月に憧れる池の魚の話
短い童話です。
昔々の話です。ある夜、池の中を泳いでいた魚が、夜空を見上げると、とても美しく、それでいて心が落ち着くものを見つけました。それは月でした。以来、魚は毎晩、月を見上げ、その表情を変える様子を見ては、美しい月に憧れを抱きました。
ある日、魚は水面に浮かぶ月を見つけ、月が自分を訪ねてきたのだと喜びました。魚は近づいてみると、月は水面に映ったものであり、近づいては消え、また近づいては消えてしまうものでした。しかし、魚は喜びを感じながらも、その幻影に近づくことを止めませんでした。消えてしまう刹那さよりも、そこに映っている月に対する感謝の気持ちが勝っていたのです。
神様は、そんな魚の想いを知り、魚に名前を与えました。それ以来、その魚は「コイ」と呼ばれるようになったのです。
初めての投稿になりました、入力の仕方が 上手くいかなくて。