ぬいぐるみ
異世界系じゃなくて、小説家になろうに投稿し始める前に書いてたやつです。
今日僕の大好きな白色の熊のぬいぐるみが少しちぎれてしまった、でも自分で縫って悪化するのが怖かったので今度裁縫屋さんに連れて行ってあげて直してもらおうと思っていた。でもぬいぐるみがなぜか、早く治してほしいといわんばかりの目で見てきているような、そんな気がした。だから今こうして外に出て裁縫屋に向かっている、しかし向かっている途中ある人に出会った。それは僕の学校に通っている中でたった一人の友達である優斗であった、そしてその優斗は僕の抱えている少し破れてしまったぬいぐるみを見てこういった、「おお、偶然だな、てかそれどうしたんだ?お前が大切にしてたぬいぐるみだったんじゃないのか?」と。なので僕はぬいぐるみが少しちぎれてしまったことと今裁縫屋さんへ向かっていることを伝えた。すると、こんな提案をしてきた。「俺が直してやろうか?」と、その瞬間思い出した、ある日のことを...。これは、2年ほど前のこと。僕が少し趣味として裁縫をしていて、母に教わっていたとき優斗が遊びに来た、遊ぼうかなとも考えたが、母は仕事を頑張っていて今日が久しぶりの休みであり、流石に友達とはいえ数少ない母との時間を大切にしたかったので、冗談交じりに「お前も一緒に裁縫やるか?」といったすると、予想外ながら「やる!やりたい!」と言い出したのだ。だからそれから母が時間を作ってくれた時は一緒にやって楽しんでいた。しかし...。友達はへたくそだった!ずーっと「うまいでしょ」って超へたくそなぬいぐるみ見せられてどや顔されても「あぁうん...うまいね」って感じで、亀裂を入れたくないからうまいと言ってしまっていた。そう、おそらくそのせいで友達は自分がものすごく裁縫がうまい、と勘違いをし今に至るのだ。これは天罰なのか?いくら亀裂が入るかもしれないと思ったとはいえ友達に嘘をついたことはダメだったのかもしれない、そんな考えを巡らせていた時、なぜ最初に気づかなかったのか過去の自分に問いただしたいほどのことを思い出した。それは...まだ友達は「やってあげようか?」というところなのだ、「じゃあやってあげるね」のところではない!つまり断りずらいとはいえ、回避は可能である!ということだ。だから僕は友達に「ごめん、これはまだお前に教えてなくて僕ですら教わってない方法の編み方をするんだ」と覚悟を決めて言い放った! 実際はそんなことはなく、ただ忙しいから裁縫屋に行こうとしていただけなのだがさすがにそれは直球に言えないことなので、言わない。友達の反応は…「大丈夫、僕最強だから。」と、某アニメのキャラのようなセリフを言ってくる友達、正直もう考えたくない。友達にへたくそだというわけにもいかず、大切なぬいぐるみなので何も考えずに渡すというのもできずで、言い訳を考えて表情を笑顔で保つのももう疲れた、もう僕がここさえ我慢してこのぬいぐるみを手放せばいい話だ、そうすればこの嫌な時間も無くなるし、唯一の友達も失わなくて済む、僕は「覚悟」を決めた。大切なぬいぐるみだけどそれを「我慢」するだけでこのままの関係でいられると思い、最後の力で頑張って笑顔を作り上げて「お願いね」そう言って渡してその場を去った、しかしその数か月後二人は友達じゃなくなった。原因は不満が積もりに積もったからだ、ずっと友達でいたいと、そう、思って我慢をしていたのに。むしろそのせいで友達を失うなんて。不満が積もって喧嘩をし、友達が友達じゃなくなったとき僕はこう思った、なんであの時言わなかったのだろうと、そう思い泣いた。その手にはハンカチでも、服などでもない茶色の布の切れ端が握られていたのだった。
ぬいぐるみ好きだからこんなこと実際に起こったらほんとに泣く自信あります。