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夢ノ手記  作者: 澤幸太
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プロローグ

初投稿です。色々拙いところはありますが大目に見ていただくと幸いです。

ゆめ【夢】

1 睡眠中に、あたかも現実の経験であるかのように感じる一連の観念や心像。視覚像として現れることが多いが、聴覚・味覚・触覚・運動感覚を伴うこともある。

2 将来実現させたいと思っている事柄。

3 現実からはなれた空想や楽しい考え。……etc


 初めて国語辞典を引いた時、夢乃望海はその素っ気なさに落胆した。自分がそれまで特別だと考えていた魔法の言葉が、こんな分厚い紙束の端に追いやられてしまうモノなのだと知ってしまったからだった。


――ふわふわして、きらきらして、気持ちよくて、楽しい。自分じゃない理想の自分がそこにいる、雲の上の楽園。


無限に広がっていく空想が、瞼の裏で輝く景色が、地に墜ちた彼女の唯一の希望だった。いつか自分も、楽園の住人になって、大空を翼で翔る。そんな幼心の憧れは、均等で無機質な黒文字の羅列に打ち砕かれた。

どこまで行っても、現実は現実で、そこから逃れることはできない。大海原のような自分の理想が、ちっぽけで、空虚な妄想であると気がつき、彼女はつぶやいた。



「――バカみたい」


 彼女の小さなつぶやきが、広くて古い木造家屋に吸い込まれていく。天井に向けて浮かんだ言葉は、次の瞬間、皿の割れる音と、しわがれた叫び声にかき消された。ほどなくして、女の悲鳴と、肉を平手で打つ音が反響する。望海は国語辞典を抱えながら、寒さをこらえるようにくるまった。

「ホントに、バカみたい」

 目と耳をふさいで、騒音が収まるのを待つ。空想の盾を失った彼女を守るものは何もない。野ざらしにされた体に突き刺さる現実という矢印に、どうしようもなく彼女の心は沈んで濁っていった。


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