小日向綺麗の独白【二】
なんだかんだあって、望月くんの友達の振りを続けることになっちゃった。
てっきり、一日だけぽぽちゃん(蒲公英先生のことを、あたしは親しみを込めて「ぽぽちゃん」と呼んでいる)の目を誤魔化せればいいという話だったので、あたしもそのつもりで友達の振りをしたんだけど、まさか今後も続けなくちゃいけなくなるなんて思ってもみなかった。
でも、個人的には逆にありがたかったかも。
前々から、望月くんみたいなタイプと話してみたいと思っていたから。
話してみたいというより、知りたいって言った方があるいは正しいのかも。
望月くんみたいな独りでいたがる人って、あたしにとっては憧れに近い存在だったから。
だから、望月くんに「本当に友達になってみる?」と訊ねた時は割と本気だったんだけど、軽く一蹴されてしまった。
まあ、望月くんらしいと言えばらしいけれど。
ちょっぴり残念ではあるけどね。
けど、これからもずっとそうだとは限らない。
もしかしたら、今後の付き合い次第では本当に友達になってくれるかもしれない。
というより、友達になってみたい。
だって望月くんの友達になれたら、あたしのなりたいあたしになれるかもしれないから──。