表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界コンティニュー ~ユグドラシルの奇蹟~  作者: 星神凛花
第一章 「異世界からの冒険者編」
30/45

第二十九話 パーティー

 禍々しい魔力を高める、元は人間であった魔物は、自分の魔法を雷で撃ち落としたエイジを睨み付け、敵意と殺意を向ける。

 そして、コボルドの魔鎧種同様に、自分へと強化魔法を掛けると、驚異的な脚力で地面を破壊して、物凄い速さでエイジに飛び掛かる。


「速いな。でも――」


 エイジは自分の体を後ろに倒して魔物の攻撃をかわすと、


「――見切れない程じゃないッ!!」


 自分の上を通過しようとした魔物を、左腕で天井まで殴り飛ばした。

 だが、魔物は殴られる寸前に両腕で防御してダメージを軽減しており、天井を蹴ってエイジへと急降下してきたのだ。

 その速度は、上から下へと重力に従う為、先程の攻撃より速く、エイジが避けるか防御かを悩んだ瞬間、炎と氷の魔法が魔物を挟み撃ちにする形で放たれた。

 魔物は、空中に魔法の障壁を創り、それを蹴って攻撃をかわしたが、着地するポイントが変わり、エイジに攻撃が出来なかったうえ、着地した瞬間に斬撃の直撃をくらった。


「サンキュー、二人共。お陰で合成するのが間に合ったよ」


「一番の怪我人にばかり無茶はさせられないからね!」


「カイトらしいな……」


 二人がエイジの元へと駆け寄り、カイトがエイジへとそう話した時、魔物は空気も読まずに直進し出す。

 だが、鎖が体に巻き付き、魔物の動きを止めた。


「なら、私も混ぜてよ。私だって、サポートぐらいは出来るよ」


 それは、三人の後ろに移動していたシルヴィアの魔法で、カイトのユニークによる強化が行われている。


「シルヴィア」


「エイジさん、私達を頼ってください。私達は、パーティーなんですから!」


「フィル………そうだな、そうだった。今の俺には、頼れる仲間が四人もいる」

(感じているか、メタトロン。君は、俺の中にいるんだろ? なら、君なら分かるかもしれない。俺は、ちゃんと変われただろうか? 君に会えた時、その答えを聞かせてほしい)


 エイジは左手を自分の胸にあて、祈る様にそう思った。


 鎖に捕らわれていた魔物は、パワーの強化を行うと即座に鎖を破壊し、四人へと凄まじい速さで接近する。


「そんじゃ、行こうか!!」


「「はい!」」


「了解!」


 それを合図に、エイジが一人先に走り出し、魔物へと斬撃を飛ばして命中させ、速度が落ちたところへ斬りかかる。


「シルヴィア、僕にスピードの支援魔法を。あとは後ろからのサポートをお願い! フィルディアさんは、シルヴィアを守りながらのサポートをお願いね!」


「任せて!」


「あの! リーダーは私なんですが!?」


 カイトはシルヴィアからの支援魔法にブーストを使って自分の出せる速度を底上げすると、フィルディアの話も聞かずに走り出した。

 そして、エイジと交戦中であった魔物を、走ってついた勢いのままに蹴り飛ばす。

 しかし、攻撃強化を行ってない弱々しい威力であった為、即座に反撃に移ってきたが、氷の槍が魔物の邪魔をし、その瞬間にエイジが魔物の背中を切り裂く。


「ガアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ――!!?」


 傷は深く、堪らず叫びを上げた魔物へと、正面に立つカイトが強化した炎魔法を放つ。

 それにより、魔物の体は炎で燃え上がり出したが、魔物はそれをすぐさま振り払う。

 その後、さらに自分へと様々な強化魔法を使うと、距離を詰めてきたエイジを地面に叩きつけた。


「がはッ!?」


「エイジ!? コイツ、これだけの強化に耐えれるって、どんな肉体だよ!?」


 シルヴィアがこの場にいる事で、魔物は属性魔法の使用は出来ないに等しいが、無属性である支援魔法はユニークの適応外だ。

 故に、魔物の行う異常な程の自己強化は、誰にも止められない。


「くッ……痛いだろうが!!」


 地面に叩きつけられたエイジは、次の攻撃が来るより先に反撃に転じ、魔物の顎を蹴り上げた。

 魔物は再び障壁を空中に創り出し、それを蹴って急降下して距離を詰めて来たが、エイジは後ろへと飛び退き、攻撃をかわす。


「僕の番だ! 『バーニングフレア』」


 移動速度が速く、魔法を当てづらい魔物だとしても、隙を見せれば当てるのは簡単で、カイトの魔法は魔物に命中し、体を炎で燃やしている。


「炎属性魔法・『プロミネンスバーン』」


 燃える魔物の足元に赤色の魔方陣が展開し、そこより現れた灼熱の火柱が魔物を襲う。

 その攻撃は、ブーストのユニークを使用し、かなりの高威力になっており、初めて魔物にまともな大ダメージを与えた。


「スゲー、これがカイトの本気か!」


 エイジが魔物の背中につけた傷は既に治っており、大ダメージを与えたかと言うとそうでもない。

 この魔物には、魔法の方が有効なのだ。

 カイトの魔法攻撃を見てそれに気づいたエイジは、武装合成魔法を一度解除し、魔法銃をメインとして再び発動した。


「そんじゃ、俺も行くかな! 雷属性魔法・『サンダーショット』」


 魔物は、自分を薄く包む程度に障壁を発動し、それを一気に広げて炎を消し去り、雷の弾丸を弾く。

 そして、障壁を解き、カイト目掛けて走り出した魔物は、シルヴィアとエイジの発動したバインドの鎖に捕まり、それを破壊しようとした瞬間、強烈な電撃が魔物の体を走り、苦痛を与える。


「ナイスタイミングだ、シルヴィア!」


「私もやるでしょ!」


 その光景を見ていたフィルディアは、魔物へと『スパイラルウォーター』を発動し、魔物は水の渦に囚われ、雷の電導率が増した。


「助かるよ、フィル」


「えへへ。どういたしまして」


 水に囚われ、その中で鎖に囚われている魔物を襲う電撃は、カイトのユニークでさらに威力を増し、与えるダメージが大きくなっていく。

 だが、この程度で勝てるなら苦労はしない。

 魔物は、カイトの炎の時同様に、障壁を薄く展開し、一気に広げて鎖を破壊した。

 さらに、障壁は半径十メートル程まで広げており、エイジとカイトはその中に入っている。


「何のつもりだ?」


「さぁね。解除するつもりも無さそうだし、外部のサポートを遮る為じゃないかな?」


「どうかな。でもまぁ、カイトとのタッグなら、誰にだって負ける気がしない」


「僕もだよ、エイジ」


 二人は並んで魔物の前に立ち、魔力を高めて最後の戦いに備える。


「「掛かってこい、ガラム!!」」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ