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第一話 ネットの海に沈むジョン・レノン

オレの名前は、たけし。

しがないボカロPだ。


夜な夜な、安物のパソコンの前で、ボカロに歌わせてはYouTubeとTikTokにアップしている。

タイトルは「星カスのセレナーデ」。

切なくて、美しくて、メロディも神ってる(と、オレは思ってる)。


だけど、現実は残酷だ。


再生回数15回。

そのうち7回はオレ自身。


……笑えよ。


世界はオレを見つけてくれない。

ネットの海は広すぎて、オレなんか砂粒どころか電子の塵だ。

それでも夢を捨てきれない。

音楽だけが、唯一オレを生かしてる。


「オレは、ネットの海に沈んだジョン・レノンなんだ……」

そんなポエムみたいな独り言を言いながら、拾ってきた50インチの液晶テレビの電源を入れた。


映るのは、どこか見覚えのない街並み。

風が吹き、木々が揺れ、まるで現実みたいに鮮やかだった。


なんだこれ、8Kとかそういうレベルじゃねえ。


思わず、手を伸ばした。


その瞬間、ズブリ。


指先が、画面の中に沈んだ。


「うわ、やべっ!?」


気づいたときには、全身が吸い込まれていた。

目を開けると、オレはテレビの中の世界――どこか幻想的な、青い空と白い草原の中に立っていた。


「おおおお、ついにオレも……異世界デビューか!!」


……と、思ったのも束の間。


別にモンスターと戦いたいわけでも、冒険したいわけでもない。

興味があるのは、音楽だけ。


だからオレは、速攻で引き返した。


テレビの四角い画面を再びくぐり抜け、自分の六畳間に帰還。

畳の匂いが、なんか落ち着く。


異世界よりも、オレに必要なのは**再生数とコメント欄の「神曲」**なんだよな。



オレは、新たなリズムを求めて、再び50インチの液晶テレビをつけた。

すると、画面の中では、ゴブリンどもが人間の頭蓋骨をドラム代わりに叩いて、骨の腕でリズムを刻んでやがる。


「いやいやいや!!違う違う!それは音楽じゃない!!」


センスの悪いコイツらに、だんだん腹が立ってきた。

リズムはズレまくり、テンポ感ゼロ。何よりグルーヴが死んでる。


(お前ら……音楽ってもんを、なーんにも分かってねぇな!)


オレは拳を握りしめた。

「しゃーない、教えてやるよ、神様のビートってやつをな!」


ノートパソコンを脇に抱え、再び画面の中へ

異世界ダイブ、再び!!


気づくと、オレは例のゴブリン集団のど真ん中に立っていた。

周囲には骨の打楽器、腐った肉の匂い、そして……物凄い殺気でオレを睨んでいる!


「待て待て!?思ってたのと違う!!」


ゴブリンどもは、骨のスティックを構え、完全にオレを“新しい打楽器”扱いしてやがる!



その瞬間、オレの中のボカロP魂が爆発した。


「音量MAXいけえええええ!!!」


ノートパソコンのボリュームを限界まで上げ、オリジナル曲を再生!

そしてボーカルは、天から舞い降りた、このオレだ!!


喉からほとばしる衝動、即興のフレーズが口をついて出た。


♪ゴブゴブーーリン♩

オレたちは〜弱い〜そして〜醜い〜〜♩


魂のブルースが、骨の洞窟に響きわたる。


ゴブリンたちが――一斉にオレを見た。


殺気立った赤い目が、いまや一点に集中。

その視線の圧がすごい。

でも、ここで止まったらロックじゃねぇ!


オレは深呼吸して、もう一度歌い出した。


♪本当は〜ゴブゴブーーリン♩

チョッピリ、愛され〜たいゴブシュ〜〜ン♩


リズムに合わせて、骨のドラムが自然と鳴り始める。

ゴブリンたちの肩が揺れ、手が動き、やがて全員がリズムに乗った。


そして、一曲歌いきる。


静寂。


その瞬間、信じられない光景が広がった。

ゴブリンどもが……泣いている。


「ゴブ……リン……切ない……」

「オレも……愛されたいゴブ……」


あまりの感情の渦に、オレのほうが戸惑った。


「お前ら……まさかネット民より音楽が分かってるんじゃないのか!?」


いや、間違いなくコイツらはセンスがある!


よし、決めた。


「お前らには、オレの奏でる歌を聴く権利がある!」


オレはノートパソコンを構え、もう一曲再生した。

再生回数8回(内3回はオレ)幻の名曲だ。

そして、天才の即興の作詞を加える!


♪掘れ掘れ、ザックザクザク掘れ掘〜れ〜〜♩

ダンダンダンジョン掘れ掘〜れ〜〜♩

そんなオレに、あの子も惚れ掘れ〜♩


うむ、完璧だ。


この曲の秀逸なところは、「掘れ」と「惚れ」を掛けている点。

つまりダンジョンを掘ること=恋を掘り起こすこと!

この才能には、さすがのオレも怖くなる時がある!


オレの美声が響き渡ると、ゴブリンたちは再び騒ぎ出した。

今度は殺気ではなく、歓声だ。


「ホレホレ〜〜!」「ダンジョン掘れ掘〜れ〜!」

完全にノリノリ。

骨ドラムも炸裂。リズム隊も完璧。


オレは悟った。

こいつら、ネット民よりも優しい。

そして、この世界こそ、オレの音楽が届く場所なのかもしれない。

「今後はどうなるの」

と、もし思って頂けたら、


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面白いと思って頂ければ⭐︎5つ、つまらなければ⭐︎1つで構いません。

どうかお気持ちをお聞かせ下さい。


そして、ブックマークして頂けると最高に嬉しいです!


何卒、よろしくお願い致します。

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