始まり~異世界転生~
趣味で書いて見ました。
是非読んでみてください。
目を覚ますとリュウは広い平原で横たわっていた。
体を起こし、状況を整理していく。
石川リュウは高校が終わり、家の近くの本屋に来ていた。本を買いに来たのではない。盗みに来たのだ。リュウは、何度かこの本屋で本を盗んでいた。盗んでいる本は主にライトノベルが中心だ。なぜ盗むのかと言うと単純に金がないからだ。
リュウの家は貧乏だった。父は事業を失敗してから酒に溺れ、そんな父を見ていた母の精神は不安定になった。リュウはそんな両親に憐れむような目を向け、早く家元を離れたい、なるべく関わりたくないと思っていた。そんなことなので、親に金を懇願することもなく、こうして盗みを行っているのだった。
リュウは「盗む」という行為に罪悪感を全く抱いていなかった。きっと崩壊した家庭の影響でリュウの精神もおかしくなっていたのだろう。むしろ盗むことへのスリルに感激し、魅了されていた。
いつものようにライトノベルの棚の前に行き、鞄の中に本をいれようと手を伸ばした。その時、リュウの肩を誰かがトンと叩いた。リュウの思考が一瞬停止し振り返ると、いつもは優しそうな店主がリュウを睨み付けていた。リュウは咄嗟に逃げようとしたが、店主がリュウの腕を掴んで捕まえた。そしてリュウを店の奥へとつれていった。
店の奥は、生活感のある部屋があった。リュウ椅子に座らせられ、店主はその向かえに座った。店主はゆっくりと口を開き
「どうして本を盗もうとした?」
といった。リュウは答えず、ずっと俯いていた。すると店主は
「お前さんは盗むことが好きなのか?」
と尋ねる。リュウは思わず顔を上げ、「は?」と首をかしげた。
「お前さんは何度かここで盗みをしていただろう。だから盗むことに抵抗がないのかと思ったんだよ。」
リュウはこの瞬間自分の盗みが全てばれていたことに気付き、人生の終わりを確信した。土下座でもしたら許してくれるのかだろうか等と考えていると、
「お前さん、盗むことに抵抗がないのなら異世界【ストール】に行ってみないか?」
リュウは店主を見つめ訳がわからないといったように目を見開いていた。そんなリュウの様子を見た店主は、はははと笑い、
「このまま警察にお前さんを突き出てもいいが、盗みに罪悪感を抱かないようなら意味がないだろう。だったらいっそのことストールへ行って大泥棒にでもなった方がいいんじゃないかなんて思ったんだよ。」
そこでようやくリュウは口を開き
「あの...言ってる意味がわからないんですけど。そもそも【ストール】って何ですか?」
店主は説明が面倒臭そうに頭を掻き、
「まぁ、説明するのもなんだ。一先ずストールへいって罪を償うなり、何なりしてこい。」
「...やっぱり意味がわからないんですけど。」
「そうだなぁ、もし全ての【神の創造物】を手に入れることが出来たら、この世界に戻してやってもいいぞ。」
そう言うと店主はリュウの前に手を伸ばし、ゲートオープンと口ずさんだ。すると店主の手が光出し、光がリュウを包んだ。何が起こっているのか理解できないリュウに店主が
「じゃあな、あっぱれだ。」
というと光がより一層強くなり、そこでリュウの記憶は途絶えた。
読んでくださりありがとうございます。
暖かい目で今後も読んでください。
次回から異世界の物語となります。
更新は未定ですが、でき次第します。