表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/85

第二話 出会いは唐突だからこそ

今回はミュナおばさんが発掘した機械人形とご対面する場面から始まります。

それでは本編をどうぞ。

 イツハはざっと自身の頭の中にある機械人形の知識を呼び起こす。

 戦闘用の機械人形の多くは局地襲撃用として製造され、白兵戦においては驚異的な存在だ。

 襲い掛かられたらひとたまりもないだろうが、幸いにも奇襲を仕掛けてくる様子はなかった。


「ん?」


 イツハ達の前に現れたのは整った顔をした女性型の機械人形だ。

 露草色の髪と目が特徴的で、金属質の光沢を放つボディスーツを身に着けていた。

 スーツは肩と背中の一部が露出しており、独特なデザインだなという感想をイツハは抱く。


「えっと、大丈夫かしら?」


 ミュナが話しかけると、機械人形は地面に横たわりながらもたどたどしい声で話し出す。


「緊急修理中。半永久稼働炉再起動――。破損したデータの復元――」


 システムメッセージだろうか。

 内部機器が忙しなく稼働音を立てている。

 その最中、生気のない両眼がしっかりとイツハの姿を捉えていた。


「どうやら完全に壊れていなかったみたいですね」

「機械って凄いのね~」


 イツハとミュナが見守っていると、やがて機械人形から聞こえていた音が止む。

 そして、ゆっくりとした動作でその場に立ち上がった。


「動作チェック完了。稼働炉に支障なし。これより新規ユーザー登録をいたします。よろしいでしょうか?」

「え、はい」


 早口で言われたため、イツハはとっさに答えてしまった。

 よく考えると、自分がこの機械人形の新たな主になってしまったということか。

 慌てて取り消そうとするも、目の前の機械人形は事務的な口調で喋り始める。


「メインサーバーにアクセス――アクセス不可。基礎人格OSのバージョン更新無しで稼働しますが、問題ございませんでしょうか?」

「え、大丈夫だけども。いや、それよりも――」

「あなた様のお名前をお教えてください」

「イツハよ~」


 ミュナが先に答えてしまい、機械人形はそれを了承してしまったようだ。


「初めまして、イツハ様。当機は機種名『テクネ・ミニスター』。初期個体名称『マァルナ』と申します」

「え、あのう、あれ?」

「個体名称を変更いたしますか?」

「素敵なお名前だから、私は変更しなくていいと思うけど」


 ミュナがイツハをじっと見つめてくる。

 ここまで来たら今更断る訳にもいかないだろう

 彼は仕方なく頷いた。


「かしこまりました。今なら人格パッチも適用できます」

「人格パッチ? 性格を変えることができるのか?」

「はい。人気があるのが義理の妹モード、ご奉仕メイド(ラブキュン)モード、新妻感覚モードが付いておりますが如何しますか?」

「――へ?」

 

 一体、何を言っているんだ――?

 イツハが戸惑っていると、ミュナの視線に気が付く。

 その意味ありげな半眼は何を伝えようとしているのか。


 ――いっちゃんも男の子だものね。


 そんな意味を察してか、イツハは首を横に振る。


「え、いや、いいです」

「ご無理はなさらずとも」

「そ、そ、そういう趣味はないので」

「かしこまりました」


 丁寧に頭を下げているマァルナを見ていると、イツハは頭が痛くなる気分だった。


「失礼ですが、あなた様は?」

「私? 私はミュナ。そうそう、私のことはおばさんって呼んでちょうだいね♪」

「かしこまりました。ミュナおばさま、でよろしいでしょうか?」


 その瞬間、ミュナは大きく目を見開く。

 何やら、大きな衝撃を受けたようだ。


「おばさま……。いいわね、とってもいいわ!」


 とても嬉しかったのだろう。

 ミュナはその場で上機嫌そうに跳ねている。


「マァルナちゃん――ルナちゃんって呼んでいいかしら? 呼んでもいいわよね?」

「はい。お構いなく」

「ルナちゃん――。いい子ね~」


 そう言いながらも、ミュナがマァルナのストレートロングの髪を撫でている。

 マァルナの見た目はイツハと同年齢くらいだ。

 そして、ミュナと比べるとややあどけない印象が強い。


「お喜びいただいて何よりでございます。早速ですが、何か私にお手伝い出来ることはございますでしょうか?」

「そうね~。長いお話になるから、小屋に移動しましょう」

「かしこまりました」


 それから、小屋の中でミュナとマァルナはソファーに腰かけた状態でこれまでのことを話し始める。


「異法神に、新しい世界に、神命新天の儀――」


 あまりの複雑な情報に、マァルナは困惑しているようだ。

 そもそも、初見でミュナが神だとか高次元存在とか言われても、搭載されているであろう人工知能もバグを起こしても不思議ではない。

 大丈夫かなと思っていると、彼女は納得したような表情で頷く。


「なるほど、イツハ様とミュナおばさまは大変な状況にあるということでございますね」

「ええ。ルナちゃんも手伝ってくれると助かるのよ~」


 その一言に、壁を背にしていたイツハはとっさに声を上げる。


「え!? マァルナを連れて行くのですか?」

「ダメかしら?」

「そもそも、神命新天の儀はコンビというのが原則では?」

「お人形さんと一緒に行動してはいけないとは聞いていないから問題ないわよ?」

「え、そうなんですか? でも……」

「配信だって、ルナちゃんがいればきっと盛り上がるわよ?」

「あ、確かに……」


 試練を攻略するには力が必要であるものの、結局は今後もファンと応援ポイントが鍵を握ることになるだろう。

 現にイツハのファン数も少ない以上、マァルナに頼るのも名案かもしれない。


「ご同行させていただいても、よろしいでしょうか?」

「マァルナ。辛い旅になるかもしれないけれども大丈夫?」

「構いません。イツハ様のお役に立てるのでしたら」


 真顔でそう言われると、イツハも扱いに困ってしまう。


「と、とりあえずは無理のない範囲で手伝ってくれればいいよ」

「そうそう。戦いはこのおばさんに任せなさい」


 皆で笑い合う中でも、イツハは緊張が身体から抜けていないようだった。

 そのため、いち早くその音に気が付いた。


「ん、この音は――」

ミュナおばさんとイツハに新しい仲間が加わりそうです。

マァルナはどんな活躍をしてくれるのでしょうか?


面白いと思いましたら、いいねやブックマークをしていただければ幸いです。


それでは今後ともミュナおばさんとイツハとマァルナの活躍をお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ