パンタ・フードコンテスト
テスト期間なのに投稿してしまった...
ゴブリンキングを倒し、残りのゴブリン達を駆逐したリュウは、依頼達成の報告をしに、ギルドへと向かっていた。
両手にはゴブリンキングの巨大な棍棒を携えている。
ギルドに着き、扉を開ける。
巨大な棍棒を持った青年が入ってきたことで、冒険者達の視線が青年・リュウに集まる。
その中の幾らかは、リュウが新人冒険者であることを知っているようで、驚きの表情を露にしている。
そんな視線を無視して、リュウはアインのいる受付の椅子に座った。
「依頼達成の報告をしに来ました。」
リュウの声にビクッとしたアインがすぐに無理矢理笑顔作った。
「畏まりました。では、確認を行いますのでステータスプレートを出してください。」
ステータスプレートを取り出し、アインに渡す。
アインは、それに魔力を流し込むと、依頼の詳細が表示された。
依頼内容:平原のゴブリン討伐
結果:討伐・ゴブリン500匹
ゴブリンキング
内容を見たアインはかつてのように震えだした。
「と、討伐数500!?それにゴブリンキングまでも...」
又もや震えだしたアインに苛立ちを感じつつ、優しい笑みで話しかける。
「あの..驚かしてしまったならごめんなさい。
報酬を貰いたいんですが。」
リュウの怖さを体験したアインはその笑みにも怯えているようだが、何とか報酬の計算を行いお金を取りに向かった。
そして、パンパンに膨らんだ袋を持ってくるとそれをリュウに渡した。
「今回の報酬額は銀貨100枚です。」
ジャラジャラとお金の音が鳴る。
近くの冒険者はその音に反応し、袋を見て驚いていた。
「お、おい。一体いくら入ってるんだよ。」
「アイツ、新人冒険者だよな。なんでこんなに稼げたんだ?」
「受けた依頼はゴブリンの討伐らしいぜ。どうなってやがる。」
それもそのはず、最弱のゴブリンなんぞ、狩りにいっても銀貨10枚程度が精一杯。
それなのに目の前の青年があり得ない金
額の報酬を受け取っているのだから驚くのも無理はない。
報酬を受け取りそそくさと帰ろうとするリュウ。
しかし、
「あ、あの。リュウさん。」
アインが止めた。
「なんですか」
「リュウさんのギルドランクのことなんですが、ステータスを見る限り、とてもEランクでは割りに合わないんです。
レベルが上がればSSランクに匹敵する力すら持っています。
そこで特例なんですけど、ギルドランクをSまで上げてみてはどうでしょうか。
その方が変に怪しまれることも少ないと思いますが..。」
その言葉に同意したリュウはアインに再度ステータスプレートを差し出す。
「じゃあ、お願いします。」
アインはステータスプレートを持って奥に消えると、間もなく戻ってきた。
そして、リュウの前に銀色のステータスプレートを置く。
「説明していませんでしたが、ステータスプレートの色はランクによって異なります。Eランクはグレーでしたが、Sランクとなるとシルバーになります。」
リュウは、銀色のステータスプレートに目を向けた。
その色は確かな強さを示しているようであった。
「それでは、ステータスプレートに血を垂らして下さい」
言われた通り血を垂らすと、やはり青い光を発してリュウのステータスが表示された。
石川 リュウ Lv10 17歳 人類
体力 2200
腕力 1200
俊敏力 2700
防御力 2200
魔力 2200
特性:神の守り(全能力補正)
存在感知・操作
「例の2つは隠蔽しておきましたので..」
アインが小さく呟く。
「ありがとうございます。それでは。」
リュウはアインにお礼を言うと巨大な棍棒を持ってギルドを出ていった。
その後ギルドは、リュウの近くにいた冒険者を通して、どえらい新人が出てきたと話題になっていたが、リュウはまだ気づかない。
ギルドを後にしたリュウは両手に持っている棍棒を売ろうと武具屋を探していた。
そして間もなく、「パンタ街、いやストール1の武具屋です‼是非ともお立ち寄りあれ!」と、かなり自己主張が強い看板のある店を見つけた。
名前は【禄剛武具屋】らしい。
こんなに自己主張が強いならそれなりに良い物があるんだろうと思い、リュウは店に入ることにした。
店に入ると
「い~らっしゃい。」
変わった発音で歓迎を受けた。
そして、店の中にはムッキムキでノースリーブ一枚のボディービルダーのようなおっさんがいた。
「すいません。店を間違えました。
うん。ここはきっと武具屋という名のジムなんだ。」
「うぉい!?ちょっとまっ!どっからどう見ても武具屋だろぅ!」
そそくさと店を出ようとするリュウを止めるおっさん。
「離してください。僕はムッキムキになる予定ないんです。」
無表情でおっさんの手を振りほどこうとするリュウ。
「頼むよ少年!君が3日振りの客なんだ。何でか、店に入るとほとんどが無表情のまま帰っていくんだぁ!」
瞳をうるうるさせているおっさん。
ムッキムキの体と比較すると何とも面白い。
「はぁ、分かったよ。」
ようやくリュウは表情を取り戻す。
「ありがとう!お礼に君を私・ビリーンの【目指せ!キングオブムッキムキの会】に入れてあげよう!」
「いや、結構です。」
再び無表情になるリュウ。
「冗談だよ、冗談。今日は何用だい?」
「この棍棒を売ろうと思ってな。」
そう言い、棍棒を見せる。
「ほう、これをどこで手に入れたんだ?」
棍棒を見たビリーンは驚いた表情をしている。
「ゴブリンキングが持ってたのを取ってきた。」
リュウはそれがどうした?というように首を傾げている。
「こりゃ超一級品じゃねえか。なんで魔物何かがもってんだか..」
「まぁ、細かいことはどうでも良い。俺はそれを売る。」
魔族の話をするのは面倒だったので話題を断ち切るリュウ。
「ほ、本当に良いのか?こんなにすげぇ武器見たことないぞ?」
「問題ない、俺はもっと凄いやつを手にいれるからな。」
「はは...たまげたな。もしや神の創造物でも手にいれるつもりかぁ?」
冗談混じりにビリーンが笑う。
まったくその通りなのだが...。
「まぁ買い取るとなると、かなりの金額になるな。
どうだ、買い取り金の一部で俺の自慢の武具に当てるってのは?」
リュウは金はあるし、武器無しってのもなんだと思ったので受け入れることにした。
「あぁ、いいぜ。」
「しょっしゃ!ちょっと待ってろ。」
そう言い、ビリーンは店の奥から双剣と、アクセサリーをいくつか持ってくる。
「この双剣は、俺の最高傑作・白亜の剣と石墨の剣、合わせて【因縁の融合(光闇剣)】だ。これを造り出すのに五年もかかったんだ。」
廚二くさっ!!
リュウは心の中で突っ込むが、何故かテンションが上がっている。
リュウの廚二心に火がついたのだ。
闇に飲まれたはずのリュウが廚二という名の強敵と思わぬ戦いをしている中、ビリーンの説明は進んでいく。
「んで、このネックレスは、【疾風の力】だ。着けると瞬発力が二倍に上昇する。
最後にこの指輪は、【幾重の宝箱】だ。
要はアイテムボックスだな。それなりの量は入るぞ。」
渡し終え、ビシッと親指を立てるビリーン。
ヤベェ。このおっさんなかなかのやり手だわ。
リュウは己の廚二を押さえつつ、礼を言う。
ビリーンは、ニッと笑い残りの買い取り金、銀貨80枚の入った袋をリュウに渡す。
「ま~いどありぃ!」
ビリーンは巨大な棍棒を大事そうに抱えて叫ぶ。
「あぁ、また世話になるかもな。」
そう残して、リュウは武具屋を後にした。
武具屋を出ると、リュウはウルフのホラ吹き亭に向けて歩き出した。
夕日に照らされた街は、初めて来た時よりも賑やかで活気があるようだった。
ウルフのホラ吹き亭に着き、食堂の小娘に会いに行くと、夕食の準備でバタバタしていた。
邪魔するのもなんなのでリュウはひとまず宿泊代を払って、部屋に行く。
中に入り、
「ふぅ」
と一息吐くリュウ。
なるべく目立たないように、黒い部分を見せないようにとしたことで疲れが生まれた。
椅子に腰掛け、目を閉じる。
再び転生され、俺は確かな力を得ている。
これなら日本に帰ることも可能だ。
しかし、今は何よりもヤツ(..)を殺したい。
俺の人生を終幕させやがったやつを殺してかつての石川リュウの敵を取るんだ...
俺は、泥棒そして殺人者の石川リュウだ。
1人で、邪魔する奴はすべて盗む(殺す)。
それが今の俺の生き方だ...
ゆっくりと開いた瞳は深く赤黒く、冷たい。
日も暮れ、そろそろ夕食の時だろうと再び食堂へ来ていた。
昼食の時と同じように、食堂は多くの宿泊客で賑やかだ。
席に着くと早速、小娘がやってくる。
「いらっしゃいませ。あの..お金のことなんですが、」
「あぁ、本当にありがとう。ちゃんと持ってきたよ。」
リュウは机の上にパンパンに膨らんだ袋を置く。
ジャリジャリと音を立てる袋を開け、銀貨を20枚ほど小娘に差し出す。
「あの?これくらいで足りますか?」
小娘は手渡された銀貨と袋に入ったたくさんの銀貨を見て、口をあんぐり開けていた。
「こ、こんなに稼いだんですか!」
「はい、依頼を受けた報酬がこれでした。」
ニッコリと微笑むリュウ。
しばらく驚いていた小娘であったが、ふっと我に帰る。
「とりあえず、お金を返して頂き、ありがとうございます。利息もかなり頂いて..
あ、そういえばまだ名前を名乗ってませんでしたね。私はこの宿の娘のリアです。」
「僕はリュウ。よろしくね。」
洗練されたように完璧な笑顔が向けられ、リアは顔を赤らめた。
「リア、1つ質問をいいかい?」
リュウに話しかけられ、またその内容からさらに顔を赤らめる。
「は、はい!なんでしょう!」
「街が賑やかな感じがしたんだけど何かあるのかな?」
普通の質問立ったことから、肩を落として落ち込みつつ、変な事を考えていた自分に恥ずかしくなり、死ぬんじゃなかろうかというくらい、真っ赤になるリア。
リュウに背を向け、呼吸を整えると心当たりがあるようで話始めた。
「実は一週間後に祭りがあるんです。一年に一度、この街で一番美味しいお店を決める、【パンタ・フードコンテスト】っていうので。
多分その準備をしていたんだとおもいます。」
「祭り...ありがとう。モヤモヤが取れたよ。」
リュウはお礼を述べる。
「いえいえ、それよりも...もしよかったら...いっしょに...。」
顔を赤らめながら呟くリア。
どうやらリュウの笑顔で落ちてしまったようだ。恐るべし、好青年リュウの笑顔。
「どうしたのリア?注文頼んでいいかな?」
リュウがリアを覗き込む。
リアはあわわ、と仰け反る。
「な、何になさいますか?私ですか?」
勢いでとんでもない事を言っている。
「フフッ、じゃあリアのおすすめを頼むよ。」
ニッコリと微笑む。
「わっわかりましたぁ!」
ノックアウト寸前のリアが逃げるように厨房へ駆けていった。
そんな様子を見ながら、
盗みは祭りの日にするか。タイムリミットは一週間。絶対に盗んでやる..
と決意を固めて、そして一瞬悪い笑みを浮かべた。
読んでくださりありがとうございました。
勉強しなくちゃいけないのに頭の中で内容が膨らんでいく...
ヤバイですね。
頑張って自粛します。
次回こそはテスト後になるとおもいます。
大体2/25位ですかね、
いよいよ館への潜入が始まります!
楽しみにしていてください!