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魔道具と娯楽品の作成に勤しむ転生令嬢は、囲われていることに気がつかない  作者: 成瀬川 透


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13/71

13_魔塔主

エリックと出会ってから10日ほど経った。

相変わらずエリックの距離感は近すぎるし、私は遊び道具の作成や魔道具のアイデア捻出に勤しんでいた。しかも三食昼寝おやつ付き。素晴らし過ぎる。

ただ、夜更かしをしようものならサラさんからエリックに報告がいき、エリックがライトを取り上げてしまうため徹夜での作業は出来なくなった。


あと別荘で働く皆さんを紹介してもらった。驚いたのは料理長のバレットさん。見た目は筋骨隆々の歴戦の猛者なのに、心は乙女だったこと。2度目の人生では珍しくないのだが、この世界では受け入れがたいだろう。だからバレットさんは人の出入りが少ないこの別荘で働けていることに感謝していた。また偏見をもっていなかった私にお菓子の差し入れをしてくれるようになった。ありがとう。

キッチンメイドのリザさんは、短髪の焦げ茶色の髪。サバサバしていて姉御肌タイプ。

ランドリーメイドのサナさんは、 黒髪ロングの三つ編み眼鏡。おっとりとしたお姉さんタイプ。

庭師のトム爺さんは昔、本宅で働いていたが年齢のこともあり、手入れ面積が少ない別荘へ異動してきたらしい。

みんな優しくいい人だった。出自不明な怪しい私を受け入れてくれた。



今日も今日とて部屋に引きこもり、思い付いたアイデアを用紙に書き起こしていく。必要な素材は自分で調達しようとしたがエリックを初め、この別荘にいる皆に止められた。必要な物はギルドを通じて冒険者に依頼するか、街に出た時に買えばいいと。

魔法も使えるし心配いらないと言っても聞き入れてもらえなかった。あの某ゲームのように自分で狩猟にでかけ、倒したモンスターから素材を剥ぎ取り、お肉を焼いてみたかった。


ふんふーんと鼻唄を歌いながら某ゲームの有名なお供を描いてみる。うん、我ながら絵心ないなと思っていると影がさした。

エリックかサラさんだと思った。ノックに気が付かなく、返事がなかったから入ってきたのかと思い顔をあげると、知らない男性が私のメモ用紙を覗き込んでいる。


腰まである銀髪、蒼い瞳、長い睫毛、スッと通った鼻筋。2度目の人生でいうところの神父服に似たものを着ている。ただし真っ白の神父服に似たもの。


誰だお前は。そんなに白かったら汚れが目立つではないかと思っていたら、その謎の美青年が「なんだその不細工なタヌキは」と言ってきた。思わず「ネコです」と言い返してしまった。

その時、廊下が騒がしくなってきたと思ったら、ノックもなく扉が開けられた。そこには慌てた様子のエリックと、その後ろにはまた見たことがない人が。

黒髪で琥珀色の瞳のその人はエリックに似ていた。


「ここにおられましたか」

エリックの後ろにいる男性は、いまだに私のメモ用紙を見ている美青年に声をかけた。


美青年はエリックに似ている男性に顔を向け「貴様が手紙を寄越した者か?」と尋ねた。


「そうです。遠路はるばるご足労頂きたい感謝申し上げます。私は「小娘、貴様の名はなんという」

なんと美青年はエリック似の人の話を遮って私に声をかけてきた。なんて自由な人なんだと思いつつ私は椅子から立ち上がり「マリと申します」と、エリックのお下がりのハーフパンツの裾をもち、カーテシーをとった。

私サイズのドレスは準備してもらっていたが作業がしにくいため、普段はエリックのお下がりを着ている。ダイニングルームに移動する食事の時にだけ準備してもらったドレスを着ていた。


「マリか…

そなた、古代語を書ける上に読めるのだな」

美青年は私のメモ用紙を取り上げ、一枚一枚に目を通していく。古代語?それには日本語しか書いていないのだけれど。


「ふむ」

なにやら美青年が顎に手を当て考えはじめた。

その隙にエリックが私の隣にきて「その御方は魔塔の主だ」と耳打ちをしてきた。なんと、1度目の人生でも噂にしか聞いたことがない人が目の前にいる人だと。


そしてエリック似の男性を「私の父だ」と紹介してくれた。エリックの父か。どうりで似ているはずだと、1人納得していると、エリックの父が私に声をかけてきた。


「いきなりの訪問に驚かせてしまったね。

エリックから話は聞いているよ。あとで私にもオセロとやらをやらせておくれ」


「別荘への滞在許可ありがとうございます。

エリックを初め、屋敷の皆様には本当に良くしていただいております」

私は感謝の言葉をエリックの父に伝えた。


また廊下が騒がしくなったかと思ったら、セバスチャンさんに続き、また知らない男性が入ってきた。

茶髪に灰色の瞳をした男性で、魔塔主と似たような服をきているが、装飾は断然こちらの男性の方が少ない。

その男性は「勝手に動かないでくださいよ~」と魔塔主に泣きつき、「ええぃ、うるさい!今考え事をしているのだ!」と、頭を叩かれていた。


「今きた人は魔塔主の付き人らしい。本日訪問の連絡があり、父上と応接室で待っていたんだが、セバスチャンに通された付き人の方が"(あるじ)がいなくなった"と慌てるものだから、私も父上と探していたのだよ。

最後の一部屋がマリのいた部屋だったわけなんだ。ノックもなく急に入って失礼をした」

エリックは私に頭を下げた。


「エリックは悪くないし、そもそも私は居候の身だし気にすることはないよ」

私はいまだに「もうまた私を置いて勝手に動くんですからぁ」と魔塔主に泣きつき「ええぃ、うるさい!」とあしらわれている付き人に顔を向けた。

どこの世も部下は大変だな、としみじみと思った。




2025.11.8 誤字修正致しました!ご報告ありがとうございます!

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