04_便利アイテム
美少年のあとに続いて歩き出した。が、洞窟内にある便利アイテムは持っていきたかった。今から日が暮れるし、ランプもどきは役に立つと思ったから。
前にいる美少年に話しかける。
「あの、すみません。
近くに洞窟があるので、寄ってもらっても構わないでしょうか。持っていきたい物があるのです」
美少年は何か考えこんだあと、「こちらだ」と洞窟がある方へ方向転換をした。あの様子だと洞窟の場所を知っていそうだ。
あれ。今こわい事が頭の中をよぎったよ。……洞窟内の素材たち、あの美少年の物だったりしないよね?勝手に色々と使ってしまったよ。え、違うよね?
まさに心臓は早鐘状態。
今から救助される立場なのに、恩を受ける前に仇で返してしまう感じ!?いや、返すもなにも、本当に美少年の物だったりしたら私は泥棒になるのか!?どうか、私の考え過ぎであってくれと祈りながら、美少年の後に続く。
会話がないまま洞窟の前についた。
私はそそくさと洞窟の中に入る。すると美少年も後に続いて洞窟の中に入ってくる。
私の住みかは手前の方にあるため、直ぐに歩みを止めたが、美少年は止まった私を追い越し、奥へと歩いていく。
これは素材たちが美少年の物だったという確定演出へ突入か!?
頭の中はパニック、心臓は早鐘を打ち続けたままだ。
もしそうなら素直に謝ろう。弁償……できる範囲の代物かがわからないが、一生かかってでも弁償しよう。
洞窟はそれほど奥には続いてはいなが、それでも奥にいけば暗くなる。足元が見えにくく転んだりしても大変なので、ランプもどきを灯し、美少年の後を追う。
美少年は素材たちの前で立ち止まっていた。
あ、これは確実にやってしまったかも。
「あの、ここにあった獣達の素材は、あなた様の物でしたか?申し訳ございません。持ち主が現れなかったため私が使用してしまいました。一生かかってでも弁償しますので、どうか命だけはっ」
ここは先手必勝。
先に謝る。ジャパニーズ式の土下座でね。
頭を下げているから美少年がどのような顔をしているかは分からない。貴族によっては泥棒への罰として、私の腕くらいなら簡単に切り落としてしまうだろう。どうか心まで綺麗な美少年でいてくれと祈る。
下げた頭の近くまで美少年が近寄ってきたのがわかる。
「頭をあげてくれ」
私は立ち上がることなく、頭だけをあげ美少年を見つめた。
「君が持っているソレはなんだ。
ろうそくで灯しているわけではないだろう」
美少年はこのランプもどきが気になっていたようだ。
私はランプもどきを自身の顔の高さまで持ち上げて説明をする。
「これは、ここにあった素材たちで作りました。
乳白色で綺麗な薄い鱗があったので、それをこのように筒状になるように繋ぎあわせています。
中には平らな石に魔方陣を描き入れております。魔方陣の真ん中には魔力の核となる魔石をはめれる窪みを作ってあって、そこに魔石をはめることにより魔力を必要とせず明かりを灯せます。
消したければ魔石を外せばいいです。
このように」
私はその場で魔石を外した。
もちろん暗くなる。直ぐに魔石をはめなおし、説明を続ける。
「魔石には魔獣だったものの魔力が残っており、その魔力を利用しています。もし、魔石の魔力が尽きたとしても、人が魔石に魔力を込めればまた使用できるようになります」
「…魔方陣は」
「あ、私のオリジナルです」
「そうか…」
美少年はまた何かを考えこんでいるらしい。
私への罰則でないことを願いたい。
「他に何か作ってあるのか?」
「風を意図的におこせる道具くらいですかね。でもこれは、そよ風程度しか今は出せまん。素材が足りなかったので」
「素材があれば、そよ風以上の道具を作れるのか?」
あらら、美少年は私が作った便利アイテムに興味があるみたいだ。
「あなた様が求める風の強さが分からないので、はっきりとした回答はできません。
ただ、色々と作りたいアイデアは頭の中にあります。」
エアコンとか冷蔵庫とか。
ある程度、生活が快適になってきたら娯楽アイテムの作成にもとりかかりたい。
だれか私以外にも地球から転生してきてる人いないかな。絵師さんがいいなどとは我が儘は言わない、とも云いきれないけど。
美少年はまた「…そうか」とだけ言って黙ってしまった。
どうしよう、立ち上がっていいのかな、足が痺れてきたよと考えていると「あぁ、立ち上がってくれて構わない」と言われた。
私、声に出してないよね?顔に出てたかな?と思いつつ立ち上がる。
「できれば、そよ風が出せるという道具も見せてもらえないだろうか。
いや、先に別荘へ行こう。そこで見せてもらえないか?説明つきで」
もちろん私は了承した。
扇風機もどきも持ち、今度こそ美少年が案内する別荘へと向かって歩き出した。




