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魔道具と娯楽品の作成に勤しむ転生令嬢は、囲われていることに気がつかない  作者: 成瀬川 透


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05_お風呂

ランプもどきは先頭を歩く美少年がもってくれてた。

暫く歩くと屋敷が見えてきた。屋敷の前には執事服をきた老齢の男性が立っている。


「お帰りなさいませ、お坊っちゃま」


老齢の執事は右手を胸にあて恭しく頭を下げた。

そして、美少年の後ろにいる私が気になるのだろう。

「後ろのお嬢さんは?」と美少年に聞いてきた。


美少年はランプもどきを老齢の執事の前に突き出し、

「これの製作者だ。風呂にいれた後、私の執務室へ連れてこい」と話したあと、後ろに振り向き私に

「この執事について行って、まずは身体の汚れを落としてこい。説明はそのあとに頼む」と、ランプもどきを老齢の執事に渡し、屋敷の中へと入っていった。

多分説明とは、扇風機もどきのことなのだろう。


ランプもどきを渡された老齢の執事は、まじまじとソレを見て、「いやはや、素晴らしい物をお作りになりましたね」と感嘆の声をあげた。

褒められるのは単純に嬉しい。えへへ。


老齢の執事は「セバスチャン」と名乗った。

だから私もカーテシーをとり「マリ」と名乗った。美少年同様、私がカーテシーをとるとセバスチャンさんは驚いた顔をした。

それはそうか。薄汚い孤児がカーテシーとれるとは思わないよね、と納得しているとセバスチャンさんに屋敷に入るように促された。


屋敷の中を汚してしまいそうで、中にはいるのを躊躇っていると腰に手をまわされ、優しく「大丈夫ですよ」と声をかけられ、そのまま促され屋敷の中に入った。


屋敷の中に入るとセバスチャンさんは近くにいたメイドさんに「この子をお風呂へ」と伝え、頼まれたメイドさんは私をみて驚いていたけれど、直ぐに笑みを浮かべ「こちらです」と、私をお風呂場へ案内しようとしてくれた。


この時の私は、本物のメイドに興奮していた。喫茶じゃない、本物のメイドさんだ。

黒色のクラシカルロングスカートタイプ。うん、嫌いじゃない。むしろ好き。白いエプロンとのコントラストが素晴らしい。



私はセバスチャンさんに扇風機もどきを渡し、「私をここまで連れてきてくださった方に渡して置いて下さい。お風呂の後に説明します」と、頭を下げてからメイドさんへ駆け寄った。


セバスチャンさんが居なくなっても、メイドさんは嫌な顔をしなかった。

おそらくセバスチャンさんは執事長だろう。その立場の人がいなくとも、孤児の私に対するメイドさんの態度が横柄にならないということは、この屋敷の教育が良いのだろう。


メイドさんに案内されお風呂場の前についた。

途中にあった調度品などから、そこそこ以上の金持ちとわかった。やはり貴族だったのか、はたまた成金か。どちらにせよ、私はあの美少年に出会えた偶然に感謝した。そして不興をかわないようにしないとな、と心に刻んだ。


「こちらです。このまま私がお風呂をお手伝いさせて頂きますね」

脱衣場に入りメイドさんは袖を腕捲りしたあと、私のボロボロの服を脱がせようとしてきた。思わずメイドさんの手を制止した。

「あの、私、1人で入れます」

そりゃ、1度目の人生では洗って頂いておりましたけれど、2度目での人生の方が記憶が新しい今、お風呂は1人で入りたい。


遠慮したのかと思われたのか、それとも顔には出さないが不審な孤児を1人にさせないためなのか、はたまた1人で貴族仕様のお風呂を使えないと思ったのはわからないが、

「ここでお風呂のお手伝いをしなかったら、私が怒られてしまいます」

と言われてしまったら、「あ、それならお願いします」と頭を下げるしかないじゃない。


厨房から沸かしたお湯を持ってくるのは大変だろうなと思った私は、バスタブに水魔法で水を貯め、火の魔法で水を温め、自分の右手を浸しお湯加減を確認する。うん、いい温度。


「…魔法がつかえるのですか?」


メイドさんが驚いた声をあげた。

それもそうか。魔法は極一部の人しか使えないのだ。


「はい、少しだけですが」

魔力がこの身体にあって本当によかった。魔法を使う感覚は1度目の人生でマスター済みだし。魔法の応用は2度目の人生で予習済みだ。


「お湯を貯める手前が省けました。ありがとうございます。では、お身体を流しましょうか」


汚れが出なくなるまで何回も身体を流した。

ようやく汚れが出なくなって湯船に浸かれた。頭をバスタブの縁にのせると、メイドさんが丁寧に髪の毛を洗ってくれる。

傷んで絡まっているので申し訳なかった。

最後に香油までぬってくれた。


久しぶりのお風呂は疲れきっていた身も心もほぐしてくれたのだった。




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