歌い過ぎに注意
「全生徒と教師陣を排除する…」
やはり、と言うべきなのか。
ショウマの言葉に、この場にいる全員は大きく歓声と賛成の声を上げる。
誰一人として、反対の声を上げる事はなく全員が彼の言葉に賛同した。
「おぉ!!兄貴、今度は馬鹿共の掃討か!面白そうじゃねぇか!」
「詳しい事はヴェイザーとシュバルツに聞いてくれ、立案は2人がやってくれたから…」
本音は考えるのが面倒くさかっただけ。
それに、僕が考える前に2人は既に考えてくれていた。
僕より多分だけど頭良いよ。
◇◇
さて、下準備は既に全て整っている。
何を破壊するか、誰を殺すか。全てはもう決まっている事。
そして学校の人間の運命も、全てが僕の手の上だ。
言っておくが、今更その運命を覆す事なんて出来はしない。
定められた運命だ、もう今更変わらないからね。
「MasterMind様、お聞きしたい事が…」
「サブナック、何か?」
「私とニクスは、正面から突撃する様にと思っております。それで宜しいでしょうか?」
何だそんな事か。
「あぁ、構わない。ジャックと3人で暴れて来い」
「うっひゃー!正面から殺しまくれる!最っ高!なぁなぁサブナック、乗っていいか?」
まるで欲しい物を与えられた時の子供の様に、ジャックは幼い子供の如くはしゃいだ。
他者の命を自由に奪えると知れば、ジャックは愛らしく、そして可愛く喜びの感情を見せる。
しかし喜んでいるのは、人を自由に殺せる為。傍から見れば異常だよ。
普通、人を殺して喜んでいる人間なんて異常そのモノだ。
だが、僕は別に変とも思わない。
それもそれで悪いとは思わないし。
「Berserker、乗るのは良いが…間違っても主砲を取ったりはしないでくれよ?」
「えぇ!?あれは…たまたま…」
(物悲しげなビープ音)
前科ありだね、気を付けよう。
この前ジャックは戦車に変形していたニクスに乗っていた時、戦車形態時の主砲をぶんどって乱射した事がある。
お陰でミディアが昼寝を我慢してニクスを修理する羽目になった。
悲しい話だよ、本当に。
「3人が先に正面から突撃した後、自分とディープ殿が潜入、そして敵の脱出経路の削除…」
「任せてよ、総帥殿。潜入は得意だ!それに緊張もしないよ!」
「潜入と同時に、俺が奴らを逃がさない為に専用のフィールドを貼り……」
「私達残りのメンバーが、学校を制圧する…」
「たいへんよくできました」
何の間違いもない、彼女らの作戦内容に間違いは一切存在しなかった。
正に全員、有能の塊。
完璧超人と呼んでも差し違えないだろう。
「さて、今回の会合はこれぐらいにするか……」
「あ、ショウマ」
ヴェイザーの言葉に、ショウマは呼び止められた。
今日はもうこの地下施設から、寮に帰ろうと思っていた。
別に特別長居する必要も無いだろうと思っていた。
しかし、ヴェイザーはそんなショウマを呼び止めた。
「何だ?」
「皆でカラオケしない?」
グッチョブ!
と、僕は心の中で叫んだ。
そうだった、そうだった。
この地下施設、勿論だが前世に存在していた娯楽関連のモノが沢山存在している。
カラオケ、ボウリング等と言ったメジャーなモノは全て作らせている。
やろうと思えばやる事は容易な話だ。
そして今回選ばれたのは、カラオケと言う事だ。
「お、皆で歌うのか!いいねぇ!」
「と、言う訳さ。一緒に歌う奴はいるか?」
「俺は構わんよ。Masterも来るなら尚更だしな…」
「オレも歌うぜ!何だっけ…あに、アニソン?ってヤツ歌いたい!」
「拒否権等存在しない、MasterMind様。私も全身全霊を持って歌わさせて頂きます」
他の面々も、ショウマと共にカラオケをする事に対して異論を唱える事はなかった。
さて、ここからはカラオケの時間だ。
前世で聞いていた700曲以上のプレイリストから、好きな曲を思いっきり歌うとしよう。
◇◇
「なぁなぁ雪貞、何歌う?」
「強いて言うならボカロを歌いたいな…」
「今回は……えぇっとシュバルツ、これ何て読むんだ?」
「ジャック、それはあかつきと読むんですよ」
「おぉ、最初オレが歌う!この…あかつきの……くるまってヤツ歌うぜ!」
「なら、私とショウマでパラレルな曲でもデュエットで歌おうかしら」
「ボクも決めたぞ、その血の運命ってヤツだ…」
「いつも通り…railgunを…」
「ワタシら4人でセーラー服歌わない?」
「ハハハ、その歳でセーラー服は…!」
こう言うほのぼのとした感じも悪くは無い。
異世界に来て、皆でカラオケを楽しめるなんて意外過ぎる話だった。
前世でやっていたカラオケも、大体1人。
と言うか、絶対に1人だったので、知り合い同士でカラオケをするのも悪い話では無い。
こうやって今も仲間達と共にバカ騒ぎし、熱唱し合ってある。
現在は紫苑が雪貞と一緒に思いっきり恋愛ソングを熱唱しているので、腹筋崩壊しそうだ。
でもこの後は、スリスコと庵が陰陽師の曲を歌うと言う奇行に走ろうとしているので余計に笑いを誘われる羽目になりそうだ。
◇◇
さて、そろそろだ。
始めるとしよう、
お遊びはここまで。掌握する時が刻一刻と迫っている。
楽しみ過ぎて堪らないよ、興奮と喜びが零れそうな程までに溢れてくる。
「行くか…」
首領たるMasterMindは、立ち上がり、暗がりな部屋から1人、立ち去った。
「いで……」
「あら、踏んじゃった…」
歌い過ぎてしまい、はしゃぎ過ぎてしまい、すっかりと眠りこけてしまっていたCRISISの面々。
行く途中に雪貞かディープか知らないが、踏んでしまった。
真面目にごめんなさい。




