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男のロマンとは儚く大きいモノ

 

「本日の招集に答えてくれた事、強く感謝する」




 地下深くの秘密基地。




 詳しく言うと、この場所は王都の地下に誰にも知られぬまま、秘密()に作り上げた『CRISIS地下拠点王都地区本部』なのだ。





 僕がこの王都にやって来る前、先に王都に移動していたミディアは同じ仲間であるディープの力を借りていた。




 そして僕が王都に来る二年前から、この王都の地下に秘密基地を作っていたのだ。




 しかもめちゃくちゃ広いし、設備も最高と言えるぐらいに整っている。





 簡単にその設備の良さの例を説明しよう。




 全員分の個室を完全に完備、何でかは分からないけど僕の部屋だけまるで狙ったかの様にしてダブルベッドになっている。



 おいコラ、責任者出てこい。




 戦闘訓練所も完備している。主にこのチームには戦闘狂も存在しているので、丁度良い。僕も訓練に使うぐらいだ。

 ホログラムやデコイによる対人との戦闘や局地戦を意識した戦闘訓練を行う事も可能だ。




 お風呂とシャワーも完備されている。お陰様で汗をかいてもすぐに汗を流す事が出来る。

 ミディアの開発した擬似映像投影技術によって、露天風呂気分も味わえるなど良い事尽くしだ。





 他にも色々な設備が盛り沢山な秘密基地だ。




 あの何も無くてガンガンに音漏れするボロ小屋とは大違いだな。




 ここなら、思いっきりギターを演奏しても何の問題も無い。




 個人的には誰にも煩いとも思われずに、演奏出来るのは有難い事だ。







 正に男のロマンと言った所だろう。





 薄暗くも王座の間を照らす光は、最果てのラスボスが座っていそうな装飾が施された椅子を照らしている。



 その椅子に座る者は、足を組みながら頬杖を着き何処か狂気を見せるかの様な表情で目の前にひれ伏す配下達を見つめていた。




「我ら忠実たる配下、全員がこの場所に……Castorここに」



「同じく、Attackerここに」



「Saber…大将のご命令により参上つかまつりました」



(命令に答えて来た事を指すビープ音)



「Berserker、兄貴の為に来ました!」



「Scout、準備完了だ」



「あれ?AvengerとInsurgentは?」



「ショウマ、あの2人はまだ外部に調査に行っているわ。今回の招集には答えられないって」



「何だよ、折角兄貴が皆呼んでるってのに!」




 ジャックはそう言っているが、




 正直な所、別に来なくても構わない。




 あの2人や他の皆は基本的に別働隊や外部調査として動いてもらっている事が殆どなので、基本的に本隊とも言える僕達のチームに合流するのは稀な事だ。



 まぁそれでも稀に呼び戻す事もあるんだけど。




「今日はミディアが面白いモノを見せてくれるらしい。どうやら、新しい武器かは知らんが、また何か作ってくれたらしいんだが……」



 ミディアはいつもの事ながら、毎日毎日この場所に篭もり続けて、ありとあらゆる武器や兵器、道具を開発している。




 今回も全員に向けた、新たな武器の配布だろうか。




 よく分からないが。



「ドクター、ここは君に任せるよ」



「はいは~い、それじゃ報告を始めるわね」




 また始まったよ、と言わんばかりな表情をこの場にいる皆は見せる。




 どうせ彼女の事だ、またヘンテコでろくでもない変な発明品でも持ち出してくるだろうとショウマを含めた皆が思っていた。




「紳士淑女の皆さん新しいワタシの発明をとくとご覧あれ!これがワタシの開発した新装備!『Eメール送信装置』よ!」




 だとか




「またまた新しい発明をご覧あれぇ!これを聞けば貴方も忽ち氷の中!新装備『ダジャレマイク』よ!」




 どこぞのネコ型ロボットの秘密的な道具か。





 彼女の作る装備は、思わず鋭いツッコミと失笑を誘う様な物ばかりだ。




 今回も似た様な感じの変な物を作ったのだろう。





 取り敢えず、またあのカッコダサい説明を聞くとしよう。

 軽く拍手でもしけおけば問題ないだろうし。



「さて、今回も新しい兵器を開発したわ。一つはまだ作ってる途中だから見せられないけど………もう一つはもう完成して、空の上に打ち上げてあるわ」



「打ち上げた、だと?何を?」



「お空の彼方に……ってミディア、何を作ったんだ」




 ショウマと雪貞が珍しくも少しだけ驚きの表情を見せる。



 


 空の上に打ち上げただと?




 そんなの聞いてないぞ。



「取り敢えず、映像で見てもらうわ」




 いつもとは違い、落ち着いた口調のミディア。



 手際良く、彼女は手元に持っていたリモコンの様な装置を駆使すると、ショウマ達の目の前にモニターが現れ、映像が投影される。



「今回ワタシが開発したのは『全戦闘区域空爆多目的衛星:スプレマシー』よ」




 何だろう、急に真面目になったなぁ。




 今までは以下にも、って感じでウケを狙った装備を作っている事が多かった彼女だが今回は稀と言える程に、意外な結果になっている。




(これが何なのか質問するビープ音)



「ふふ、言われなくとも説明するわ」



「あぁ、頼む」



 ショウマとニクスのビープ音に対して、彼女は一度だけ咳払いをし、説明を始めた。




「これはこの先、予想されるワタシ達の計画の侵害になる者の排除の為に作った兵器よ。名前の通り、これは高高度空中からのレーザー空爆が可能な衛星型兵器よ」



「はっ、これは……また面白いモノを作ってくれたじゃないか…」



「お褒めの言葉有難うね。それで、今の衛星数は7つ、全衛星は現在高高度及び衛星軌道上周辺でステルスシステムによって魔力感知されない状態で停滞しているから。可能とあれば今から空爆して、王都に大打撃を与えられるけど、撃っちゃう?」




 彼女の言葉に、ショウマは首を横に振った。



 今はまだ撃ち込む必要性は無い。


 


 まだ僕にはやる事がある。




 それが済むまで、この『王都:ジブラルタル』には利用価値が存在しているのだ。




「それじゃ、僕はもう行くよ。聞きたい事は聞けたし……」



「ショウマ?何処に?」



「ちょっと疲れたから寝るわ。明日も学校だし……あ、後死体が残ってたら死体処理よろしくね」



 そう言うと、ショウマはくるりと回ると同時にその場から去ってしまう。





 その行く先は恐らく、生徒達が滞在している学生寮だろう。




 別に誰かが彼を引き止める様な事はしなかった。




 彼とて1人の人間である。





(さて、次は何人殺そうか……)



 最もここら辺は全く、お世辞にも人間とは言い難いが。

 



 ショウマは1人、夜の街を歩き学生寮へと静かに戻って行った。





 勿論、それはMasterMindではなくショウマ・フィフティールとして。


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