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魔道具と娯楽品の作成に勤しむ転生令嬢は、囲われていることに気がつかない  作者: 成瀬川 透


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64_背中に張り手

エリックの部屋の掃除で身動きがとれないサラさんの代わりに、リザさんが昼食の準備が出来たと呼びに来てくれた。

私とエリックは掃除の続きを残りの3人に託してダイニングルームへ向かった。


もちろんエリックは腰に手を回してこようとしたが、私はそれを阻止した。エリックの気持ちを私意外は察していたと言ったルーパパの言葉を思いだし、皆に見られるのがなんだか恥ずかしかったのもあった。

エリックは「急に拒まれる私の気持ちを理解してくれ。マリに触れれなくておかしくなりそうだ」と不満そうだったが、ジェットさんが「自分の気持ちだけ優先させたら幻滅されるぜ、坊っちゃん。大人になれよ!」とエリックの背中にバチコンと、手の平の形が赤く残りそうな勢いで一発いれていた。

エリックは「この、筋肉バカが!力加減を考えろ!!」と怒鳴っていたが、「わりぃわりぃ」とジェットさんはニカッと笑って流していた。

他の貴族に同じことをやったらジェットさんは罰せられただろうに。エリックはそんなことをしないと分かっているから、この光景を内心では"いいぞもっとやれ"と笑って見れた。

権力を振りかざさないで、使用人の皆と寄り添えるエリックは尊敬する。

どこぞのアイツとは大違いだ。


……エリックの妻となり社交界に出るということは、アイツとも会う可能性があるということで。

今の私は姿形が違うから、アイツが私と知ることはないのだけれど━━……。


そんなことを考えながら歩いていたらダイニングルームに着いていたらしく、エリックになんども名前を呼ばれていたことに気がつかなかった。


「マリ大丈夫か?私との結婚が今更になって嫌になったのか?」


「ううん、大丈夫。ただ私に夫人が務まるのか心配になっただけ」

と笑って誤魔化しておいた。しかしエリックは訝しげに「本当か?」と聞き返してくる。

私は「本当だよ。さぁ、せっかくのご飯が冷める前に頂こう!」とエリックの背中を押して椅子に座らせた。

まだ何かを言いたそうなエリックを無視して私は昼食を食べ始める。エリックも問い詰めるのを諦めたのか、ため息を一つ溢してから昼食を食べ始めた。


食後はエリックの部屋の掃除の続きをしようと戻ったが、既に掃除は終わっていた。


する事がなくなったので食後の運動をかねて、トム爺さん自慢の庭を散歩することにした。

エリックが帰省のたびに新しい植物の種をお土産として買ってきてくれているお陰で、庭には色とりどりな色んな種類の花たちが咲き乱れている。


種を買って渡して終わりではなく、こうして実際にトム爺さんが育てた植物たちを見てくれるから、トム爺さんは育てがいがあると喜んでいた。


散歩を終え夕食も済ませ、いつものように星空を見ながらの夜の散歩もエリックと一緒にして眠りついた翌朝。


エリック父の怒りの早朝訪問で起こされることとなった。



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