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予想外の展開

この小説は『悪役令嬢に転生したら正体がまさかの殺し屋でした』と同じ世界観のお話です。

 自室のテラスに出て、俺は風読魔術を唱えた。


 風に、ウェスタニア王国で起きている事を尋ねる。


「……ベルフェール公爵長女が『魔王の眼』を使って王妃暗殺を企み逮捕、『魔王の眼』を娘に与えた公爵も爵位剥奪となる見込み、か」


 『魔王の眼』とは、世界三大魔具の一つだ。


 世界三大魔具は、この世界に生きる者ならば、子供であっても知っている有名なものだが、誰が所有しているのか、そもそも実在しているのかさえ曖昧で、もはや伝説と言って良い代物である。


 世界三大魔具はその名の通り三つあり、一つ目はいかなる病気や怪我も治すといわれている『神の手』、二つ目は自然を操る力を得られるといわれている『精霊の翼』、そして三つ目が呪った対象者を必ず死に至らしめるという『魔王の眼』。


 ちなみに、世界三大魔具というアイテムは、ゲームの中では名前だけしか登場しない。

 実は続編で登場させる予定だったのだが、前世の俺は続編が制作される前に死んだため、その後どうなったのかはわからない。


 そういえば、前世の俺は『魔王の眼』によって掛けられた呪いは『神の手』か、聖女にしか解くことはできない、という裏設定を作っていたな。


 ベルフェール公爵の長女により、『魔王の眼』の呪いに掛けられたというウェスタニア王妃は、その後回復したのだろうか。

 

 回復したのだとしたら、『神の手』を入手したのか、はたまた聖女が現れたのか。


 そう疑問を抱いた直後、風が教えてくれた情報に、俺は度肝を抜かれた。


「……は? 悪役令嬢のレリアが、聖女として覚醒した、だと?」


 聖女は、浄化魔術を扱う事ができる魔術師を指す。

 非常に貴重で、一代に一人しか存在せず、こちらのゲームの世界では登場しないが、姉妹ゲームではハッピーエンドを迎える場合に、ヒロインが聖女として覚醒するというストーリーになっている。


 そう、ヒロインであるシルヴィ・ブランシュだ。レリア・ルーン・メルクリアではない。


 悪役令嬢が聖女になるなんて、何がどうなっているんだ。


「……会って確かめるか……いや、それもなんか藪蛇になりかねない気がするな……」


 うーん、と唸ったところで、風が途切れる。

 風読魔術は魔力消費こそ大きくはないものの、集中力が必要なため長時間は継続できないのだ。


 俺は一度部屋に戻り、今の状況を紙に書き出して整理することにした。


 まずは登場人物のキャラクターだ。


 皇帝ガルイース。表向きは傲岸不遜、実は女性恐怖症。ただし、ルーナとフィアは除外。

 フィア。豪胆な性格。キャラ変はなし。

 ルーナ。ツンデレな性格。大きなキャラ変はないが、初登場シーンが大きく変わっていた。

 エリーゼ。正統派清楚系の姫のはずが高飛車傲慢にキャラ変。

 マリア。純情可憐ロリ娘のはずがメンヘラにキャラ変。

 ソフィ。自由を愛する天然キャラのはずが無表情ミステリアスにキャラ変。

 セノア。お色気系お姉様のはずが高飛車傲慢にキャラ変。

 アリス。サバサバ系姉御キャラのはずが高飛車傲慢にキャラ変。

 メリッサ。剣士でもあるお転婆系姫君が、一人称妾の高飛車傲慢にキャラ変。

 ステラ。色気と儚さを併せ持った踊り子のはずが、まさかの男でバイセクシャルに変更。

 クロエ。貧乏に負けない健気真っ直ぐキャラのはず。性格は大きくは変わっていなさそう。


 その他ゲームに登場する脇役キャラはネオ、カイル、キース、オーウェンだが、共に性格などに変更はない。


 その他の変更点について。

 ブルーバード公国の教会で起きた誘拐事件。

 女盗賊のフィアが筆頭魔術師に就任したこと。

 ルーナの父親の様子。

 混沌竜カオスドラゴン襲来のタイミングと現れる場所。

 その混沌竜カオスドラゴンをフィアが倒し、アヴェンタドールの国王も失神させて帝国に連れてくるという形で侵略してしまったこと。

 隣国ウェスタニアの公爵逮捕。

 姉妹ゲームでの悪役令嬢が第一王子の婚約者候補になったこと。

 その悪役令嬢が聖女として覚醒したこと。


 そこまで書いて、ふと思う。


「もしかして、レリアが聖女として覚醒したから第一王子の婚約者候補になったのか……?」


 いや、と即座に自分で否定する。

 聖女として覚醒したのが本当であれば、候補ではなく即座に結婚まで事が運ぶだろう。

 おそらく、聖女覚醒は婚約者候補になった後の出来事だ。


「……それにしても、皇帝の花嫁になりうる可能性が残っているのは、現時点はクロエのみか……」


 昨日風に『皇帝の花嫁に相応しい女性の所在』を尋ねた時、ブルーバード公国のオースターの教会だという情報を得たが、そこにクロエはいなかった。

 そこで出会ったフィアとルーナは、皇帝直々に「違う」と言われてしまった。


 その可能性も頭の片隅にあったが、もしやシナリオが変わっているせいで、ゲームの攻略対象ではない女性を選ぶのだろうか。

 だとしたら非常に面倒臭い。


 おい神この野郎! 何で素直にシナリオに従わないんだ! この世界に、女性が何人いると思っているんだっつーの!


 内心で悪態を吐き、ふと気が付く。

 これだけシナリオが変わっているのだ。

 万が一このまま皇帝が花嫁を選ばなかったとしても、バッドエンドにはならないのではないだろうか。

 それに、もしもバッドエンドになりかけても、回避できるのではないだろうか。


 皇帝に反対する貴族に皇帝が嵌められ、失脚してしまうことでバッドエンドになるが、ゲーム内でその貴族の詳細は明かされない。

 ならば現時点で皇帝に反感を抱いている貴族を風に聞いて、対処してしまえば良いのではないか。


 妙案が浮かんだが、もう少し休んでからでないと風読魔術は使えないので、俺は早めの朝食を摂ることにした。

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