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放課後①

おおよそ20分後東が戻ってきたところで模擬戦が再開される。

舞台上のクラスメイト達の動きを確認する。

「━━━映して【水鏡の剣】」

やはりと言うべきか水戸部凛に関しては動きが違うようだった。

凛は剣をベースにしたデバイスを使用していた。

剣技は粗があるが、魔術を併用した戦い方は目を見張るものがあった。

放出系の魔術を駆使しながらアドバンテージを取り立ち回る。

防戦気味だがおそらく意図的。

対戦相手のショートカットで赤いメガネをかけたクラスメイト━━荒川小夜子はナックル型のデバイスであり凛との相性が悪いようだった。

身体能力は相手の方が上回るが、凛はその動きを的確に読み切りトラップを仕掛けて翻弄する。

15分ほど経過すると相手はスタミナ切れを起こし、その瞬間を狙い攻撃に転じた。

初撃を入れる直前で東が止めに入って終了した。

所謂完封勝ちというヤツだった。

戻ってきた凛はほとんど汗すらかかず涼しい表情だった。

「お疲れ様水戸部。完封じゃないか」

「へへありがとう。久々に人と戦ったから緊張したけど上手く出来て良かった」

そういう凛の表情には安堵と喜びの感情が見て取れた。

「しかしあれだけ魔術を使いながら相手の動きを読んで防戦にしたのは凄いと思うぞ。並みの集中じゃ綻びが発生して成立しない戦法だぞ」

「流石月島くん、解像度が高いね。勿論そうならないように訓練してるからね」

言動の端々から謙遜が強く見て取れるが十分強いのは間違いない。

少し水戸部凛という騎士に対しての興味が湧いたところで舞台上の東が集合をかける。

「以上で模擬戦は終了とする。模擬戦をしなかった者だけ技術測定を行う。月島と水戸部と荒川は客席で休んでいて構わない。勿論希望があれば受けても良いがどうする?」

「俺は休憩させてください」

「私も今日は見学します」

「凛と戦った後なんで無理です」

「分かった。それと3人とも、太陽剣舞祭に出るつもりがあるなら書類を渡しておく。締め切りは今月一杯だが興味があれば渡してくれ」

そう言うと代表して凛に書類の入ったクリアファイルを渡して技術測定に向かった。



「水戸部、さっきは簡易的だったがもうちょい太陽剣舞祭について知りたい」

「え、月島くん太陽剣舞祭知らないの?」

「そうらしいの。だからさっきざっくりと説明はしてあげたんだけど」

「じゃあアタシが教えてあげる。実は太陽剣舞祭大好きだから結構詳しいの。何から聞きたい?」

「そもそも太陽剣舞祭とは何ぞや、ってところだな」

「なるほど。そうだね、一言で纏めると学生騎士の全国大会。スポーツで言うところのインターハイとかそういう感じの立ち位置かな。全国にある8つの学園都市から選抜されたメンバーが集って頂点を競う大会ね」

「じゃあ当然ながら近い世代のトップが出場するって事だよな?」

「そう言うこと。1年のうちから活躍すれば早めに目をつけられるし、3年生だったらある種の就活になるから結構みんな気合いをいれて参加してるの。実際会長は既に【騎士協会本部】にスカウトされているとか」

「各学園からは何人出られるんだ?」

「各学園5人だね。予選ブロックが8つあって各上位2名が決勝トーナメントに進出可能なの。ちなみに予選ブロックは同じ学園同士は組まれない方になっているよ」

「じゃあ予選時点で全滅する学園もあり得るのか。ウチって強い方なのか?」

「そうだね、太陽剣舞祭始まってから決勝トーナメントには毎回残ってるし騎士のトップ集団の【十二神将】も卒業生にいるから強豪だと思う。特に更木会長は剣士タイプの騎士の上位称号である【天下五剣】に名を連ねてるし並みの騎士には負けないくらい強いわよ」

「強いとは思ったがそのレベルか。ちなみに会長の成績は?」

「一年時はベスト4、昨年は準優勝よ。ちなみに負けた相手は同じで第二学園の草薙宗介さん。彼も会長と同じく【天下五剣】で、この世代最強の騎士よ」

「会長より強い騎士か。興味あるな」

「月島くんなら太陽剣舞祭に出ても決勝トーナメントに進出は十分可能性高いと思うよ。是非出てみてよ、応援するから」

「そうだね、私も見てみたいかな?」

小夜子と凛の後押しが凄い。

「そうだな、まずは出てみるか」

そうと決まれば急いで参加希望書類を埋め出す。

ちなみに凛と小夜子は見送るらしい。



1時間ほど経過し技術計測を終えて戻ってきた一行。

「では午前中のカリキュラムはこれで終了だ。午後から座学があるので準備を忘れぬように。それと月島は太陽剣舞祭のことで話があるからここに残れ」

クラスメイト達が退出し広い舞台に2人だけになる。

「まだ出場するとは言ってないですけど?」

「どうせ出るだろうし更木が絶対にお前を推薦するから学内予選について説明しておく。おそらく荒川から大会概要は聞いているだろうが予選の事は触れてないはずだ」

「そうですね。そこまでは聞けてないです」

「学内予選は学年問わずランダムに組まれた試合をこなす必要がある。今日の模擬戦と同じく30分の時間制限で試合があり引き分けもある。一応勝敗に応じたポイントが与えられ上位5名が代表となる。一応優遇措置として昨年決勝トーナメントに進出出来た者は予めポイントが少し付与される仕組みだ。ちなみに来月から予選は始まる」

「分かりました。じゃあ、書類渡しときます」

「やはり出る気だったな。受理され次第専用の端末が支給されるから受け取りに来てくれ。話は以上だ」

「ありがとうございます。よろしくお願いします。では失礼します」

礼を告げて地上に戻る。

教室に戻ると治療を受け終えた刀士がすでに席に座っていた。

ただなんとなく声をかけること無く昼休憩を終えて午後の授業が始まった。



座学は所謂一般教科に加えて騎士に関する専門の授業も存在する。

魔術に関する講義などが代表される。

まずは理屈を頭に叩き込むと言う感じらしく、実技は後日行うと説明があった。

正直絋人はそういう魔術の使用はほとんどしてこなかったし教わる場所もなかったためそれ自体が新鮮に感じた。

講義を受けるなかでどうやって今の自分の戦闘スタイルに落とし込むのかを考えながら授業を受けていた。

※ちなみに絋人の一般科目の成績は学年首席と言うこともあり普通に良い※

午後の授業を全て終えると放課後になる。

「月島くん、今日は一緒にどうかな?」

昨日同様凛は絋人を放課後の遊びに誘ってくれる。

「大丈夫だ。是非とも一緒に頼む」

「やった。あ、小夜子も一緒なんだけど、もう一人誘うって言ってたけど大丈夫?」

「あぁ、問題ないよ」

凛と一緒に昇降口で待つことにする。

しばらくすると駆け足で小夜子もやって来る。

「ごめん、お二人さんお待たせ」

「ううん大丈夫よ。で、誰を誘ったの?」

誰が来るかとお思えば、廊下の向こうから紺色の袴が見える。

「………」

まさかかと思うとその人物は絋人達の前で止まった。

小夜子が連れてきた人物━━━真田刀士はじっと絋人を見つめていた。

「怪我は大丈夫か?」

「あぁ、問題ない。それよりも、月島に興味が湧いたのでな。場違いとは思うが俺も行かせてもらう」

「へぇ~真田くんこういうの来るんだね。こういう集まりに興味ないかと思ってたよ」

「………?別に俺は断ったこと無いが?大抵勝手に俺はこういうのに来ないと思われて最初から声をかけられてすらいないだけだ」

さりげなく悲しいことを述べているが一旦触れずに話を進める。

「折角なら今日模擬戦を戦った4人でお疲れ様会?的なあれを出来たら良いなって思ったの」

刀士を連れてきた小夜子の意図は理解できた。

「なるほどね。じゃあ集まったことだし行こうか。今日は【騎士協会本部】近くでイベントやってるみたいだしそこに行こうよ」

凛の提案を了承すると目的地がそこに決まり公共バスにて向かうこととなった。

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