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風待月

作者: 墨田の花火

 「風待月」     


それは、紫陽花の咲く季節から夏に向かう季節、「今日も雨か」。

今まで見ないようにしていた、嘘をついて笑っていた気持ちが泣いていることに

気づいてしまった。

私は彼に「抱きしめて」と言っている。何年も何年もずっと「キスをして」と言っている。

でも本当を言うとを、一番近くにいてほしい彼は私の手を振りほどく。

彼は楽しい時だけ私のそばにいて幼い少年のような笑顔で笑っている。

でも、私もう16年だよ!その笑顔みたさに本当の自分の気持ちに嘘ばかり。

いつまでがんばるのかな?どこがゴールなのかな?私は私じゃなくなるの。

素顔でいられないことに疲れてきたのかな?

何度も何度も別れを決意し長い髪を何回切っただろう。でもその気持ちさえ彼にとっては大した問題でもなく、あやふやのまま時間は過ぎまた髪が伸びていくのだ。

ほら、また髪が背中まで伸びている。「もう疲れた」と心が叫んでいるようです。

私はまた今回も心に嘘をついて彼の為にがんばるのかな。私の存在って「何」なんて考えているのだ。もう知ってしまった。彼に抱きしめてもらうのは、「私を月に連れて行って」と投げかけるようなものだと。本当に心が決めるときって涙なんかでないこと、泣けないこと

不思議に思える。窓の雨を見ながら思いにふけている。

私は鏡を見て自分に言う「このまま白髪のおばあちゃんになっちゃうよ」

「彼が楽しいのなら、白髪のおばあちゃんにこのままなってもいいの?」そんなわけなない

そんなことあまりに悲しすぎる。

強いわたしばかり演じてきたから「本当は弱虫なの」と言いそびれてきた。自部自身の問題だね。

私の心が本当に見たいもの、見たい景色、そしてなにより心が温まり落ちる瞬間、

それって彼と全く違う価値の物。「大切な人です」それって感覚が違います。そんな地球みたいに大事とかじゃなくて、ピアノで「ドレミ」と弾いてくれるだけでいいくらい事で、それで心が温まるほど私は単純な人なのです。

もう今はね、解ってほしいなんて思ってないから安心してほしいですけどね。

今年の雨は私に究極を迫る雨だなあ。「わかったよ。わかったよ、今度は決めるよ。

彼に言うよ!」

「私、ありのままに生きることにした。白髪のおばあちゃんにこのままなりたくない」

最初は寂しいと思うかな?でも孤独になれる事も覚悟した。

だから今日彼に本当にさよならを言うね。

紫陽花の季節から夏への風が吹く、風待月。

紫陽花の季節から夏への風が吹く、風待月。            



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