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帰還と出発準備

地竜襲撃から2日目の昼前。

わたしの傷も癒えたことでわたし達は家に戻ることにした。

村長宅前には村長と村長夫人、それにルルビとアネモスのお兄さんの姿があった。


『お世話になりました』


わたしと背負われたソアレとラミナが村長と村長夫人に頭を下げると


「いやいや、わしらの方も世話になったよ」


と村長達も頭を下げた。


「それでは私達は家に帰ります。村長たちもお元気で」


村長と村長夫人、ルルビとアネモスのお兄さんにラミナは微笑みかけた。


「お前さんらも元気で。また、遊びに来ておくれよ」


村長夫人の言葉にソアレが「あい~」と可愛らしく返事をした。

その場いる全員が笑顔になったところでわたし達は家路に向かおうとすると背後からぎゅっと手を握られた。

振り返るとその手の主はアネモスのお兄さんだった。


「弟の仇と妹を助けてくれたこと、本当にありがとう」


言葉と共に握られる力が強くなった。

どう応えるべきなのだろう。慰め?謝罪?どれが正解なのかわたしが困惑していると


「また、遊びにきてくださいですの」


握られた手の上にルルビの手と笑顔が添えられた。


『また来るよ。ルルビもお兄さんも元気で』


「ああ」


「はいですの」


短く二人は答えると握られた手は離され、わたしは軽く二人に手を振ると背中のソアレも二人に手を振っていた。


家に着き、荷物の整理が終わるとラミナがわたしに向かって


「ちょっと探しものがあるの。ソアレのことお願いね」


頼むと寝室の左奥の扉の奥へと消えていった。


確か左奥の扉の向こうは薬草の生成とか魔道具製作とかの工作部屋だったなぁ。

その更に奥に倉庫があったからそこに探しものなんだろうけど…こないだ掃除した時、扉自身が結構埃被ってたけど見つかるのかな?

そんな一抹の不安を抱えながらわたしとソアレはベットに腰かけ、ソアレのねだった絵本をわたしは読み始めた。


不安は的中して、結局夜になってソアレが眠ってもラミナは戻らなかった。


「ふみゃあ、ふみゃあ」


いつの間にかわたしも眠っていたようでソアレの泣き声で起きるとソアレの眠る篭の横でラミナがスウスウと寝息を立てていた。

泣くソアレを抱き上げると案の定オムツがずぶ濡れになっていた。

流石にオムツ換えは慣れた。手早く換え、濡れた篭の布団を取り合える。

暫く抱いて背中を軽く叩いていると泣き声は寝息に変わっていた。

そっと、ソアレを篭に戻し、部屋を見回すと作業机の上に実物の鶏と同サイズの風見鶏が置かれていた。

どうやらこれが探しものみたいだが、屋根の上に置く以外に何に使うだろう?

疑問はあるがさすがにラミナを起こしてまで聞こうとは思わなかった。

ラミナのはだけた毛布をかけ直し、汚れ物の篭の中にオムツを放り込むとわたしは日課の洗濯に向かった。

洗濯も終わり、キッチン周りの整頓が終わってもまだラミナとソアレは起きる気配がなかった。

さて、どうしよう?

朝食でも作っていたら喜ぶのだろうなぁ。

いっぱい心配をかけたラミナに少しでも喜んでもらえたら良いけどけど、生憎わたしは味見が出来ない。

いや、焼くだけとかなら出来なくもないな。

石箱の中をみると卵とハムとパンがあった。これなら1品くらいは出来そうだ。

最初に塊のパンを8等分にスライスして3枚フライパンで両面を焼いて皿に移す。次いで空いたフライパンにハムを3切れ、卵を3つ割りいれた。

同時に隣のコンロに小鍋に山羊乳を注ぎ入れ、火をかけ暖める。

ジューとハムの焼ける良い匂いが立ち始めると、バタンと扉が開き目を輝かせたラミナが顔を覗かせた。


「おはよう。良い匂いね」


『おはよう。ハムエッグとトーストだけでごめん』


「ううん。作ってくれただけでも嬉しい」


笑顔で席に着くラミナの前に置かれた皿に焼きたてのハムエッグを移し、隣に焼いたパンと温めた山羊乳に蜂蜜をくわえたカップを置いた。


「いただきまーす。うーん美味しい」


手を合わせ、パンにハムエッグを乗せかじりつくラミナの顔は緩みぱなしだった。


『お気に召したようで光栄です』


わざと仰々しく片腕を振り胸の前で止め一礼する。

顔を上げラミナと目が合うとどちらともなく小さく声を上げて笑っていた。




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