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 マンションを引き払い、家財道具の整理が行われた。双方の金銭処理が済むと、メリアはアパートを借りて、息子と二人で暮らし始めた。

 自殺しかねないほどに憔悴しきった凌は一人にしておける状況ではなく。飼い猫のスイとともに、再び良光の家へと引き取られることが決まった。

 心配な状況に、メンバーが代わる代わる訪ねては様子をうかがっていた。

「歌詞、できてねーの?」

「書く気分じゃない」

「その気分でいいから、次までな」

 リビングの隅で丸くなる凌に、香月はそう言いおいて立ち上がった。

 顔を見に行った全員が、ヤバいんじゃないかと言うほどに、凌は追い詰められて絶望した顔をしていた。それでも、メンバーは立ち直るのを待つと決めていた。音源を作りながら、いつでも再開できるように準備を続けた。

 無事に個人事務所が版権を管理できることとなった。社長には良光が就任し、副社長には児玉と井戸があたる。新しいファンクラブを立ち上げ、ホームページも作られた。再始動へ向けて、着実に動き始めていた。

「おっちゃん、これなんて読むの?」

 紙に〈apollyon〉と書かれた文字をみながら、良光は命名者である越智に意味を聞く。

「アポルオン。破壊者って意味だよ」

「作った傍から会社壊さないで。このファンクラブ名、小さい池? Small pound? 香月なんで?」

「小さな池で育った大魚。井の中の蛙、大海を知らずみたいなやつ」

 色々とバタバタしていた良光は、名前を決めてくれていたメンバーに感謝しながら、この名前で大丈夫かと不安になる。



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