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ぼっちくん  作者: はてなはて
1/1

幼児への虐待

ぼっちくん

 今日もあの家から夕方六時位に怒鳴り声が聞こえた。

その家は横浜の港南区にある外壁は白でちょっと長いコンクリートの階段の上に建っていた。庭は芝生で周囲を自然石が組まれていて樹木もそこそこ植えてある。

そこには夫婦二人と兄弟妹三人が住んでいた。

夫婦の名前は池一と礼子で兄弟は兄が樹で弟が栄二で妹は恵という名前であった。

兄は小学三年生、弟は小学一年生であり妹はまだ一歳いかない位の赤ちゃんであった。

兄は私立の小学校に通っていて、朝は早く帰りも遅いようで弟の栄二は地元の小学校に通っていて普通の通学時間帯であった。

礼子が夕食の支度をしながら栄二に勉強を教えている様で

「栄二、昨日教えたばかりなのに何で分からないの」

と怒鳴り声を発していた。

栄二は小さな声で

「ごめんなさい」

と返事をしていた。


ぼっちくん

 今日もあの家から夕方六時位に怒鳴り声が聞こえた。

その家は横浜の港南区にある外壁は白でちょっと長いコンクリートの階段の上に建っていた。庭は芝生で周囲を自然石が組まれていて樹木もそこそこ植えてある。

そこには夫婦二人と兄弟妹三人が住んでいた。

夫婦の名前は池一と礼子で兄弟は兄が樹で弟が栄二で妹は恵という名前であった。

兄は小学三年生、弟は小学一年生であり妹はまだ一歳いかない位の赤ちゃんであった。

兄は私立の小学校に通っていて、朝は早く帰りも遅いようで弟の栄二は地元の小学校に通っていて普通の通学時間帯であった。

礼子が夕食の支度をしながら栄二に勉強を教えている様で

「栄二、昨日教えたばかりなのに何で分からないの」

と怒鳴り声を発していた。

栄二は小さな声で

「ごめんなさい」

と返事をしていた。

横では恵は何が起きているのかもわからず赤ん坊用のいすに座り親指をくわえていた。

「昔はこんなじゃなかったのに何でこんなに怒られなくてはいけないのだろうか」

と思っていたのであった。

最近では参考書の問題が解けないだけで料理用包丁の背の部分で叩かれたり、素っ裸で町内一周させられたり、ズボンを脱がされて自分で自分の尻を竹刀で五十回叩かされたり何せ問題が解けないと容赦なく怒鳴られてその様な体罰を日々課せられていたのだった。

栄二は

「誰か何とかこの地獄の日々から救い出してくれ」

と心の中で叫び続けていたのであった。

今日も礼子が夕食を作りながら台所の椅子とテーブルに栄二を座らせて参考書の問題を解かせているが、栄二は難しいのかなかなか解けないでいると、

また礼子が

「何でまたこんな問題解け何の」

と罵声を挙げて包丁の背中で栄二の頭を叩いた。

そのあと礼子は

「こんなに問題が解けない子はうちの子じゃないから家から出ていきなさい」

と言われて栄二は何も言わず椅子から降りて玄関で靴を履いて扉を開けてでていってしまいました。コンクリートの階段を俯きながら降りて

「なんでなんだ、僕ばかりこんな目にあって如何してなんだ」

とブツブツ言いながら道路に降りて坂道を下って行きとりあえず学校へ行く道をとぼとぼと交差点を渡り歩いていきました。

歩きながら以前の出来事を頭の中で浮かばせながら歩いて行った。

妹ができる前はこんなじゃなかったのにと思い出していた。

もう周囲は夜なので真っ暗の中目的もなく歩いた。

その時頭に浮かんだのは三ツ沢のお婆さんの家にいたころのことだった。

栄二君は物心ついた頃は其処にいたのだった。三ツ沢に居る時はみんなに良い子だと褒められていたのだった。

三ツ沢に居た時を思い出していた。

この家は三ッ沢下町のバス停から前の坂を十分くらい上った家で周囲より少し大きい二階建ていて青色の屋根で外壁が漆喰壁の家で庭は土で裾の中に植木が少々植えてある。玄関周りは棕櫚の木が植わっていて目隠しをする様に植えてあつた。

この家の苗字は泉と言いはばあばとじいじとその夫婦の子供の叔母さんと息子の正の子供兄弟の勝と浩二の兄弟の五人で住んでいたのであった。

そこに栄二は預けられていたのであった。

そこで栄二は朝起きると皆に

「おはよう」

と声をかけるとすぐに廊下を小走りに急いでトイレに向かった。栄二はそのころ二歳であった。

それが済むと台所の自分の椅子に座った。するとばあばとおばさんが朝食の準備をしながら

「栄二君おはよう」

と返事を返してきた。栄二が

「今日の朝ごはんは何」

と聞くと

「今日は目玉焼きと焼き魚と大根のお味噌汁だよ」と答えた。そして少しすると

正も二階から降りてきて

「おはよう」

と栄二の頭を軽くなでて言った。するとまた二階からバタバタと兄弟たちが降りてきて台所の椅子に腰かけて、

「栄二君おはよう」

と声をかけてくれた。

朝の三人は時間がないのかいつもバタバタしている。

ご飯を掻き込むように食べているとばあばが

『もう少しゆっくり食べなさい』

と言った。が、聞いているのかいないのか分からなかった。

食べ終わるとすぐに席を立ちランドセルを背負い

「栄二君帰ったら遊ぼうね」

と言って間髪入れずに

「じゃあ行ってきます」

と声をかけて玄関から出て行った。

兄弟は小学校の三年生と一年生で近所で歩いて三十分位の処にある三ツ沢小学校に通っていた。正も二人が出て行った後鞄を持って玄関から

「行ってきます」

と言って玄関の扉を閉めて出て行った。

その後じいじが起きてきて台所の椅子に座った。さぁてやっと残りの家族の朝食が始まりでした。ばあばが栄二君に、

「魚に骨があるからほぐしてあげるね」

と言って骨を取り外してくれた。

栄二はそれをスプーンですくい口に入れて食べ始めた。         

目玉焼きは自分で小さくして口にほおばった。

ばあばが

「美味しいかい、でもゆっくり食べてね」

と言ったので栄二君も

「うん大丈夫だよ」

と言い返した。

他の皆もゆっくり朝食を食べていた。食事が終わると栄二君は椅子から降りて今のテレビつけて見ていた。

その間食事の後片付けづけをばあばとおばさんがしていた。栄二君はばあばに

「後片付け終わったら表に遊びに行こう」

と言うと

「はいはい、分かっていますよ」

と返事が返ってきました。

「いつもの公園に行こうね」

と念おしする様に頼んだ。この公園は家から十五分くらいのところにあり幼児用の遊び遊具がそろっていた。栄二はさらに

「帰りに吉田屋さんも行こうね」

と更に念おしした。

吉田屋さんはもう何十年も営業している駄菓子屋さんでぱっと見は緑のトタン屋根で外壁もトタンでぱっと見は崩れそうなお店であった。

「はい分かりましたよ、栄二君ちょっと待ってね、後片付けもう少しで終わるから」

「はい、いいですよ待てますから」

と栄二は良く分からないテレビを眺めて言いました。

栄二は叔母さんに

「このテレビ何の番組」

と聞くとおばさんは洗い物を途中で手を止めて、テレビの前に来ると

「此れはね子供向けの番組だよ、何か気に入ったぬいぐるみいたの」

と聞いてきたので、

「このぬいぐるみが気に入った」

とテレビのキャラクターを指をさした。叔母さんは

「あっそうこれが気に入ったんだ」

「これはねこの番組で一番人気なのだよ」

と教えてくれた。

叔母さんは再び台所に戻り洗い物を始めた。栄二が一人テレビを暫く眺めていると台所のガチャガチャ音が聞こえなくなった。すると暫くしてばあばが

「台所の片づけが終わったから出かけましょうか」

と栄二に言った。栄二は

「やった、じゃあ早く行こう」

と元気よく返事をし、わくわく感がこみあげてきた。テレビの前からすっくと立ち上がり  

廊下を小走りで玄関に向かい靴を履いて、

「早く行こうよ」

とばあばを呼んだ。すると

「はいはいでもちょつと待っていて」

とばあばが廊下をとことこと歩いてやってきた。ばあばも靴を履いて、

「じゃあ行こうかね」

と栄二の頭を軽くなでた。玄関の扉を開けて一緒に外へ出た。栄二は嬉しくて何時もの事だがわくわくしていた。

二人は何時も来ている公園に向かった。

家の前の坂道を下り横断歩道を渡り左に曲がって五分位の所にある下町公園に着いた。栄二は一人鉄棒やブランコに乗ったりして遊んだ。その後栄二はばあばに少し気になっている事を尋ねた。それは、

「ばあば、何で僕は何時も一人なの、何でみんなと違うの」

と問いて来たので。

するとばあばがこう答えた。栄二君、

「一人じゃないよばあばも居るし勝や浩二もいるでしょ」

「其れはそうなんだけど何か普段からうまく言えないんだけど何か変なんだよな」

と呟いた。まあいいや、と言って再び自動車のタイヤで遊び始めた。

そこそこ遊び終えた栄二はお決まりの駄菓子屋吉田屋に行こうとばあばを誘いばあばは座っていたベンチから腰を上げると

「もう十分遊んだでしょ。じゃあ吉田屋さんに行きましょう」

と今時珍しい吉田屋に向かった。

吉田屋は公園家と逆方面で十五分位の所にあった。

其処まで二人でてくてく歩いて向かった。向かっている途中でも栄二の頭の中では今だ一人で居る様な気持ちは晴れていなかった。  

暫くすると吉田屋に到着した。店の中には誰もいない様子なので栄二は店の奥に入って行って

「すいません」

とできる限りの声で店の人を呼んだ。すると中から

「ハーイ今行きます」

と女の人の声が聞こえた。

「はい、いらっしゃい何にしますか」

と問いかけられて栄二は少し悩んで「えーとこのお餅に粉の降ってあるやつ一つとこの棒が入っているやつ一つとあのとぶ飛行機一つください。

ばあばから一日三個までにしなさいと前々から言われていたのでそれを守る様にしていた。栄二は

「よし、この飛行機を勝や浩二に飛ばしてもらおう」

と思っていた。今時そんな物で遊ぶ時代では無いとは思ってもいたがそんな事は気にしない。

ばあばがお金の支払いを済まして昼食の準備があるので二人は帰宅する事にした。まあ叔母さんが準備していると思われたが帰宅するのは昼過ぎになってしまいそうだった。昼食が出来ていないとじいじが困るので少し心配があった。家に着くと

「ただいま、お腹空いた」

と栄二が言うと案の定昼食は叔母さんが作ってあった。

「今日の昼食は何」と言うと叔母さんが

「冷やしうどんとサラダと果物ですよ。栄二君は食べづらいと思ったからハサミで細かくしておいたから大丈夫だと思うよ」

と言われた。

栄二は嗽と手洗いを済ませ台所の自分の椅子に座った。もうすでにじいじは食べ終わっていて自分の部屋に戻っていた。残すは自分たち三人だけだった。

栄二のうどんは短く切ってありフォークで食べることが出来ました。

「うーん美味しいよ」

と叔母さんに言うと

「それはよかった」

と返事が返ってきた。時間はすでに十三時を過ぎていました。

栄二は食べ終わると椅子から降りてまた居間にあるテレビをつけて眺めていた。栄二は

「勝と浩二は何時ごろ帰って来るの」

と皆に聞くと

「三時くらいだよ」

と言われた。

栄二はそれ迄また一人かと思った。

そうだ少し寝る事にしようと思い今から出てじいじの部屋に向かった。普段は此処でばあばと共に寝ているのだった。寝て待っていると玄関から

「ただいま」

という声が聞こえてきた。勝と浩二が小学校から帰ってきた。二人は洗面所で手を洗いそして嗽をしてから二階の自分達の部屋でランドセルを下してから居間に降りてきてテレビゲームを始めていた。

其処に栄二が寝床から起きてきて

「おかえりなさい、あのね今日飛行機買ってもらったから飛ばして見て」

と尋ねるとやっていたゲームを止めて

「あーいいよ、どんなの買ってもらったの?」二人が覗き込んだ。

「此れかーこれはねープロペラを回して個々のゴムを巻くのだよ」

と答えて飛ばせて見せてくれた。

「あーほんとだ飛んだね」

と満足したのかご満悦でよしやってみようと今度は自分でやってみた。

すると矢張りうまく飛んだのでもっと満面の笑みで喜んでいた。二人はまたテレビゲームに戻った。今度はそれが気になり

「ねえ、そのゲーム僕には出来ないの?」と言うと

「出来ないことはないけどやってみるかい?と勝が答えた。

「うん、やってみたい」

と言うと

「じゃねここのボタンを押してこうするとこう動くんだよ」

と手取り足取り教えてくれた。

すると栄二も物覚えが良いのか何となくゲームができるようになっていると勝が

「栄二君すごいなもう少しできるじゃん」

と驚いていた。

「今度は対戦してみようよ、そうすれば一緒に遊べるからね」

と言った。栄二達が遊んでいる時ばあばと叔母さんは夕食の準備を台所でしていた。するとばあばが十八時半ごろ

「もうすぐご飯できるから手を洗ってきなさい」と言った。三人は「はーい」

と言って洗面所に向かい手を洗った。そして自分たちの席に着いた。浩二が「今日のご飯は何」

と尋ねるとばあばが

「今日はすき焼きと豆腐の味噌汁と漬物だ

よ熱いから気お付けてね」

と答えた。

少しでも栄二が家族と仲良くなるように「やったーすき焼きだって」

勝が言った。

栄二の分はばあばが小さく切ってふうふうとして取り分けてくれた。

栄二は美味しいと言いながらゆっくり食べていた。他の二人も鍋から取りながら美味しいと言いながら食べていた。

勝が食べながら

「栄二君ご飯食べたらお風呂に一緒に入ろと言ったた。栄二は

「うん、入ろう」

と答えた。そんな会話をしているうちにお腹もいっぱいになったので

「ご馳走さま」

と言って席を立った。ばあばが

「まだお風呂のお湯が入ってないから今入れるから少し待っていて」

と言うので三人はまた居間にあるテレビゲームをして待つことにした。

「栄二君ちょっと対戦してみる」

と勝が言ったので栄二は

「うん、やってみる」

と返事をした。

テレビゲームを暫くしているとばあばが

「お風呂のお湯張れたからもう入れるよ」

と言ったのでゲームを止めてお風呂場に向かった。三人は服を脱いで洗濯籠に服を入れてお風呂場に入った。栄二が

「二人にもこのぶらぶらしているのが付いてるね」

と股間を指さした。すると

「男の子は皆なついてるよ」

と浩二が言った。そして勝が栄二も体をごしごしと洗ってくれた。勝も自分の体を洗い終わると栄二と一緒に湯舟に入った。その間に浩二も自分でごしごしと体を洗っていた。二人が湯船から出ると次は浩二が湯船に入った。風呂から出ると勝が栄二の体を拭いてくれた。栄二は素っ裸で廊下を小走りで台所に向かいばあばに

「お風呂から出たよ、服を着せて」

と言った」

ばあばは

「はいはいちょっと待って今パジャマ持ってくるから」

と言って食事の後片づけを叔母さんに任せて自分の部屋から持ってきて栄二に着せた。勝と浩二も自分の部屋に行ってパジャマを着て下の居間に来ていた。

すると勝と浩二はテレビゲームで対戦を始めた。栄二はそれを暫く見て動き方やボタンの使い方を眺めていた。

そんな日々が続き日曜日がきた。今日は学校も休みなので勝も浩二も家にいて矢張り居間で朝からゲームを始めていた。そんな時ピンポーンと音がして誰かが来たようだった。栄二が廊下を小走りで玄関に向かい扉を開けるとそこには大人の人が二人と子供が一人立っていた。後からばあばが玄関に来て

「いらっしゃい疲れたでしょう」

と言うと

「何時も面倒をかけてすいません」

と男の人が問いかけてきた。栄二はこの人たち知り合いみたいだけど誰だと思った。すると三人は玄関から家に入ってきて居間に向かい座りだした。

すると女の人のほうが紙袋を

「つまらないものですが」

と言ってばあばに渡した。すると栄二に向かって

「いい子にして面倒かけてない」

と言ってきた。栄二は何だか馴れ馴れしいなと思っていた。ばあばと話し込んで

「家も大分出来上がってきたしもう少しで引っ越しももう直ぐ出来ますので」

とか話していた。子供の方は矢張り知っているのか勝と

浩二と話している。栄二は

「皆知っているみたいで知らないのは僕だけか」

と思って一人なのは僕だけかと思っていた。そんな中男の子は勝と浩二とテレビゲームを始めていた。

栄二は居間で一人飛行機を飛ばしたりゲームを眺めたりしていた。この日の昼食は出前のお寿司だった。そのお寿司を台所のテーブルに叔母さんが置いて昼ごはんよと言って小皿を配り終えていた。

栄二は自分の席に着き食べ始めた。他の人はまだ話をしたり、ゲームをしたりしていた。栄二が食べ終わると、今日来た三人組も台所に来て席に着き食べ始めていた。栄二は一人で

「この三人組は誰なんだ」

と思っていた。そんなことをしているともう夕方になっていた

「そろそろ遅くなりますので帰ります。」

と男のほうがばあばに言った。

「あっそう、うちは平気なのに」

とありきたりの返事をした。が

「私も明日朝が早いのでこの辺で失礼致します」

と男の方が言った。

そして立ち上がると他の二人も立ち上がったそして廊下を玄関の法へ向かって歩いて行った。

栄二もそれをおうように玄関に小走りで見送りに向かった。そして三人向かって手を振り

「じゃあねバイバイ」

と言って手を振った。すると女の方が

「栄二皆に面倒かけない様にいい子にしててね」と言ってばあばと勝と浩二に宜しくと言って出て行った。栄二は何だか良く分からないこと言われたなぁと思いながら見送った。

栄二は

「あの人達は誰なの?」

とばあに尋ねると、

「栄二君の家族だよ」

と答えた。

「えー家族と言っても一緒に住んでないしどういう事、家族なら一緒に住んでいるはずでしょう何でなんだろう」

と不思議に思った。

そう思いながら居間で勝と浩二のもとに行きゲームに混ぜてもらった。其処でも栄二は二人に

「さっきの人たち僕の家族だって。知ってたの」

と聞くと

「そうだよ栄二君の父親と母親とお兄さんだよ」

と勝が答えた。栄二は

「えー皆知ってたの」

と栄二は答えた。なんだか急に僕だけ皆とは違うんだ、矢張り一人ぼっちなんだと思って急に皆と距離を感じてきた気がした。

ばあばが食事の準備をするので台所に向かった。叔母さんも台所に立った。そこでトントンと野菜を切る音がした。栄二は其の距離をはねのける様に

「今日のご飯は何?」

と思い切って尋ねると

「今日はねカレーライスとワカメのお味噌汁と漬物ですよ」

とばあばがいつもと変わらない返事をしてくれた。栄二はそれでも何かさっきの家族と言う思いが気になっていて、ゲームを見ながら気になっってしょうがなかった。ゲームは交代交代でやりそんな事をしているとばあばが

「ご飯できたから手を洗って来なさい」

と言ったので皆で洗面所に向かい順番に手を洗って台所の席に着いた。栄二の分と勝と浩二の分と分けてカレーライスがテーブルに置かれてきた。それをスプーンですくいながらもぐもぐと食べ始めた。

食べてる間も矢張り華族と言うのがどうも気になって仕方がなかったので、しつこいようだが勝に

「じゃあ僕は皆と違う家族がいたの?だけどあの家族たちと一緒にいないじゃないでしょ

と再び問いかけると勝は

「うーんとそれは僕にも良く分からないだけど栄二君はあの家族の一員なんだよ」

と答えた。

「ふーん、そうなんだ何かおかしいね」

と栄二は答えた。ばあばが皆が食事している間にお風呂場に行きお風呂に湯を張りに行った。

そして食事が終わると何時もの様にご馳走様と言って席を立ち洗面所で歯を磨き再び居間のテレビゲームを始めて少しやっていると、ばあばが

「お風呂入れてあるから入ってらっしゃい」

と言ったので三人は

「はーい、じゃあ入ってきます」

と勝が答えてテレビゲームのスイッチを切った。

何時もの様に三人でお風呂場に向かい栄二の服を勝が脱がし自分の服も脱いで洗濯籠に入れた。そして何時もの様に勝が栄二の体をゴシゴシと洗ってくれてその後自分の体もゴシゴシと洗い石鹸を洗い流して栄二君と勝でお風呂に入った。

暫く湯船につかってから鵜舟から出て勝がタオルで栄二の体を拭いてその後自分の体も拭いた。その間浩二は遅れて湯舟に入っていた。

栄二は何時もの様に素っ裸でばあばの元へ廊下を小走りに走り向かいパジャマを着せてもらった。今日は色々とあって疲れたので勝たちに

「おやすみなさい」

と言ってばあばの寝床に早めに入った。そんな毎日がアッという間に過ぎていきまた日曜日が訪れた。

するとまた午前十時位にピンポーンと玄関から聞こえた。栄二はまた廊下を小走りに歩き玄関の扉を開けた。するとそこには先週来た家族なる者達が立っていた。遅れてばあばも玄関に来てそして

「いらっしゃい毎週大変でしょう。栄二君は何時もいい子にしているから大丈夫ですよ」

と三人向かって言った。また三人は玄関で靴を脱ぎ家の中へ入ってきて居間に腰を下ろした。

栄二は気になって気になってしょうがなかった家族である事を何とか調べておきたいと思ってしょうがなかった。しかし大人達は腰を下ろしてからばあばと

「家の引っ越しも大体済みまして」

とか話こんでいた。子供の方は勝と浩二と再びテレビゲームを始めていた。栄二は間を見て本人たちに家族である事を確かめたくてしょうがなかった。そこで叔父さんの方に

「ねえ叔父さんは僕のお父さんなの?」

と栄二は尋ねた。すると叔父さんは

「そうだよ。訳があって栄二とは一緒に住んでないけどね」

と答えた。どんな訳があるんだ。そんなの可笑しいじゃないか。どんな訳があると言うんだ。

どんな事があっても一緒に居なければおかしいじゃないかと思っていた。叔母さんはまだ話しているが途中割って入り

「叔母さんは僕のお母さんなの」

と尋ねると

「そうだよ」

と答えてニコニコして軽く頭をなでてそう答えて

「栄二が良い子にしているみたいで安心したよ」

と答えた。

「ふーん」

と栄二は矢張り何で一緒に居ないんだとまたも矢張りおかしいと思った。じゃあこっちの子供にも

「あのさあ君は僕のお兄さんなの?」

と尋ねると

「そうだよ何で知らなかったの」

と言われたから

「知らなかったよ」

と返事を返した。そして栄二は矢張り家族なんだ。だけど僕は邪魔で一人ばあばの家に

「僕、今度何かで打たれたり叩かれたりしたら交番のお巡りさんに言うんだよすると直ぐにお巡りさんが駆けつける様にしておくからいいね。」と言って帰つて行きました。

一は栄二にそんな事していたなんて知らなくてごめんね。」と優しく言ってくれた。一は礼子が元教師だったので安心して任せていた事に後悔していたが皆がいない時の栄二の扱いが心配でならなかった。栄二もそれをとても恐れていた。お巡りさんまで連れてきてしまったのでこれから先どうなるのかがとても不安だった。また分からない様に仕返しが来るのではないかと。翌日は礼子が昨日はごめんなさい私も恵が生まれて少しイライラしていたのが度が過ぎてしまったのもうあんな仕打ちはしない様にするから許してねと栄二に言って来たのだった。


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