01_3度目の人生
初めての小説投稿となります。
誤字脱字や、文章の言い回しがおかしな箇所があっても、暖かい目で見守っていただけたら幸いです。
1度目の人生はしがない伯爵令嬢だった。親の決めたレールの上を生きるだけの人生。今思い返せば、味気ない人生だった。
2度目の人生は、1度目とは全然違った。貴族制度はなく、魔法も無ければモンスターもいない。科学が発達しており、なんと生活のしやすいことか。
ゲームオタクの父と腐女子の母の間に生を受けたハイブリッド。生まれながらに身の回りには娯楽アイテムが盛りだくさん。もうオタクになる運命と言っても過言ではなかった。
3度目の人生は、なんと1度目の人生と同じ世界だった。2度目の人生でいうところの『転生』ってやつ。まさか自分が経験するとは思ってもいなかった。
しかも孤児スタートって、最初から詰んでる。でも大丈夫。積み重ねてきた精神と知識があるから生き抜いてみせるよ。
あれ?でも、ちょっと考えさせて。
ここにはパソコンもエアコンも、ましてやマンガやアニメなんて存在しない。
え、私、生きていける?心の栄養がとれなくない?
あぁ、そうか。
無いなら私がつくればいい話。魔法と魔石と魔方陣を組み合わせれば、エアコンもどきはつくれそう。ただ、電気という概念がない世界で、どこまで家電製品を再現できるかは不安がある。
マンガもしかり。そもそも私の画力や、上質な紙がないから再現は難しいかもしれない。そのかわりに、小説を執筆してみようかな?文才もないが、なにも娯楽がないよりはいいだろう。
とりあえずは、今は生き抜くことだけを考えよう。
私が私を自覚したのはたった今。周りを見渡す限り木と木と、生い茂っている木しか見当たらない。つまりは森か山の中に居るのだろう。
なぜここに居るのかは分からない。気付けば服とよんでいいのか分からないボロボロの布をまとい、裸足で佇んでいた。目線は低く、薄汚れた己の掌の大きさから子供とわかる。年齢まではわからないが、明らかにこの出で立ちは孤児だろう。
「……ここはどこ?」
初めて出してみた声は掠れており、小さな音にしかならない。そこで気付いた。この身体は喉が渇いている。自覚した途端、急激に喉の渇きが襲ってくる。お腹も空いている。いや空いているという表現では足りない。これは飢えだ。早急に水を確保しなければ。近くに落ちている杖になりそうな枝を拾い、ふらつく頭を必死に抑え、なかなか前に出ない一歩を踏み出す。
目指すは川か湖だ。
拾った枝を杖にして歩く。途中、木に成っている果物を見つけた。名前はわからないが、地球でいうところのマンゴーに似ている。必死にかぶりついた。喉を、食道を通り過ぎる。『染み渡る』その表現が当てはまるほど、自身の身体は飢えていた。
マンゴーに似た果物を持てる範囲で持ち、再び水場を探す。
文明は川の側にあり。文明がなくとも水は生きていく上で必須だ。早めに見付けてしまいたい。そう思うのに、この身体の足はなかなか次の一歩が踏み出せない。そこまで弱りきっているのだ。立っているだけで奇跡だろう。休憩と称し、座り込んだら立ち上がれるか不安しかない。だから私は休まず歩く。生きるために、私は歩き続ける。
しばらく歩いていると、今まで見かけなかった動物がいた。警戒心がないのか、それとも私なんて眼中にないのか逃げ出す素振りはない。
私はその動物の後をついていく。水場に水を飲みに行くのではないかと、淡い期待を抱いて。
私の期待は現実になった。
「…水だ」
木々が途切れたかと思ったら、目の前に湖が広がった。日の光が水面に反射し、キラキラ輝く光景を発見したこの時の感動は、一生忘れはしないだろう。
手にしていた枝とマンゴーに似た果物を放り投げ、私は湖に向かって駆け出していた。どこにそんな元気が残っていたのか分からない。
煮沸消毒しなきゃとか、そんな考えが頭の中をよぎる暇がないほど、ただ無我夢中で水を飲み込んでいた。
「ふぅ」
口から顎を伝い溢れた水を手の甲で拭う。
もうお腹がパンパンで、これ以上は水が飲めないというほど飲んだ。改めて湖を見渡す。後先考えずに飲んでしまったが、水は透明で綺麗で、水中を泳ぐ魚も見える。お腹を壊した時は、その時だ。
「よし、ここを拠点とする」
水もあるし魚もいる。食糧問題はクリアした。
日が暮れるまで後どの位かわからないが、火を焚くための小枝を集めておこう。あとは、寝床を作らないと。
ここから始まる私の3度目の人生。
今は生きることで精一杯だけど、絶対に便利アイテムをつくって悠々自適に暮らしてやる。
2025.11.2 誤字脱字のご報告ありがとうございます!修正致しました!




