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仮にも最高権力者です

「あ、あのー、ヤマトさん?」

「?どうしたのソニアさん」

「私は今何が起きていたかわかんないのですが、というか認知したくないんですが」

「そんな、認知してくれないだなんて…私とは遊びだったのね!」

「それどっちかといえば私のセリフじゃないですか!いえ、そうではなく…」


あのクズ野郎を外に投げ飛ばして喜んでいたところでソニアさんに話しかけられる。

でも何やら歯切れ悪そうだ。

まあ、懸念してることはよくわかる。

だって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだから、気が気でないのだろう。

後のことを恐れてか、今まで《六流星(ステラ)》に危害を加えたものは実はいなかったりする。

まあ命なんていくつあっても足りないからいい判断とも言えるけど。

不安になっているソニアさんに向けて、俺は笑顔でこう言う


「大丈夫だソニアさん!何とかなる!」

「そういうのって一番あてにしちゃいけないやつじゃないですか!もうやだこの人!」

「ちょっと待って?俺評価だだ下がりじゃん?なんで?」

「もうヤマトさんなんて知りません!助けてくれたのは嬉しかったし、かっこよかったですけど…(ボソッ)」

「ん?今なんか言った?」

「何も言ってません!もうっ!」


最後の方はよく聞き取れなかったけど見るからに怒っている。

なんでかはわからないけど、後で賄賂送っておこう。

といっても俺ってば借金抱えてるんですけどね。

そんなことを考えながらソニアさんと話していると、大穴からロックが出てくる。


「テメェ…!よくもここまでやってくれたな…!」

「まあそりゃやるよね。ギルドでいいように暴れて、どこぞの迷惑客みたいだったよ」

「無駄口を叩くのもここまでだ!俺は《六流星》だぞ!どうなるかわかってんだろうなあ?」

「ヤマトさん…」


またソニアさんが不安そうにこちらを見ている。

そんなソニアさんに向かって「大丈夫」と一言言っておく。

何とかなるは、嘘じゃないから。


「いやいやいや、お前に何の権限があってそんなこと言ってんだか、俺にはよくわからんのよ」

「は?マジで言ってんのお前?まずはそこから説明してやんなきゃ…」

「そりゃそうだろう。《六流星》だって一冒険者だ。誰より偉いっていっても、冒険者の枠組みから外れちゃいけねえだろ」

「……はぁ?」


またもや騒然とする。

みんなしてこいつ何言ってんの?みたいな目で見ないでほしい。

ちゃんと理由話すから。


「まず《六流星》って冒険者内での争いをなくすために作られた称号だ。決して自分の私利私欲のために使っていいもんじゃねえ。ましてやその《六流星》が争いの火種になっていいわけがない」

「……」

「お前は人を傷つけ、脅し、都合のいいように使い、建物を壊し、周囲に迷惑をかけた。それは一冒険者がやっていいことじゃないし、そんな思考は独裁者とほぼ変わんない。《六流星》だとしても、到底許されることじゃない」

「テメェふざけたこと言ってんじゃ…」

「あ、それとね、お前が入ってきたあたりから撮影機を使って一部始終全部録画してるから。もちろん音もバッチリ入ってる」

「んな!?」


俺は撮影機を手に取り、高らかと上げてみせる。

最近の撮影機は高性能で、遠くてもちゃんと音が拾える優れものなのだ。

撮影機を見せてからロックの顔が青ざめてきている。

ようやく意味が分かったのだろう。

《六流星》とは国が決めた称号なので、先ほどの映像を提出すれば称号剥奪なんてこともあり得る。


「ギルドの修繕費とかはとりあえずいいから、さっさと帰ってくんねえか?流石に大事にしても困るのはあんただろ?」

「チッ…めんどくせえことしやがる…」


ロックはイライラしながら出入り口から帰っていく。

帰るときは自分で空けた大穴使わないんだなと思った。

とりあえず厄介者もいなくなったわけだし…


「ね?ソニアさん、なんとかなったでしょ?」

「なんとかはなりましたけど生きた心地はしませんでした…」


ソニアさんはそのままへたり込み、安堵する。

うん、やっぱり平和が一番だな。


突如《六流星》が乱入してきたことには予想外だったけど、まあ何事もなくて良かったと思った。


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