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11:Aランク冒険者


 葉桜がエルザと話を始めた。そんな中でガルフはじーっと葉桜を観察している。その近くには冒険者として活動している魔術師が二人いた。


 その魔術師のうち一人は攻撃魔法を得意としている。魔術師も得意な分野があり区分されていた。攻撃魔法が得意なアメリアは黒魔術師で回復魔法が得意なムチリアは白魔術師となっている。


 黒魔術師は魔力を変換し炎の玉や風の刃に変えて魔物を殺していた。一方、白魔術師のムチリアは仲間の傷を治すのが得意で冒険者の中でも重宝されている。回復できるのは傷だけでは無く、自身の魔力を仲間に分け与える事も得意だ。だから、攻撃するアメリアの魔力が切れても予備の魔力源としても機能している。


 その魔術師はガルフとパーティーを組んでいた。近距離専門の獣人ガルフとエルフの混血であるアメリアとムチリアの姉妹は相性も良い。


「あの子の武器は木剣か……」


 ガルフは葉桜の腰に掛けている武器を眺めて呟いた。


「夢見る坊やって感じでいいじゃないですか。ああいう子が本番で泣き叫ぶんでしょう?」


 アメリアが今までの経験を思い出すように言った。


 三人は依頼ボードから離れた位置に席を取り座っていた。今の依頼を見ると仕事内容と報酬を考えると別に受ける仕事は無いと判断している。


「多分あの子は純粋な人間だよなぁ……ったく、人間は弱くて驚いちまうよなぁ……」


 そんな人間の悪口を言っているとガルフの前に珍しい人物が姿を現した。


「その弱い人間の中に私も入っているのかな?」

「げっ……正人……」


 ガルフと正人は同時期に冒険者になっていた。その時も何度か衝突することがあったのだが、正人は人間にしては規格外で獣人ガルフの力をも超えている。その結果、正人の冒険者としてギルドが下した評価はAランクとなっていた。一方のガルフはCランク冒険者となっている。新設したばかりの組織――ギルドだが、Aランクの冒険者は数が少ない。ポリュス王国には一人しかいない、他の国を入れるとたったの五名である。Cランクも上位に入るが……ガルフは気にしていた。


 そして、何より正人が居ると……。


「正人様! 今から依頼を受けるんですか? 是非私も一緒に……」


 先ほどまでの態度と打って変わってアメリアの目が輝く。やれやれと言った様子でガルフはため息を吐いていた。


「アメリアさん。ガルフが変な顔をしているよ?」

「ガルフ何て気にしないでいいわよ。今日の依頼は内容の割に微妙なのよねぇ……正人さんが受ける仕事はほら……報酬もいいし!」

「ランクが低くて悪かったなぁ!」


 ふてくされるガルフはランクが低くて専属の依頼を受けられない。受付嬢から特別に難易度が高く報酬が依頼ボードとは全く違う依頼を受ける為にはBランク以上が必要とされていた。ガルフの実力ではまだ足りない……見る目がねぇなぁギルドの偉い人は! とガルフは思っているがその規定を固めたのは目の前にいる正人だった。


「私も依頼の打ち合わせで来ただけで、今日は空いてるんだ。近くにダンジョンが発生したらしくてね? そのダンジョンを攻略するパーティーメンバーを集めようとしている感じ……かな? もちろんガルフも視野に入れてるからその時は宜しくね?」

「金しだいだ。てかお前と一緒なのが気に食わん」

「そんなことを言わないでくれよー。君の強さを私は知っている。もちろん君たちもね?」


 そう言って正人はアメリアとムチリアにも視線を向けた。


「はぁーい!その時は精一杯頑張ります! 敵を燃やして燃やして燃やし尽くします! ね?」

「う、うん」


 アメリアと違い積極的な反応を正人に出来ないムチリアが小さくうなずいた。


「でもまぁ、人を集めるってのは大変だろうよ正人。さっき、新人が来たんだけど見てみな? 木剣を担いでくるんだぜ?」


 ガルフの指をさした先を正人は見た。そこには黒髪に動きやすそうな皮の服を着た少年が木剣を腰に差していた。その隣には他で見たことのない奇抜な服装に身を包み赤色に髪を染めた少女が受付嬢から話を聞いている。


「む、メイド服? あの子……」


 正人がセラを見て小さく呟く声をアメリアは聞いていた。


「な? 木剣だろ? そんなんじゃオークを相手に出来るのか心配だぜ」

「あぁ、木剣ね。ふむふむ……鑑定……おぉ。なるほど」


 ぶつぶつと呟く変な正人にガルフは眉をひそめていた。


「どうした正人よ」

「ふふ。ありがとうガルフ。私はちょっとあの子達に声を掛けてくるよ」


 そう言ってガルフの元を去り正人は葉桜の元へ歩いて行った。


 置いてけぼりの三人……アメリアが口を開く。


「もしかして、正人様はあの小娘が気にいったのかしら。えー、うそでしょ?」

「まぁまぁ、別にそうと決まった訳でも無いでしょう? アメリア」


 ムチリアがなだめている。


「俺はもっと毛深い方がいいけどなぁ」


 そんな事を呟くガルフをアメリアはにらみつけていた。


「あんたの趣味なんてどうでもいいのよ。もう。あ、見て見てあの二人を連れて別室に行くわ。どうして? ねぇ!」

「俺が知るわけないだろう。もしかしたら正人はなんだ……細身の方が好きなのかもな」


 アメリアの胸をガルフは指さしていた。


「正人以外の人間は声を掛ければすぐ落ちるのに……」


 自慢のボディが負けた可能性にアメリアは苛ついている。


「あの子達なんて、どうせちょっとした魔物に襲われてすぐに死ぬのよ。あー、あー!」

「不謹慎だぞアメリア。ああいう子が活躍できるように大きな案件を俺達でこなすのさ」


 生活の為にポリュス王国へ訪れて冒険者となる人も多い、そういった人たちが無理に自分のランクよりも高い依頼を受けると死亡率が跳ね上がる。もしも、ガルフ達が下位のランクを受け続けていたら初心者の冒険者たちは無理をしなければならない場合が発生するだろう。


 基本的にはそういったことが起きない様に報酬の割合もランクで大きく違う。駆け出しのFランク冒険者の依頼はとても低いがそれだけを毎日やることでこのポリュス王国では最低限の生活が出来る様になっていた。


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