19_街
エリックに"街へ行きたい"とお願いして3日後に私の願いは叶った。道中何かあると危ないからと本宅から護衛の人が3人別荘へ派遣され、馬車にのりこみ街へ向かうことになった。エリックにエスコートされ馬車に乗り込む。続けて乗り込んできたエリックは私の向かいではなく隣に腰かけた。護衛の人たちは馬に騎乗しついてくる。だいたい2時間程度で街につくと言われた。
馬車の中でエリックに、まず街に着いたらギルドへ行くと言われた。ギルドは冒険者たちから素材を買い取り、それを売ってもいるからと。
欲しい素材があればギルドに採取依頼を出すことも可能だと言われた。そのあとに街を案内がてら鍛治屋の場所を教えると。
そして最後に「絶対に私から離れるな」と何回も言われた。そう、何回も。「わかったよ」と返事をしても「絶対だぞ!街にはよからぬことを考えるやつもいるんだからな」と。そうならないための護衛ではないのか、とも思ったが、言い返すと面倒臭そうなので「はい!エリックから離れません!」と言っておいた。
途中、私が馬車に酔ってしまい、休憩をはさみながら街についた。余計な時間をとらせてしまい、申し訳なかった。
街の入り口付近には複数の厩舎があり、そのうちの一つに馬車と護衛たちが騎乗してきた馬を預ける。ここなら馬の世話もしてくれるし、御者の人も休める。なによりお金を払い管理してもらえるので盗難の心配がない。
「やっとで着いた」
エリックのエスコートで馬車からおり、両腕を空に向かって伸ばし身体をほぐす。
「ではマリ行くぞ」
エリックは自身の右手で私の左手を繋いできた。エリックに連れられるまま歩きだすと、その後ろを護衛たちがついてきた。
途中、美味しそうな串肉の屋台や、可愛いアクセサリーを売っている露店や、アクロバティックな技を披露している大道芸人などに目をひかれ足がとまる度に「手を繋いでいて良かった。そうでなければマリは直ぐに迷子になっていたぞ」と小言をいただいた。しばらく歩くと三階建てのギルドについた。
ギルドの中に入ってすぐの広間には複数のテーブルと椅子があり、何人かのギルドメンバーと思われる人たちが休憩をしていた。一番奥の壁際にはたくさんの紙が貼られていたから、あれが依頼板なのだろう。
受付はカウンター式になっており、今は受付のお姉さんが二人座っていた。私はエリックに連れられ、その受付のお姉さんの所に向かった。
お姉さんは私たちに「ようこそギルドへ。入会希望ですか?それともご依頼ですか?」と営業スマイルで聞いてきた。それに対しエリックが返答する。
「魔獣から採取される素材を買い取りたい」
「ご希望の素材はなんでしょうか?」
エリックが私を見てきたので、ここは私が答える。
「まだこれといった素材が決まっていないです。なので可能であれば実際に見たり触ったりできますか?」
「触る……ですか。売り物なので、物によっては触ることはできませんが、それでも構いませんか?」
「はい!全然大丈夫です!」
「盗難防止のため、ギルドの職員が立ち会います。ご了承ください」
「もちろんです」
「それでは案内の者が来たら声をかけるので、それまで座ってお待ち下さい」
私とエリックは空いている椅子に座った。護衛の人たちは座らずにエリックの後ろに控えるように立つ。私はギルド内を見渡す。1度目の人生でも入ったことがなかった。2度目の人生で読んだ本では、がらの悪い冒険者に絡まれるのがテンプレだったが、椅子に座って休憩している人たちはそうは見えなかった。
しばらくして、受付カウンター横の扉から肩まである薄茶色の髪に、茶色の瞳をした中肉中背の1人の男性が出てきた。
受付のお姉さんが「あちらの方々です」とその男性に声をかける。男性はエリックを見て慌てた様子で近付いてきて「ようこそおいでくださいました」と頭を下げた。受付のお姉さんたちも、椅子に座っていた人たちも"なんだ?"と少しざわついた。
エリックは「今回は私用できた。そう畏まらないでくれ」と、その人に頭を上げさせた。
「とりあえず奥へ」と男性に促され、受付カウンター横の扉から、ギルドの奥へと入っていった。




