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それは良く晴れた休日のことでした

空はよく晴れ、気温も心地よいと感じる穏やかな休日。

ここ、国立公園には多くの人々が余暇を過ごしに訪れていた。


訪れる人々はシンプルな布の服に身を包んだ人族、様々な色の毛並みを持つ獣人族、昆虫のような羽根を持つ妖精族、人族とよく似ているがその頭上には立派な角を持つ魔人族等その他にも多彩に渡る種族が穏やかに微笑み語りあっていた。


北には博物館、南には美術館、西には闘技場、東には劇場,中央には強大な噴水広場があり、夏場は水遊び場、冬場はスケートリンクとこの公園だけでほぼ全ての娯楽を網羅していた。


北の博物館に人族の老人と少女が向かっていた。

どうやら、祖父と孫のようで少女は老人の手を取り笑いかけていた。

二人を迎え入れるかのように博物館の荘厳な扉は開け放たれ、扉の左右には家族の肖像と思われる巨大な壁画が飾られていた。


扉までには20段ほどの階段を上りきった少女は壁画の前で止まり、


「おじいちゃん、早く」


と少女が手招きすると老人は


「ほいほい、今行くよ」


と返しゆっくりとした足取りで階段を上り少女の後を追った。

老人が階段を上りきると少女は愛おしそうに壁画を指でなぞっていた。


壁画にはやや緊張した面持ちの金色の髪に紫の瞳の少年を中心に右側には薄水色の髪を肩でそろえ、藍色の瞳の妖艶さを持ちながらどこか可愛らしい雰囲気のある女性が微笑みを浮かべ、左側には漆黒の艶やかな髪を腰まで真っ直ぐに伸ばし、紫の瞳と竜のような角をこめかみから


生やした美しい少女もまた微笑を浮かべていた。

三人の後ろには控えるように立派な白銀鎧の騎士の姿があった。


「あたし、この絵大好き!」


老人に向き直りにっこり少女が笑うと


「そうじゃな、良い絵じゃな」


老人も笑顔で返した。


「あら、貴方方もこの絵が好きなの?」


不意に声をかけられ少女が振り返ると白髪に薄紫のドレスが良く似合う品の良さそうな人族の老貴婦人が軽く手を振り微笑んでいた。


「はい、大好きです」


笑顔で答える少女に老貴婦人は尋ねた。


「じゃあ、貴女はこの絵がどうして描かれたかは知っているかしら?」


老貴婦人の問いに少女は首を横に振って答えた。


「お時間はあるかしら?」


老貴婦人の問いに少女は老人の方を仰ぎ見ると老人は首を縦に振っていた。


「はい、あります」


「そう、それじゃあ立ち話もあれね」


老貴婦人がぱちんと指を鳴らすとぽんと可愛らしい破裂音とともに三脚の椅子とテーブルが現れ、テーブルの上には焼きたての美味しそうなクッキーと淹れたての紅茶が湯気を立てていた。


「お座りになって」


老貴婦人に促され少女と老人が椅子に腰掛けると老貴婦人も優雅という言葉が似合う仕草で腰をかけた。腰かけ一口、紅茶を含むと老貴婦人は語り始めた。


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