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異世界の大泥棒  作者: 亜魔てらす
3/9

高嶺の花 その①

いよいよ初の名前ありの人物が登場します。



太陽が高く昇り、ギラギラと輝いていた。

あの夜から2日間、広大な平原を進み続け、リュウの体力は限界をむかええいた。やっとの思いで街に着いたリュウは、現在、街の通りをフラフラと徘徊中だ。通り過ぎる人々はリュウを気味悪げに避けて歩く。

リュウは自分に向けられる目線に苛立ちを感じつつ、2日間なにも食べてないので異常な空腹も感じていた。歩き進むと、【食事処野斗】という看板を見つける。フラフラと店の中に入り、カウンターの椅子に座ると、恰幅の良い店員がいた。

「何でもいい、すぐに何かを作ってくれ。」

とリュウが言うと、

「お、おう。ちょっと待ってろ。」

と店員は急いで料理を作り始めた。

お気づきの方もいるかもしれないがリュウは金を1銭も持っていない。老夫婦の家で盗ってくれば良かったと思いつつ、まぁ食い逃げでもするしかないかと考えていると、目の前にピラフのようなものがトンと置かれた。リュウはそれにすぐに食らいついた。そんなリュウを見た店員は苦笑いをした。

「あんた、どこから来たんだ?」

「お前には関係ない。」

リュウはそう冷たく吐き捨てると店員は顔をしかめて他の客の方へいった。

リュウはそれを一見して、再び食べ始めたのだった。


やがて食べ終わり、食い逃げのタイミングを狙っていたリュウの横にフードを被った女が座った。逃げるに逃げられなくなったリュウはフードを被った女を向こうに行けというように睨み付ける。すると女はリュウの方を向き、

「あなた、日本から来たの?」

と話しかけた。

「うるせぇ、どっかに行け。」

リュウは女を突き放そうとしたが、女は

「私、一週間くらい前に突然転生させられたの?あなたもそうでしょ?」

と言うと顔を上げた。

きれいな青い眼に思わずリュウは見とれた。

「私、条我崎エリカ。パパはゲーム会社【条天堂】の社長よ。」

ん?条天堂と言えば「スーパーラマオブラザーズ」や「ポータブルモンスター」略して「ポルモン」等、数々の人気ゲームを開発している有名企業ではないか。

リュウも幾つか条天堂のゲームを持っていた。

しかし、なんでこんなところに社長の娘が転生させられたんだと思い尋ねると、

「パパと喧嘩してね、家を出たの。突然の家出だったから物もいくあてもなくて。そんな時に、本屋さんが目にはいったから店に入ったの。そしてレジにいたおじさんに経緯を話して。そしたらおじさんが『じゃあ【ストール】にでもいくかぁ』なんて言い出して、気付いたらこっちにいたの...。」

一通り話しきったエリカは悲しげに俯く。

あのクソ店主、大企業の娘まで転生させやがったのかよ。今頃社長さんは、帰って来ない娘を探して、大騒動にでもなってるだろうか...。


ともあれ、この女は使えそうだな。見たところ、お嬢様道をまっしぐらのようだし、何より騙されやすそうだなぁ。

そこでリュウは、俯いているエリカに

「そうだったのかー。もう大丈夫だよ。とりあえず、ここの金払っといてくれないか?」

と語りかける。あまりの棒読み具合に少し疑っても良いものだが、エリカは顔をパッと上げると、

「うん!分かったぁ。」

と嬉しそうに、金を払いに店員の方へ駆けていった。

その後ろ姿を見ていたリュウは、こりゃ予想以上のバカ野郎だなと悪い笑みを浮かべた。



今回はここで止めます。

次回も是非読んでみてください。

でき次第更新します。

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