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第十六話 某と閣下とミュナおばさん

今度の相手は増長と暴走の神、その名もジャガーノック!

果たして、ミュナおばさん達はどう立ち向かうのでしょうか?

怒涛のレースの続きをお楽しみください!

 ややあってから、ミュナはイツハ達の方を振り向く。

 そして、目を泳がせながらもこう言った。


「うん、きっとあるに違いないわ」

「何故に二回言ったんですか?」


 イツハも気になって荷台から身を乗り出し、ジャガーノック達のいる砂利道の方へ目線を向ける。

 そこには――。


「イツハ様、何があったのでしょうか?」

「いや、ごめん。自分の考えが甘かった、甘かったんだ……」


 イツハは身を乗り出そうとするマァルナを制しながらも、小さく後悔した。

 彼は見てしまった。

 ジャガーノックは強引に砂利道を進んでいた。

 それこそ、リヤカーが悲鳴を上げながらも車輪を回しているというのに。

 勿論、気の毒なのはアンモルだ。

 荷台の中で身体を丸めて必死に耐えており、見るに堪えない光景だった。


「うーん、ちょっと酷くないかしら?」

「そ、そうですね……」


 アンモルに同情していると、ミュナが坂を上り切ったようだ。

 前方に続く道にイツハがホッとしていると、何かが置かれていることに気が付いた。


「あらあら? あれは何かしら?」

「台座の上に箱が乗ってございます」

「罠ではなさそうね」


 イツハが見てみると、取っ手の着いた紙製の箱が台座にちょこんと乗せられている。

 ミュナが台座の前を通り過ぎるついでにその箱を掴んだ。


「いっちゃん、中を見て貰っていい?」

「あ、はい」


 イツハはミュナから箱を受け取る。

 中身は意外に重く、彼が恐る恐る箱の中身を空けてみると――。


「これは――ロープと重り?」


 束としてまとめられたロープに、リング状で金属製の重りが数枚入っているのを見てイツハは眉を(しか)める。

 一体、何に使えというのか。

 すると、マァルナがこんなことを言い出した。


「もしや、妨害用の道具ではございませんか?」

「妨害用? まあ、確かに工夫次第ではそうなるかもしれないけれども」

「レースに妨害は付き物です」

「そうなの?」

「はい」


 物理的な妨害はしていいものだろうか。

 イツハは首を傾げながらも、ロープと重りを見比べていると――。


「ん?」


 何やら大きな音が聞こえたため、イツハが音の方に目を向けると、そこにはジャガーノックの運んでいたリヤカーが横転していた。

 ハンドル部分が外れてしまい、このままでは荷台を運ぶことは出来ない。


「無茶するからよ」

「今がチャンスですね」


 大分差が開いてしまったものの、今ここで加速すれば十分にジャガーノック達を追い抜ける。

 吹いて来る風をイツハが心地よい気持ちで浴びていると――。


「ん?」


 勢いよく風を切る音がした。

 イツハが気のせいかと思っていると、ミュナがイツハの方を振り向く。


「いっちゃん。今、何かが飛んで来たわ!」

「え、飛んできた、ですか?」


 一体誰がとイツハが身を強張らせていると、マァルナがこんなことを言い出した。


「銃弾のようです」

「銃だって!?」


 ジャガーノックは今もリヤカーのハンドルを元に戻すので忙しそうだ。

 となると、当然撃ってきたのは――。


「アンモルの仕業か!」


 アンモルは荷台の中にいない。

 すると、荷台の影で何かが動いた――。


「来るわよ!」

「はい!」


 イツハはホフリの剣を抜き、荷台から身を乗り出す。

 銃には消音器が取り付けられているのだろうか。

 飛んできた銃弾を確認しつつも、聞こえてきた発砲音が微かに聞こえて――。


「そこだ!」


 イツハは剣を振るい、銃弾を弾いた。

 柄を握る手には衝撃が走るも、彼は胸を撫で下ろしながらも荷台に座り込む。


「イツハ様」

「何?」

「今、さり気なく人間離れした技をしませんでしたか?」

「え? アンモルがタイヤを狙っていたのは分かっていたし……」

「いっちゃん、凄いわね~。でも、油断はしてはダメよ?」


 イツハが身構えると、やはりアンモルは身を隠しながらも銃口をチラつかせる。

 今度は防げないかもしれないとイツハが考えていると、ミュナが声を上げる。


「そうそう、私も使えばいいのよ」


 ミュナが短く何かを唱えると、どこからともなく灰が降り注ぐ。

 灰のカーテンで隠され、アンモルも流石に銃撃は無理と悟ったのだろう。

 銃弾から逃れられ、イツハはホッと胸を撫で下ろす。


「これならば銃撃される必要はないですね」

「ええ。距離を取って、銃の射程外に逃げちゃいましょ」


 一時はどうなるかと思っていたが、ミュナがいるならば心配することもないだろう。


「しかし……」


 イツハにはどうにも胸騒ぎがする。

 前方を見ると、下り坂になっている。

 上り坂で苦労した苦しみを、下り坂で勢いよく解消出来ればいい。

 だが、そんなに上手くいくのだろうか。

 彼はホフリの剣を握り締めるも、その手は寒空の下にいるかのように酷く震えていた――。


このまま、楽に勝利が出来るのでしょうか?

逆転こそレースの華である以上、油断は出来ません。

それでは、次回をご期待ください!


面白いと思いましたら、いいねやブックマークをしていただければ幸いです。


それでは今後ともミュナおばさんとイツハとマァルナの活躍をお楽しみに。

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