第三話 天才村娘と、突然の騎士団襲来!
オレの歌が終わると同時に、ゴブリン達は、大歓喜の舞を始めた。
「ゴブー!」「ゴブゴブー!!」
叫びながら、次々と“ご馳走”をオレの前へ運んでくる。
……何かの肉。
……謎の果物。
……あと、めっちゃデカい昆虫。
いや、無理だろこれ。
どれも食べたら、別の異世界に旅立ちそうなレベルだわ!
「こ、これは……気持ちだけ受け取っとくぜ!」
心の中で土下座しつつ、苦笑いしていると
あの時、ゴブリンに囲まれていた女性が、そっと近づいてきた。
「さっきは……助けてくださって、本当にありがとうございました!」
振り返った瞬間、オレの心臓が跳ねた。
近くで見ると、大きな瞳が印象的な、クリッとした目の可愛い村娘。
異世界補正なのか、普通にヒロイン級だ。
「それに……あなたの歌、とても素敵でした!」
「え、そ、そう?」
現実世界では、言われたことのない褒め言葉に、オレの語彙力が死ぬ。
彼女は頬を赤くしながら続けた。
「“手を取り合って、生きていこう”っていう歌詞の後に、
“イコール”ってつなげるなんて……驚きました。
あれ、天才的です……感動して、泣いちゃいました。」
村娘は、潤んだ瞳でオレを見つめながらそう言った。
……な、何者だこの子!?
ネット民どころか、
学校の音楽教師でさえ一度も褒めてくれなかったオレの歌詞を
一瞬で解釈して、高評価!?
天才なのか!!
この娘、もしかして天才なのか!!??
いや、とんでもない拾い物だぞ……異世界。
オレは軽く咳払いしてから、
眠そうな目をさらに半開きにし、
“自分史上もっともカッコいい角度”を作り出す。
「……あれはさ、オレが即興で作った歌詞。
君を……助けるためにね」
すると村娘は、顔を真っ赤にしながら、
起き上がり小法師のように何度も頭を下げた。
「そ、そんな……本当にありがとうございました!!
命の恩人です……!!」
やばい、可愛い。
異世界最高!!
しかし、その後、
ゴブリン達が一斉にザワつき始めた。
「ゴブゴブ……!?」「ゴブッ!!」
何だ?オレの歌に新たな衝撃でも走ったのか?
そう思って振り返ると
大地を揺らす蹄の音。
金属がぶつかり合う甲冑の音。
数十人の騎士が、馬に跨り、
砂煙を巻き上げながら颯爽と駆けてきた!
鎧は銀に輝き、紋章入りの盾を構え、
槍をこちらへ向けて勢いよく包囲してくる。
ゴブリンたちは、一瞬でパニックに陥った。
さっきまでノリノリで骨ドラム叩いていた連中とは思えない震えっぷりだ。
その時
騎士団の列の先頭にいた、ひときわ立派な甲冑の男が叫んだ。
「無事か、アリシア!! 助けに来たぞ!!」
アリシア……?
隣を見ると、村娘が胸に手を当て、少し安堵した顔をしていた。
「お兄様! 私は大丈夫です!」
え、兄!?
ていうかアリシアって名前だったの!?
一方その頃、ゴブリンたちは、
騎士たちに取り囲まれ、ガクガクと震えている。
最初、あれだけイキってたくせに、ギャップがすごい。
アリシアは決意を固めたように前へ出た。
「お兄様……お願いがあります!
このゴブリン達に、危害は加えないでください!!」
場の空気が一瞬止まる。
騎士団達が「え?」という顔をしている!
騎士長である“お兄様”は馬から降り、アリシアの肩に手を置いた。
「……無事でよかった。それだけで、父上も喜ぶだろう」
「だが、このゴブリンどもを見逃すわけにはいかぬ!」
低く鋭い声が森に響く。
「こやつらは、これまで村人に多くの被害を与えてきた。
未来のことを考えれば……このまま、放ってはおけぬ!」
その言葉に、ゴブリンたちはさらに震え上がる。
さっきまでライブ会場だったのに、一瞬で死刑台の雰囲気になった。
ヤバい。
こいつら、観客なんだぞ!?
俺の異世界初ライブを盛り上げた大事なファンなんだぞ!?
俺は、俺のファンを絶対に見捨てない!
オレは
ノートパソコンを開き、
再びオリジナル曲の再生ボタンを叩く。
イントロのギターソロが、
異世界の空へ轟いた。
その瞬間、空気が変わった。
「お前ら……これからもオレの音楽が聴きたいかァーーー!!」
ゴブリン達「ごぶぅぅぅぅーーーーー!!!」
さっきまで震えていた奴らが、
ライブ会場ばりのテンションで跳ね始める。
「オレのミュージックストーリーは……始まったばかりだ!」
「これからもついてこれるよなァーーーッ!!」
ゴブ達「ごぶーーーーーーッ!!」
よし、完璧なコール&レスポンスだ。
異世界とは思えない一体感!
「聴いてくれ!新曲《ゴブは友達》!」
「なんだ……この音は!?」「魔法の詠唱か!?」「呪いか!?」
ざわつく声が森に響く。
騎士団は完全に困惑していた。
そんな中、オレは全力で歌い出した。
「♪小さいオレ達悪かった〜〜〜♩」
「♪イタズラいっさいやり放題〜〜〜♩」
「な、なんだ!? 自白してるのか!?」
「いや……これは歌だ……ッ!」
騎士達の動揺が伝わってくる。
オレは続けた。
「♪だけどもたけど、もうやらない〜〜♩」
「♪だってオレ達人間の〜
愉快で愛くるし〜〜〜♩」
次の瞬間!
オレはカッコイイ角度(自称120点)で顔をアップにし、
最後の一撃を叩き込む。
「♪友達なーーーのさァァァァッ!!!♩」
ビィィィン!!(ギターソロが脳内で鳴った)
静寂。
……そして。
騎士団「と、友達……!?
や、奴ら……人間と友達だったのか!!?」
騎士団長は震える声で呟いた。
「な、なぜだ……
歌に乗せられると……妙に……納得してしまう……
これは……一体……!」
その横で、アリシアが静かに微笑みながら言った。
「それは、この歌が“魂の叫び”だからですー!」
ゴブ達「そうだー!!」「そうだごぶーー!!」
騎士団は混乱。
オレはドヤ顔。
アリシアは真剣に感動してる。
異世界の常識が揺らいだ瞬間だった。
「今後はどうなるの」
と、もし思って頂けたら、
下にあるタグの⭐︎︎︎︎︎︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から、作品への応援を、どうかお願い致します。
面白いと思って頂ければ⭐︎5つ、つまらなければ⭐︎1つで構いません。
どうかお気持ちをお聞かせ下さい。
そして、ブックマークして頂けると最高に嬉しいです!
何卒、よろしくお願い致します。




