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魔道具と娯楽品の作成に勤しむ転生令嬢は、囲われていることに気がつかない  作者: 成瀬川 透


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11_父の心配 ーside エリックー

「徹夜だと?」

マリと一緒に朝食をと思っていたら、サラから「マリ様は寝ずに夜通し便利アイテムを作成しておられたため、強制的にベッドに横にさせました」と報告をうけた。


寝ずに作り続けるとは、以前の生活が垣間見られるようだ。きっと、食事もままならず、便利アイテムを作らされ続けてきたのだろう。その生活から抜けきれていないのだ。


「今はゆっくり休んでいて欲しいのに」


染み付いたものを治すのは難しい。私がしっかりとマリの面倒を見なければ!

決意を新たにした今、マリが居ないならここでお使いにだしていたセバスチャンの返答を聞くことにした。


「セバスチャン、父上はなんと?」

昨日セバスチャンにはマリが作成した道具を持たせ、本宅にいる父上に事情を説明しに行ってきてもらっていた。戻ってきたのが夜遅かったため、報告は明日に聞くと言って休ませていた。


「旦那様は非常にマリ様が作られた道具に関心を向けておいでです。ただ、本当に害のない人物か懸念されております」


「普通はそうだろうな」


「そのため、魔塔主様にマリ様に会って頂きたいむね打診するそうです」


「魔塔主に?」

どこの国にも魔法使いが所属する機関はある。もちろん我が国にも。

だが、魔塔で過ごす魔法使いたちはどこの国にも属さない。

実力がなければ入れない、魔法使いたちの憧れの場所。知識も豊富で、各国の魔法使いたちで解決できない問題も、魔塔にいる者達ならば解決策を見出だせるという。そんな魔法使いたちをまとめるのが、圧倒的な知識と実力をもつ魔塔の(あるじ)


そもそも魔塔がどこにあるのかも知られていない。唯一連絡をとれる者は、各国の魔法使いの代表だけ。


「そう簡単には魔塔主に会えないと思うが」


「旦那様も直ぐに会えるとは思ってはおられません。

魔塔主が無理でも、魔塔にいる魔法使いに会えないかとも打診するそうです。

旦那様はあの道具をみて、魔塔の知識なのではないかとも疑っておいでです。魔塔所属の魔法使いか、もしくは魔塔にいる魔法使いの弟子なのではないか、と」


「もしそうだとしてもだ。あんな小さな女の子に食事も与えないのはおかしい。森でさ迷っていた1ヶ月くらいでは、あんなに痩せ細ったりはしないだろう。師匠がいたとしても、手柄を横取りしてきたに違いない。もし魔塔から逃げてきたとしたら、またマリを過酷な環境に送り返すというのか」


「しかしながら、あのような道具を作れるのです。もし魔塔と関係なくとも報告せずにはいられないようです。万が一、魔塔と関係があり報告しなかった場合、魔塔を敵に回すことになりましょう。最悪それだけは避けなければならないという旦那様のご判断です。

魔塔主は無理でも、魔塔の魔法使いと会える算段がとれたら連絡するとのこと。それまでは警戒を怠らぬようにと」


父上のいうこともわかる。当主たるもの色んな可能性を考え、先を見据えなければならない。もし本当に魔塔の関係者で、門外不出の知識であのような道具を作っていたとしたら、報告しないわけにはいかないだろう。

魔塔を敵に回すことは、つまりこの国自体が敵認定されるということだ。

しかし、警戒を怠らぬとは『怪しい動きがないか監視しろ』と『魔塔の関係者ならば、魔塔から人が派遣されるまでは逃げ出さぬよう監視しろ』の二重の意味なのだ。


「私にマリを監視しろと?」


「旦那様には口止めされておりましたが、お坊っちゃまが心を寄せている話もしたところ、魅力にかかっているのではないかとも心配されておいでです。

魔塔主にお願いしたのも、お坊っちゃまが魅力にかかっていないか確認してもらう意味もございます」


「魅力だと?

人の心を操る魔法は禁止されているではないか」


「だからこそ、旦那様が心配しておられるのです」


私は魅力にかかっていないと自分で断言できる。だが、そう言ったところで「それが魅力にかけられている」と言われるのが目に見える。


「…父上の心配はわかった。

だが、私はマリには普通に接する。監視はセバスチャンやサラに任せる」


どうしても私には、マリを悪く見ることが出来ない。

話をきりあげ、冷めてしまった朝食に手をつける。が、食欲がわかず、申し訳ないと思いながら残してしまった。



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