エミと友達〜夢のツアーへご招待〜
少しばかりの勇気と
少しばかりの愛情が
私には必要だった―――――。
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ごく普通の女の子だった。何処にでもいる。ごく平凡な。どんな人にでも紛れ込めるだろうそんなよわよわしい女の子だった。
その子は今小学生で。みんなと同じように学校に通っていると思われたが実際のところ違ったのだ。
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ごく普通の小学生の女の子。その子の名前は渡井恵美。小学六年生。羽鳥小学校の第六学年。
外見からみると彼女は普通の小学生。でも違うのだ。恵美の心は感情はひどく傷つけられてきた。
恵美は学校までの通学路を黙々と歩いた。言葉を紡ぐのを閉ざし、ただ黙々と歩いた。
学校へは行きたくない。行きたくない。行きたくない。その言葉ばかりが恵美の心をかき回す。
嫌だ。嫌だ。行きたくない。
でも行かなくちゃならないのだ。
いつもの通いなれた道路を足元を見つめながら歩く。風は恵美の辛さを知らないように流れていく。
嫌だ。学校は悪魔だ!地獄だ…。
そんなことを考えているうちにいつの間にか学校にはついているものなのだ。
気づいてみるともう学校の靴箱にいた。恵美の顔はだんだん青ざめていく。
教室のある三階までの階段をだんまりと歩いていく。足は勝手に動き恵美を地獄へ案内する。
そして立ち止まる。「6年3組」と書いてある一際うるさい教室の前で。
恵美がドアへ手をかけるとぴたぁっと声が止まる。恵美が入ってくるのに気がついたのだろう。
地獄への入り口を恵美は目をつぶって開けた。
するととたんに上から何かが降ってくる。
顔は真っ白になり頭も真っ白になる。そしてなにやら煙たく恵美は咳きこむ。
ぷつんと何かが切れたように笑い声が高鳴った。
「ぎゃはははははははははっはははははああぁぁああ!!!!!白田の野郎真っ白だぁぁぁ!!」
「気持ち悪――!!!!!!教室やあたしたちが汚れちゃぁぁ〜う」
「汚ねー!帰れ!真っ白しろすけ!名前におにあいなんだよ!!!!」
「存在さえが消えろ!帰れ!死ね!」
汚い言葉が華奢な恵美の耳元に滑り込む。その一言一言は恵美の心に入りこみまんべんなく崩していく。
体型の大きい男子が近づいてきて恵美をけり教室から出そうとする。
「出てけよ!化け物!消えろ!」
恵美は俯いて涙も流さずに黙っていた。なんで―――?なんで私がこんな言葉で汚されなければいけないのだろう。
酷い。酷い。皆酷い!!
恵美は無言で立ち上がり体系の大きい男子に押されながらも自らの席の前にたった。
机の表面には赤いマジックで≪死ね!消えろ!醜い!白玉野郎!うざいんだよ≫などの磨き上げた最低の言葉がかいてある。
それ以外にも机の表面はけられたのかぼこぼこに表面がへこんでおりしかも机の中には炭やらゴミやら得たいのしれない物体が入っている。
こいつら――…!!
恵美は悲しみともに怒りも湧いていたがか弱い恵美がそんな言葉を紡げるはずない。
奴らは恵美がなにもいわないからと調子に乗っていい放つ。酷い言葉を。
そしてそんな時にチャイムが鳴った。
ガラガラと音がなって引き戸が開いた。
担任の田口先生が入ってくる。
「おお?なにかあったのか〜?」
本来ならばこの状況を教師は注意するものなのだが教師も恵美を忌み嫌っているからそんなことない。
「白田なにやってるんだ!おまえ自分の机をそんなにしたのか!?それは学校の備品なんだぞ!?」
田口が恵美の肩を乱暴に掴んだ。
いつも、こうだ。
毎日がこうして始まり、毎日がこうして曖昧に―――――………
過ぎていくのだ…。
+++
恵美は帰りにまでをもおこるいじめから逃避していた。
走って走って走った。
まっすぐに道を走る。通いなれた通学路を走る。
先ほどまで懲りずに恵美に石や泥を投げてきた男子どもはいつのまにかいなくなっていた。
そしてもう家についていた。
「はぁ…はぁ…どうせ…家にも――――」
私の居場所なんかない――――………
考えなくてもあふれ出る憎悪。小さな少女の心はもう崩れそうだった。
恵美は虐待にもあっていた。
恵美には母しかいない。
なぜならもう父は亡くなってしまったからだ。
母は父が亡くなったら変貌し、なにかある度に恵美を気晴らしに殴ったのだ。
恵美はそんな母に絶望していた。だから最近、部屋にこもっているのだ。
急いで靴を脱ぎ母に見つかる前に階段を駆け上がる。
そして二階の自分の部屋に入りしっかりと鍵を閉める。
「ふぅー……これでひとまず安心っと…」
恵美の黒髪のポニーテールが肩に静かに掛かる。
恵美は安堵したのか、へたりと床に座り込む。
それにしても暇だ――。やることなんてない。
自分の部屋に簡素な机とタンスとお菓子と――――パソコンがあるだけ…。
ん?パソコン?
恵美はパソコンでゲームをやろうと考えた。どうせやることなんてないのだ。自由に時間を使ってやる。
恵美は立ち上がりパソコンを起動させる。パソコンはうぃぃぃぃんというさびれたおとを放って起動する。
やがて青い画面がでてくる。
恵美はインターネットでゲームを検索した。するとおかしなことに
インターネットのゲームなんていくつでもあることだろうにひとつしか出てこなかったのだ。
≪あなたにあったゲーム+あなたにあった世界に入り込める!!≫
ただそれだけがでてきたので恵美は疑問に思いながらもためらいなくそれをダブルクリックした。
ぶつん!故障音のようなものをあげてパソコンの画面が真っ暗になる。どうしたのだろう?故障してしまったのだろうか――――?
『やっと見つけた――友達。ひとりはずっとさびしかったんだ。すこしだけでいいから―あたしと…あたしと遊んで――?』
あどけない言葉が黒画面から聞こえてくる。恵美は驚き画面を凝視する。
でも画面に変化はない。
けれど言葉は続く。
『あなたもずっと一人だったんだ――?一人はつらいよね。一人は―』
「ちょっとあんた…だれ!?」
恵美は我慢できなくなり疑問を画面にぶつけた。
すぐ返答は帰ってきた。
『あ――――?あたしぃ?あたしはうーん。コンピューターのプログラムってゆうやつ?』
「なんでしゃべれんの!?」
『わかんない。あなたとあたしは一致してるからじゃない?』
「はぁ!?一致!?」
『ところであなた、こっちの世界に遊びにこない?』
「え…」
『どうせゲームで遊ぼうと思ってたんでしょ、だったらあたしであそんで?あたしずっと独りぼっちで寂しかったの』
「いいけど…」
恵美がつぶやくと画面が弾けた。
『ってことで女の子おひとり様を夢のツアーへご招待!!!』
その声は高鳴った。
恵美はいきなりめまいがして
きをうしなった。
夢のツアー?
夢ね…。いいんじゃない?
私を…私を楽しませてくれるならなんでもいい…。
「いってきます…。」
意識をなくしてもなぜかその言葉をつぶやいた
私―――…。
これからなにがあるんだろう。
なにが、待ち受けているんだろう?
未来は無限大……だ――――――――
この物語は続編を作ろうと思っています。
ということでこれからもよろしくお願いします。