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第五話 沼地に潜む獣

休憩を終え、次なる目的地へと向かったミュナおばさんとイツハ。

さてはて、沼地で待ち構えているもふもふ☆とは一体どんなもふもふなのでしょうか?

 沼、と聞いて連想するのはジメリとした嫌なイメージだ。

 沼に生息する生き物というのも、あまり良い印象がない。

 しかし、どうして自分にこんな記憶があるのか。

 少なくともイツハに沼に立ち入ったという思い出はなかった。


「いっちゃん」

「は、はい」

「もふもふ☆がいたわよ」

 

 ミュナの声に、イツハは驚く。

 いつの間にか目的地のある沼地へと辿り着いたのか。

 彼が周囲を見渡すと――。


「ん?」


 沼地である以上湿地となっているはずなのだが、水源がどこにも見当たらない。

 その代わりに、前方には大きな窪みがあった。

 本来ならば藻を浮かべ淀んだ水が溜まっているのだろう。

 だが、イツハが何度瞬きをしても、そこには橙色の毛玉しかなかった。


「え、いや、え……」


 沼にしてはファンシーすぎる。

 沼の底に怪物は潜んでおらず、もしかすると物を投げれば精霊が現れて質問を投げかけてくれるかもしれない。

 イツハが童話の世界に引きずり込まれたかのような錯覚を覚えているとミュナが彼に声を掛けてくる。


「いっちゃん。もふもふ☆はあそこの茂みよ」

「は、はい」


 沼というか毛玉溜まりの近くの茂みをイツハは注視する。

 茂みからは激しく地面を蹴る音が聞こえ、それが止むと真っ黒な毛並みの犬がぬっと現れた。


「犬……?」


 胴が長く、脚は短いが、その顔つきからは犬であることに間違いない。

 もふもふ☆の一種であるためか体毛が膨らんでおり、滑稽な姿に思わずイツハは笑いそうになる。

 だが、問題なのはその犬には頭が二つ余計についており、真ん中にある頭には長い角が生え、おまけに目つきも凶悪だ。

 愛玩動物として飼いたい、と言い出す者は相当の変わり者だろう。

 両の手だけではとても手に余る存在だ。

 そう思いながらも彼がもふもふ☆ハンター手引きのアプリを起動してみると――。


「え? 『ケルベッシュ』だって?」

「それがあの子の名前なのね?」

「はい。それ以外に説明はないのですが、どう戦いますか?」

「大丈夫。私にはこの机が……」


 ミュナは担いでいた長机に視線を移す。

 机でどんな戦い方をするのだろうかとイツハは期待していたが、ミュナの様子がおかしい。


「これで、殴るのよね?」

「は、はい?」

(かど)で殴ったら、痛いわよね?」

「そりゃあ、痛いですよ」

 

 すると、ミュナは複雑そうに、そして苦悶の顔でこう呟く。


「とにかく、話してみましょ」

「え? 動物と会話が出来るんですか?」

「そうよ。知恵ある存在であれば会話が出来るというのは神の特権なのよ」

「そ、それは凄いですね!」


 イツハが羨ましく思っていると、ケルベッシュが物凄い勢いで迫ってくる。

 すると、ミュナが吠えるような声を上げた。

 どうやら、ケルベッシュとの会話を試みているようだ。

 だが、ケルベッシュは耳を傾ける様子もなく、その場で大きく息を吸っている。

 何をするのかと、彼が様子を伺っているその時だった。


「いっちゃん! 逃げて!」


 ミュナの叫び声を聞き、イツハは反射的に横っ飛びをする。

 この足さばきはどこで身に着けたものなのか。

 まるで無駄のない回避行動に驚く間もなく、彼の横を熱気がすり抜けた。


「火の玉――?」


 見てみると、イツハの後ろに燃え盛る火の玉が三つ転がっていた。

 毛玉を吐き出したらしく、それを体内で引火させたものだろうか。


「落ち着かせないと会話は無理ね。足止めを任せても大丈夫かしら?」

「はい。大丈夫です」

「あと、忘れていたけども配信の再開もお願いね」

「了解です」


 即答してから、イツハは内心やってしまったと慌てふためく。

 勝つための算段すらまだ立てていないというのに。

 どうして、安請け合いをしてしまうのか。

 彼は後悔しながらも、再度三つ首の犬を見据えた――。

ケルベッシュとの戦いが始まります。

果たして、どんな戦いが繰り広げられるのでしょうか?


面白いと思いましたら、いいねやブックマークをしていただければ幸いです。


それでは今後ともミュナおばさんとイツハの活躍をお楽しみに。

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