると、紅音からの怒りのような感情を感じとった。成功したのに何が行けないのだろうか、何と話しかければいいのだろうか。すると先に話し始めたのは紅音だった。


「ちょっとアンタ、さっき私のこと呼び捨てにしたでしょ!紅音様と呼べってーの!あっ!少しゴミを吸い込んだじゃない!」


 紅音は怒りながらエンジンを思いっきりふかした。ローマンとは対照的な性格だった。紅音様って・・・・・・。一緒に戦うんだから。すると紅音が突然ジャンプして建物の上に上がる。ふと辺りを紅音が見渡すとうっすらと大きな人影が見える。


 巨人?遠くなので大きさは正確には分からないが少し高い建物程だから10m以上はありそうだ。あんなのと戦うのか?勝てるのか?紅音の繊細な腕や背中からビリビリと電気が走ったような緊張が伝わってくる。


 これは恐怖だ。エンジン音がいったん不規則になる。シミュレーターで巨人とも戦ったがあそこまでは大きく無かった。それにまだ訓練の最初の段階なのでみっちりやらなかったから不安になってきた。


それでもオレンジ色のFLDの目標が変わる。『タイタン』たった一文字だった。


「-目標 タイタン、15m 制限時間4分。スマートパルスライフルを使用してください。ルートを表示します。相性は72%です-」


 無常にもオペレーターからの指示が入る、マイクさんやリナさんが決定しているんだと思うがそれでも不安になってくる。自分の中で覚悟を決める。中途半端な気持ちで紅音と一緒に戦って傷つけたりは出来ない。


 必ず成功させるんだと深呼吸して両手両足の意識を高める。こんな場所で立ち止まってたまるか。ピピっと通信音声の合図がでる。誰だ?


「-ローマンです。タイタンはシールドコアを身体の中で常に移動させています。不意打ちで攻撃しなければどんな攻撃もシールドで防がれて通用しません。レーザーコアを平均5つ。強力な中型レーザーも持っているので、必ず視界に入れて回避してください。メインコアは必ずひとつです-」


 ローマンから通信が入った。そうだローマンは日本にいるんだ。戦況をみているのかと思うとちょっと嬉しかったが、しかし紅音様が黙ってなかった。


「はぁああああ?うるさいってーの、第一アンタ、クモ型ごときにやられて何をえらそうに。おい!雪人!私の足をひっぱったらエンジン制御のデータを直接全部脳みそに送り込んで少ない脳みそコッゲコゲにしてやるんだっつーの!」


 なんて恐ろしいやつなんだ紅音は、切断したいと思ったがようは死ぬ気であいつ倒して紅音に認めてもらえればいいんだな。


「たしかに僕達は攻撃を受けたけど、それでも撃破したよ、まだ僕が慣れてないせいだから、でももう同じ失敗はしない。それに一緒に飛行型を倒したじゃないか、もう大丈夫だから」


「だったら、絶対にアイツをぶっ倒すわよ!気合入れろってーの!」


「-雪人さん、紅音さん、どうかお気をつけて・・・・・・-」


 紅音と重なったその視線の先には敵タイタンが歩いていくのが分かる。不気味に赤く光る複数のx(未確認コア)がゆらゆらとうごめきながら、その大きな黒い巨体は破壊する物を探してるかのように前進し続ける。見つかれば即戦闘だ。


「-紅音、雪人君、わかっていると思うけどアレ早いもの勝ちだから、他社の機体もいるのよ。今一番近いしちょっと一発かましてきなさい。気をつけてね-」


 かますのか気をつけるのかどっちだと思ったが。エンジン音が答えを出した。徐々に高回転の音へと変わっていく。規則正しく。両足、背中のメインエンジンが準備OKといっている。分かっているよ。


 右足から思いっきり踏み込んだ。一気に走り出す。助走をつけてジャンプした。100m以上は飛び、建物を飛び越えていく。加速し風を強引に切り裂きルートどおり一直線だ。ふと紅音がスマートパルスライフルを強く握り締めた。交代するかのように僕の右手にライフルのグリップの感覚とトリガーが指先に当たる。


 まだタイタンには気づかれては居ない。慎重に接近する。敵のレーザーコアを探そう、頭部にはx(未確認コア)が5つあり、腕にもx(未確認コア)が3つずつある。しかし巨人というが首も無く目もあるか分らないものだった。


アフターバーナーをいつでも点火できる体制になった。


 どんどん近づく。建物の合間を縫うように高速移動し建物の影にはいった。タイタンはビルの向こう側で残り50mとFLDに表示された瞬間、強烈な赤い閃光が建物を貫通して僕達を覆いかぶさる。


「E.B.R.S!!ふざけんなってーーの!」


 とっさに紅音がE.B.R.Sを使用しながら捨て台詞をはいた。展開された直径30メートルのオレンジのドームの殆どをレーザーが覆いかぶさっていた。


 どうやって回避するんだ!とにかく回避!E.B.R.Sがアフターバーナーを点火し軌道修正をしたお陰で強引に大きなレーザーを振り切った。


 しかし着地地点を探すが身体の向きと移動する方向があっていない。これでは地面に激突する。無理やり方向を上に修正したが地面に激突する事を逃れたに過ぎなかった。


 オフィスビルのガラスを突き破って派手に吹っ飛び倒れこんだ。頭がぐらぐらする。天井を見ていた。早く立たなきゃ、早く早く!あの建物を貫通するレーザーをもう一発打たれたらまずい。


 そう思っていたらまた赤い光が見えた。E.B.R.Sオレンジ色のドームは無残にも散ってFLDの表示が復活した。大量の通信とデータ量が表示される。


「-敵タイタン、中型レーザーは頭部より放たれます。メインコアは胴体の可能性あり。現在の相性は75%です-」


 さっきのは中型レーザーだったのか!しかしそんな情報今貰っても今は回避だ。一瞬赤い閃光が見える。クモ型の時と同じようなサイズだったが一本じゃなかった。思いっきり走りスライディングをして背をかがめて避ける。


 すれすれに四本の小型レーザーが頭上をかすめた。これでは近づけない。E.B.R.Sもディレイタイムが30秒から変わってない。オフィスビルから脱出し隣の建物へとジャンプするがこのままでは敵との位置は離れる一方だ。


「ちょっとアンタ戦う気あるの?いったん距離を置くとかありえないっつーの、コイツでぶったたく。いくわよ!」


 こいつって力を入れた先がスマートパルスライフルだった。射程距離的には十分だが、コアシールドというので防がれるを知っていた。シミュレーターでも経験済みだ。


 しかし一体どうやって一撃で死ぬレーザーを避けながら不意打ちを食らわせるのか。再び建物の隙間を縫うように走る。エンジンを最小限にふかしながら、大きなジャンプはせず少しずつ近づく。敵のレーザー攻撃が激しくなってきた。


 4本同時に撃ってきた時は次の発射までタイムラグがあったが、次第に一本ずつ撃ってくるようになった。タイムラグは一切なく絶え間なくレーザーの赤い閃光が建物に反射する。


 辛うじて避けているが沢山の建物を破壊し煙と破片、ドン、ドン、ドンと爆音と衝撃波が背中に当たり始めてきた。このままでは回避しきれない。牽制しなくては!


「紅音、1秒でいいから撃つタイミングをくれ、たのむ!」


 一発だけでいい。敵のシールドの動きが見たい。レーザーだって一瞬やむ筈だ。そう思い紅音にお願いした。紅音が射撃が苦手なのを知っている。構えの位置が高くE.B.R.Sに頼っているからだ。これは僕の役目だから信じて任せて欲しい。


「うるさぁああい!いま避けてんだから、待ってろっつーの!」


 前向きな回答だった。サイドステップ、フェイントジャンプ、急降下ありとあらゆるテクニックで紅音がレーザーをギリギリで避ける。破片が大量に体にぶつかり、おそらく真紅の機体は傷だらけだろう。


 E.B.R.Sが散ってからたった数秒で敵の20mまで接近した。すごい、こんな高速移動で・・・・・・。そして爆音と赤い閃光の波に隙間が出来るのを感じた、次だ。次のターンだ。必ず少しだけ隙が出来る。


「わかってんだったら、さっさと構えろってーの!」


 全神経が指先へと集まりスマートパルスライフルのトリガーへと繋がる。紅音も息を呑んだのが分かった。銃口が敵本体中心へと向く、タイタンから放たれた最後の赤いレーザーが身体をかすめる。


 いまだ!トリガーを引くと銃身全体から青い閃光と共に稲妻が視界をさえぎった。その先に一瞬で敵に着弾したのた見えたが、ギュイイインと音を立てて、赤いシールドが発生しており消滅した。腕にあったx(未確認コア)が□(シールドコア)の表示へと変わった!


「紅音、見えた!腕からシールドコアが左手に移動する時にメインコアが胴体付近に見えた!シールドコア自体の動きはそんなに早くはない!」


 しかし紅音は恐怖の感情からか無言でタイタンに背を向けて加速した。逃げるように、体中が赤い光に包まれる。これは中型レーザーだ!破壊力は建物を何棟も貫通する。


E.B.R.Sは使用出来ない!


「後で、必ずぶったたいてやる!うぉおおお!」


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