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魔道具と娯楽品の作成に勤しむ転生令嬢は、囲われていることに気がつかない  作者: 成瀬川 透


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10/71

10_魔道具

身体がふわふわ浮く感覚がした。まだ眠い意識を浮上させる。


「寝てていいぞ。私が運んでやるから」


あぁ、私はソファーの上で眠ってしまい、エリックに運ばれているのだと理解した。自分で歩かなきゃと思っていても、瞼が上がらない。浮上した意識が、どんどんと下に潜っていく。

次に目を覚ましたときは、昨日通された客室のベッドの上だった。窓の外を見ると、空はオレンジ色に染まりかけていた。お昼ごはんを食べ損ねたとか、素材を取りに行けなかっとか、エリックに運んでくれたお礼を言わなきゃとか、色んなことが頭の中をよぎったその時、「お目覚めになられましたか?」と声をかけられた。声がした方に顔を向けると、サラさんが花瓶に花をいけてくれていた。


「お坊ちゃんが『疲れがまだ取れていないだろうからゆっくり休んでくれ』と、おっしゃってましたよ。あと『素材は置いておく』とも」サラさんが指をさした。その方向をむくと、洞窟内にあった素材たちと色んな大きさと形の木材があった。

私が寝ている間に持ってきてくれたのか。有難い気持ちの前に、申し訳なさが先にたつ。


「夕飯はこちらにお運び致しますね」

サラさんが部屋を出て行こうとしたのを引き留め「エリックに『ありがとう』と伝えて貰ってももいいですか?」とお願いする。

本当は自分でお礼を言った方がいいのは分かっているが、私のせいでたくさんエリックの時間を奪ってしまっているため、今日の訪問は遠慮しておこうと思う。

エリックにだって、やらねばならぬ事があるだろう。だから今日はこれ以上、私のせいで時間を取らせてはいけない。


サラさんは「はい、お任せください」と微笑んだ。

「あと、いつでもいいので何か書くものを頂いてもいいですか?」とお願いする。作りたい物のアイデアをまとめるのに使いたい。


「夕飯をお持ちする時に一緒にお持ち致しますね」


「よろしくお願いします」


サラさんは部屋を退室して行った。

夕飯まで何をするでもなく、ただベッドの上で横になっていた。今までのサバイバル生活とは全然違う。でも、これを当たり前に思ってはいけない。いつでも出ていける心積もりはしておかないと。


日がすっかり暮れた頃、扉がノックされた。「どうぞ」と声をかけると、扉が開いた先に夕飯をのせたワゴンとサラさんがいた。

「夕飯をお持ち致しました」

サラさんは室内に入り、テーブルに夕飯をならべていく。私はベッドから降り、テーブル前の椅子に座り、夕飯を食べ始めた。

やはりご飯は美味しかった。

「用紙とインクはこちらに置いておきますね」と、ベッド横のサイドテーブルに置いた。


夕飯を食べおえ、私はお風呂に入りたいとお願いした。今日は1人で入ると。サラさんは最初渋っていたが、1人で入ることを認めてくれた。


お風呂を上がり、部屋に1人になる。

よし、今から私の時間だ。持ってきてもらった用紙に作りたい物リストを書き起こしていく。

まずはエリックと一緒に遊べるものがいいよね?今ある材料で作れるもので『ジェンガ、オセロ、パズル』と書いていく。日本語になってしまったが、私しか見ないだろうし、まぁいいだろう。

トランプも欲しいところだが、裏面のデザインをどうしよう。一枚一枚手書きとなるとクセも出て、そのクセのせいでどのカードか覚えられてしまっては意味がない。柄を統一できるようにハンコを作らないと。

人生ゲームもすてがたい。これは時間をかけて作っていこう。


次は便利アイテムが欲しいところだ。部屋用のライトと、エアコン。エアコンは部屋の温度が一定になるように設定するか。それとも冷風用と温風用で魔法陣を分けて作るか悩むところ。


あ、サラさん達が楽になるようにヘアドライヤーも作ろう。洗濯機もつくりたい。さすがに二層式の洗濯機になってしまうが仕方がないだろう。乾燥機能は小枝を乾燥させる時につかった魔法陣を応用しよう。


作りたいものが多過ぎて、時間がたりない。

エリックに渡してからランプもどきが返ってきていないから、とりあえずランプもどきから作ろう。一度作ってあるので材料さえあれば直ぐに作れる。これで夜でも作業ができる。


さながら気分は2度目の人生で読んだ、とある小説の主人公気分。これが魔道具師って感じかな。よし、私が作った便利アイテムは魔道具と呼ぶことにしよう!


私は鼻唄をさえずりながら作業に取りかかった。

コンコンと扉をノックする音がする。「どうぞ」と声をかけるとサラさんが「おはようございます」と入室してきた。気付けばもう朝か。

サラさんは部屋の中を見渡し「眠りましたか?」と聞いてきた。昨日までなかった物が増えているし、なにより作業途中で部屋の中が散らかっているから寝ていないことはバレていそう。


「…寝てません」そう言うと、笑顔のサラさんに無言でベッドまで押しやられ、「寝てください」と毛布をかけられた。「まだ途中のものが」と反論したが、「部屋の中の物には触れません。とにかく今は寝てください」と凄まれた。


とりあえず寝たふりをして、サラさんが出て行ったら続きをしようと、目を閉じる。

しかし、この小さな身体に徹夜は無理をしたようで、本当に眠りについてしまっていた。



2025.11.3 誤字報告ありがとうございます!修正致しました!

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