表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/38

まさかの結末

この小説は『悪役令嬢に転生したら正体がまさかの殺し屋でした』と同じ世界観のお話です。

 振り向くと、そこには皇帝が珍しいものを見るような顔をして立っていた。その後ろには瘴気の件でオーウェンに呼びつけられた様子のフィアとネオもいる。


「クロード、あれは何者だ?」

「聖女ですよ。瘴気の量が尋常じゃなかったので、聖女を召喚して浄化魔術で浄化してもらったんです」

「ほぉ、あれが聖女か」


 興味深そうな様子の皇帝の声に、レリアは振り返った。


 皇帝の佇まいを見て察したのか、恭しく一礼する。


「ディーヴェス帝国皇帝陛下にご挨拶申し上げます。私はレリア・ルーン・メルクリア、今は家を出ていますが、ウェスタニア王国メルクリア侯爵家の者です」

「そうか。急な召喚に応じ、瘴気を浄化してもらい礼を言う」


 皇帝が僅かに微笑むと、レリアは一瞬言葉に詰まるような顔をした。


「……光栄にございます」


 違和感を覚えつつも、誓約を交わしているのですぐに解放するよう促す。


「約束通り、礼をしよう。何を望む?」

「じゃあ、帝国通貨で金貨二十枚ください」


 即答するレリア。


 現金を要求するとは意外だが、浄化魔術の対価としては安過ぎるくらいだ。


 と思ったら、皇帝が口を挟んできた。


「現金で良いのか? なら四十枚出そう」

「そんなに良いんですか?」


 目を輝かせる聖女に、皇帝は面白いものを見るような目で笑った。


「侯爵令嬢とは思えないな。折角だ。城で食事もしていくと良い」

「あ、いえ、その……お誘いは光栄ですが、連れが心配していると思うので、私はこれで失礼します」


 皇帝直々の食事の誘いを断ったことで、彼はますます楽しそうな顔をした。


「ははっ! ますます面白い! それならば連れとやらも呼んで……」


 言い終える直前、強い魔力の塊が急激に接近してきた。

 それを察知した皇帝と俺、フィアとネオが構える中、レリアが「あちゃー」と額を抑えるのを視界の隅で捉えた。


 直後、魔力の塊が物凄い速さで中庭に降ってきた。


「レリア! 大丈夫か! 何かされなかったかっ? 怪我はっ?」


 土埃の中から、淡い金髪に深紅の瞳の青年が飛び出してレリアに駆け寄る。

 その顔を見て、俺は度肝を抜かれた。


「ジーク王子っ?」


 姉妹ゲームの攻略対象である王子だ。

 更に、次々と土埃の中から出てくる人物に絶句する。

 

「レリア! 無事で良かった!」

「レリア様! その麗しいお姿が見えなくなり私は息もできないかと思いました!」

「お嬢様、急にいなくなると統制が取れず大変ですので、今後安易に召喚に応じないでください」

「まぁまぁ、レリア嬢が無事で何よりじゃないですか」


 金髪に翠の瞳の青年。

 金髪碧眼の、モノクルを付けた少年。

 褐色の髪に黄金の瞳の少女。

 燃えるような赤い髪と翠の瞳の青年。


 少女以外は知っている顔だ。

 全員、姉妹ゲームの攻略対象、ルイス第二王子、王国の筆頭魔術師セイン、騎士団長のアーネスト。


「……おいおい、どうなってんだよ、悪役令嬢が聖女になっただけじゃなく、これじゃあ逆ハーじゃねぇか」


 思わず呟いてしまった。

 それを聞き取ったレリアがばっと振り返り、俺に掴みかかってきた。


「私が悪役令嬢だと知ってるってことは、貴方も転生者なのっ?」


 小声で問い詰められ、頷く。

 この一言で、彼女も俺と同じ転生者だということがわかった。


「レリア?」


 ジークに名を呼ばれたレリアははっとして、ひとつ咳払いをした。


 皇帝に向き直り、頭を下げる。


「皇帝陛下、突然私の連れが失礼いたしました。先程のお誘い、まだ有効でしたら、連れも含めてご相伴に預かってもよろしいでしょうか」

「ああ、もちろん。滞在の許可も出そう。好きなだけ城に留まると良い」


 皇帝はよほどレリアを気に入ったらしい。


 状況が呑み込めない様子のジーク王子たちは顔を見合わせている。


「食事の時に色々話を聞かせてもらおう」


 そう言い残して、皇帝は踵を返した。


「じゃあ、それまでちょっとお話ししませんか? 賢者様」


 レリアが貼り付けたような笑顔で俺を誘う。

 喜んで受けたい所だが、後ろの野郎どもの視線が痛い。


「俺は構わないが……」


 視線をレリアの背後に向けると、彼女は王子たちを一瞥し、何か言いたげな王子たちを無視して俺の腕を掴んだ。


「彼らは放っておいて大丈夫です。話を聞かれたくないので、二人きりでお話ししましょう?」


 聞き方によってはとんでもない誘い文句だが、お互いが転生者であり、周りにそのことを知られていないとなると、第三者に聞かれないようにするのは当然の配慮だ。


 俺は応接室に彼女を案内した。

もしよろしければ、ページ下部のクリック評価や、ブックマーク追加、いいねで応援頂けると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ