プロローグ
初めまして生きる者といいます。
どこまで続くか分かりませんがよろしくお願いします。
タイトルは変えるかもしれません。
海の上の都市。その一番高い建物の一室に二人の男がいた。
1人の男は、見た目60歳くらいの年寄りだが、執事服を着て隙のない体勢で立っている姿は、歴戦の強者の様な雰囲気が感じられる。
もう1人は、25歳くらいで社長が座るような椅子に座り、雪を思い起こさせる白い髪は日の光で輝きその整った顔がどこか神秘的に見えた。しかし肌はあり得ないくらい青白く痩せ細っていた。
椅子に座る男の名前は、榊 最覇。
この水上都市を10年で建て、表の世界では「賢王」などと呼ばれ、裏では、敵になった者には友人でも部下でも排除することから「死の最果て」と呼ばれ恐れられている。
「私は、ここまでくるのに多くの犠牲を出してしまった。」
その声はかすれていたが女性のように声が高く穏やかでどこか悲しみや後悔が含まれていた。
「それでも救われた多くの命もありましょう。主よ。」
サイハの言葉を聞きいままで沈黙を守っていた執事がそう言い返した。
「わかっているよ、爺。しかし死に際になると後悔の念に駆られるものだな。」
サイハは自笑したように口を歪めた顔はとても死に際の人ではない生き生きとした者に感じられた。
爺と呼ばれた執事は主の弱音を初めて聞き内心驚いていた。
「そんなに驚かなくてもよかろう?私にだって弱音を吐く時はあるよ。」
爺のことを心を全て見透かすような瞳で見て軽く笑った。
「その人の心理を知る力には毎度感服いたします。」
強者の心を知る力は、相手以上の実力があり細かな変化も見逃さない観察力がないと到底無理なことを知っている爺は「わたくしの心を見透かせれれるのは世界中でも主くらいでしょう」と言い頭を下げた。
「私も伊達に表と裏の支配者と争っていなかったということだ」
サイハはだんだんと意識が遠くなるのを気づきながらも最後の爺との会話を楽しんできた。
「主に敗れるまでは「我こそ世界最強」と言い回っていたころが情けなく思います。今の自分が昔の自分と会っていた間違いなく殺していたでしょう」
少し恥ずかしながらも嬉しそうな爺をサイハは見ていた。
そして心地の良い静寂が訪れた。
…………
何分間くらい経ったか?その静寂を壊したのは、サイハの咳だった。
「主よ‼︎」
爺はサイハに駆け寄ろうとしたがサイハは、手で制し「まだ大丈夫だと思ったが」と言って口から手を退かすと手には血が付いていた。
「…そろそろ…限界なようだな」
爺は何も言えなかった。サイハの病気は本人の次に知っていたからである。そんな何も出来ない自分を呪いたくなった。
「そう自分を責めるな。……お前が居たから私はここまで生きられたし……私が死んでも後のことを任せられる。」
一言一言の間に大きく息を吸いはっきりと喋ってはいるが声はかすれ覇気も無くなってきている。
「わたくしも主と会い感謝しています。後のことはお任せください。」
爺は涙を堪えながらも跪き感謝の言葉を言った。
「そうか……全てを任せて…すまない…。あと…娘を…よろしく…頼む」
窓から見える青空を見ながらいままで爺に苦労をかけたことを全て一言に込め謝り、自分がいなくなれば独り身になる娘のことを頼んだ。
「滅相ごさいません!!この老いぼれの命尽きるまで主が残したものをお守りします‼︎」
涙を流しながらもサイハを安心させようともっと言葉を出そうと思ったが言葉が出てこずただただ涙を流した。
「そんなに…泣くな。『狂戦』の名が…台無しだぞ。」
サイハの声はもう聞こえるかわからないくらいにちいさくなり何かに導かれるかのように青空に手を伸ばし爺の言葉を待たずに最後の言葉を言った。
「私は…ここまで…頑張っ…た…もう…いい…だろ…友よ…?……娘よ……永遠…に…愛している……ぞ……」
伸ばしていた手が力なく落ちた。
そしてサイハはこの世から去った。
「お嬢様と後のことはお任せを‼︎どうか、どうか主は安らかにお眠りなさってください‼︎」
それから何時間も跪き続ける爺と呼ばれた執事と死してなおその神秘的な輝きは消えることのない主と呼ばれた榊 最覇がその部屋にあった。
作者は小枝精神なのでちょっとキツイことを言われるとポキッといくのでよろしくお願いします。
次回はサイハが転生?します。