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被害者になるよりは野次馬に混じってた方が良い

 


 僕は今、静かに寝息を立てながら横向きの姿勢で眠っている。




 添い寝してきるヴェイザーのたわわな胸に顔を埋めながら、無防備に寝息を立てながらだ。




 顔全体は柔らかい感触に包まれ、鼻には女性特有の優しく仄かで甘い香りを感じていた。




 それ自体は凄く幸せだった。




 幸せだったのだが、

 



 邪魔したいのか、それともラブシーンにおけるお約束なのかは知らないがそれぞれ深い眠りに入って暫く経った時、怒鳴り声より喧しい音で2人は目覚めた。



「ん?何だぁ!?」



「おっ?」



 何が始まった?




 しかし、とことん煩い事に変わりは無い。




 折角の年上白銀髪で巨乳との添い寝タイムが台無しだ。



「ショウマ、私は見てくるよ…」



 まるで、分かっているかの様だった。



 耳を引き裂く勢いで起こった爆発音の様な音が、耳に響いた瞬間、ヴェイザーはベットから飛び起きる。




 そしてベットから飛び起きると同時にヴェイザーは窓を開け、1人足早に外の闇の世界へと飛び出し、消えていった。



「ショウマ君!ショウマ君!」



「はよぉ起きんかい!」



 声的に、これはスズキ君とオクノ君だな。




 多分だけど、この爆発音に関する事だろう。言われなくとも、それぐらいは分かる。



 ショウマはすぐに、ベットから這い出ると同時に部屋の扉を開ける。



 扉の前には案の定、スズキ君とオクノ君が立っていた。



「あ、スズキ君オクノ君」



「何呑気な事言ってんだよ、このバカ!」



「さっきのが聞こえんかったんか?はよぉ逃げるゾイ!」



「確かに………逃げる!」



 爆発で王都ごと跡形もなく消し炭にされてしまったら、堪らない。



 楽しみにしている王都の壊滅も、これでは全てオシャカになってしまう。





 よし、可能だったら異世界系主人公っぽくチートスキルで圧勝するのも悪くないかもしれない。




 折角の異世界転生なのだ、かっこよくやろうかっこよく。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 かっこよくやろうと言っていたな、あれは嘘だ。




 残念な事に、思ったりよりも大変な事になっているっぽい。



 いつもなら馬車が数台通り、人が歩いている道は異常と言える程の人の数だった。




 最早、押し合い圧し合い状態と言っても異論ない程で少しでも気を抜いたら群衆の波に押し潰されそうになるぐらいだ。



「急いで、第二区都市かその方角に避難を!」



「誘導に従って、焦らずに行動してください!」



 慌てふためく群衆を宥める様にして、既に事の重大さを理解している兵士達は、既に避難誘導を始めていた。




 ――――早くない?




「もぅ、一体何が………イテッ!誰か僕の足踏みやがったな!」



「今、ワシの足を踏んづけたのは誰じゃぁ!?捕まえてコテンパンにしてやらぁ!」



「お前ら、そんな事言ってる場合じゃないだろ!さっさと避難するぞ!」



 誰かに足を踏んづけられるし、おしくらまんじゅうの要領で四方八方から押されまくられるは散々だ。




「あぁ……スズキ君、オクノ君……」



「何じゃ!?」



「早く逃げないと!」



 その時、スズキ君とオクノ君と共に大勢の人達の波に飲まれながら避難していたショウマは突然として、上の方向。



 つまり空の方向を指差した。



「え、2人共……あれ…」



「な、何だあれは?」



「ご、ゴーレム?」



 ここは異世界、異世界ともなれば魔物と呼ばれるメジャーな存在は当然な事ながら存在している。



 スライムの様な、某ゲームに登場している様な、皆が割と知っている様な存在がこの異世界にも存在しているのは明らかだった。



「え……あれって……」



 次の瞬間だった、まるで魅入られたかの様にしてショウマが目を見開いて足を止めた時だった。




 刹那、閃光が目を引き裂く勢いで光る。




 闇を勢い良く引き裂いて、地に何かが着地した。



 何かが着地した際の衝撃で、ショウマの体は思わず、僅かながら衝撃により揺らされる。







 そして着地とほぼ同じタイミングで、まるでバズーカ砲が放たれたかの様にして、爆発音が響くと同時に自分が立っていた場所の斜め前の建物が粉塵を巻い上げ、強風を吹かせて爆発する。




 恐ろしい勢いの暴風だった。




 ショウマも目を腕で覆いながら、両足を開きながら踏ん張る姿勢で地に立ち尽くしていた。




 闇の中に覆われ、光が決して刺さなかったその街中には、建物に真っ赤な炎が宿った事で明かりが生み出される。


 


 舞い上がり、無数に燃え広がる炎が街中を照らす時。




 ショウマの双眸には一つの影が映る。





 燃え盛る炎と闇を掻き分けて、自らの目の前に風を起こしながら現れた存在。ショウマは()()を見て思わず口を開きながら驚きの表情を見せた。





 堅牢な装甲に覆われた周りの建物を凌駕する大きさの巨大な全身



 闇と広がる炎の中で不気味に光る紫色のモノアイ



 肩に担ぐ形で構えられたバズーカ砲



 機械的なマニュピレーターに一歩進むだけで地に穴を開けてしまいそうな脚部





 真っ先に頭に思い浮かんだのは、ロボットだった。いや、モビルスーツと言った方が正しいのかもしれない。




(ガ○ダムじゃない……ザ○か?)



 思わず、某ロボットアニメの量産MSの名前が出てきてしまった。




 しかし、謎のロボットの正体は分からない。




 ショウマは結局、目の前に立ちはだかる存在が何なのか分からず、ただ呆然と立ってその存在を見つめている事しか出来なかった。



「君!見惚れちゃう気持ちは分かるけど、早く避難を!」



「あっ!?」



 思わずハッとした。



 周りの事がどうやら見えていなかった様だった。




 後ろから、女性の声が聞こえた事でショウマは我に返る。



「急いで避難を!ここは私達が!」



 雪の様な白髪とジャックと同じ様なケモ耳を頭部から二つ生やした女性は、ショウマの肩に手を置きながらそう言った。



 ショウマに避難を促すと同時に、ケモ耳の女性は尻尾と中々に大きな胸を揺らしながら向かってきた方向とは逆。




 即ち、あの謎の巨大なロボットの様な存在がいる方向へと走って行った。





「おぉ――い!ショウマ君、急げぇ!」



「何をしておる!?はよぉ来んか!」



「あ、ごめん。今行く…」



 多少の名残惜しさを感じながらも、ショウマは数回程後ろを振り向きながらも、一応全力で走ってスズキ君やオクノ君がいる所まで走り去っていった。





 ◇◇





「椿、今度はデカブツか……」



「あぁ、少々デカイヤツには飽きたが……コソコソ殺し回ってるヤツよりかはマシだ」



「行くぞ!」



「了解!」

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