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3話

「誠、君はどこまで知っている?」

重い問いだった。

ただ瑞希に会いたいーーそんな軽い気持ちでここに来たわけじゃないということを先生は見抜いていた。

誠は拳をギュッと握り締めた。

「あの事故は、本当にーーただの事故だったんですか?」

後者の外では風がざわめいた。

駒田先生はしばらく目を閉じて、それから静かにつぶやいた。

「やめておけ……君まで巻き込まれるぞ…」

風の勢いがどんどん強まっていく。

「先生どういうことですか?」

静かな時間が流れていく。それはただただ重くて“何か”が存在しているようなそんな重さだった。

「大橋が……事故の前の日、落とし物をしていったのを覚えている。」

「落とし物を?」

「職員室に届けられていた……銀のネックレスだった。」

瑞希がいつも身につけていた、小さなペンダント。

 澄んだブルーの石が、彼女の名前にも似合っていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「これね、私のお守りなんだ」

 笑いながら、よくそう言っていたっけ。

 「青いものって、悲しみも吸い取ってくれるんだって。だから、これつけてれば、ちょっとくらい凹んでも大丈夫なの」

 強がりに聞こえた。

 でも、彼女の中にはきっと、本当に“守られたい何か”があったんだろう。

 ――そのネックレスが、事故の前日に落とされていた。

 おかしい。

 あのネックレスは、瑞希が毎日欠かさず身につけていたものだ。

 それを、なぜ前日に外した?

 事故に“巻き込まれる”と知っていたかのように。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 翌日、誠は地元の交番を訪ねた。

 古い遺失物記録の中に、“銀のネックレス(青い石)”という記録が残っていた。

 引き取り人は不明。

 保管期限切れで、五年前に廃棄済み。

 でも――それで終わりではなかった。

 交番を出るとき、巡査がこんなことを言った。

 「ああ、そのネックレスな。引き取りに来た子がいたよ。確か、事故のあとだったけど……」

 「え? 引き取りに?」

 「うん。高校生くらいの女の子だったな。名前……確か、大橋って名乗ってたと思う」

 心臓が、また跳ねた。

 「いつの話ですか……?」

 「もう、七年くらい前かな。妙に静かな子でね、でも確かに“本人だ”って、署長が受け取らせたんだよ」

死んだはずの瑞希が、事故の数年後に、交番に現れていた。

 そんなはずはない。

 でも、誰かが“瑞希として”動いていたのは、どうやら事実だ。

 その“誰か”は、いったい――。

 彼女は死んだのか?

 それとも、生きているのか?

 そして、もし生きているとしたら……なぜ姿を隠している?

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