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主人公にはなりたくありません、モブにしてくださいお願いします

 

「ふかふかだな」



 まるで雲の上だ。実際に乗った事がある訳では無いが、自然とそう思えてしまう。




 馬車に酔ってしまい、危うく吐きかけてしまった事は想定外ではあったが、今は酔いを収まらせる為にベットに寝転がっている。





 今僕は、学校の生徒様の男子学生寮の中に居た。





 非常に清潔で整えられており、埃一つ落ちてないと思わせる程の美しさだ。





 ベットの他にも丈夫な木で作られた机や椅子、既に参考書や魔法書が収納された本棚等が設置されている。






 そして壁に設置された一つの窓からは、王都の景色を覗かせていた。





 学校側も生徒に対しての待遇は中々なモノだとショウマは実感した。




 あの後、馬車酔いしながらも王都に辿り着いた僕はすぐに指定されていた学生寮の場所に向かい、光の速さで手続きを済ませた。




 荷物は既に送られていたので、僕はさっさと部屋の中に逃げ込む様にして入り込むとそのまま倒れ込むかの様な形で、ベットに寝転がったと言う訳だ。





 その後、数十分ベットの上で横になっていた事で、多少は楽になったが。





 そして、今も僕はこうしてベットの上に寝転がり明日と言う日を楽しみに待ち侘びている。





 傍から見れば、ベットに寝転がりながら天井をただじぃーと見つめているだけの変な人だが。






 異世界の魔法学校ともなると実家がボンボンな奴や主人公の様な奴を下に見て変な程に馬鹿にする又は罵倒する系の奴、他にもツンデレだとかラッキースケベ担当とか。





 またこう言う系でよく見るのは、こう言った感じだ。





 気弱だけどめちゃくちゃ可愛くて謎に強い力を持っている女の子とか。

 



 何故か分からないけど銀髪だったりだとか、他にも悪い組織とかに操られちゃう人とか。




 性格が絵に書いた様なお嬢様キャラで口調も明らかにおかしい人とか。




 優しい又はナヨナヨした感じを出して、メガネとか掛けている裏切り系先生とか。






 これぐらいが、簡単な一例だろう。勿論、他にもあるだろうけど僕には関係の無い事だ。





 僕は表向きは普通の群衆の一人として、簡単に言わば背景の人間、モブEぐらいの人間として過ごしていくつもりだ。






 変に転生時に受け取ったチート使って何かやっちゃいましたか感を出しながら無双したりだとか、世界を救う勇者になったりだとか、学園の大会とかで優勝する気も無い。





 僕が本領発揮するのは表で暴れ回るのではなく、暗躍するかの様な裏の顔。






 言わば自らが闇の世界の人間となり、完全に闇へと染まる時だ。

 闇から全ての糸を引き、時が満ちる時に全てを掌握する。





 元を辿れば、この王都に来た目的だってこの世界掌握の為だと言っても過言ではなかった。




 それに、掌握掌握と言っているが、僕にと掌握する以外に楽しむ事だってある。




 僕は前世では運が非常に悪かった。学校では何事も思う様にはいかなかった。




 平穏な学校生活は僕のささやかな祈りであり願いだ。ゆっくりと誰にも邪魔される事なく、平和で安穏の学校生活を送りたいと僕は切に願っている。




 モブみたいな僕なら、普通に平穏な学校生活を送れるだろうと信じている。



 と言うか信じたい。



 信じないと、僕の自信が消える。ただでさえマイナス思考な所は根本的に変わっていないので、そこだけは自分に言い聞かせるしかなかった。





 僕は日陰者として平和に過ごしておきたい。異世界系ラノベの主人公みたいな奴は適当にどこかで暴れておいてくれ。




 僕は平和に過ごしたいの。




 可愛い女の子達とキャッキャウフフしたい主人公系のキャラはどっかに消えておいてほしい。




 別に彼女作る気無いから。それに簡単に作りたいと思っても、作れないから。


 


 言う程、簡単に惚れないから。




 よくある盗賊とかゴロツキとかモンスターから助けたり、不良生徒に絡まれてる所を助けるってのがあるけど普通はあんな事起こる事なんて稀だし、仮に起こって助けた所で惚れられる可能性は低いと思う。




 なので、こう言う展開は僕は望まない。別に起こってほしいとも思った事ないから。(ただの僻み)




 それっぽいヤツに起こっておけば良い。それっぽいヤツに起こって、適当に仲良くしておけば良い。




 僕は陰キャとして、モブとして、無個性者として平穏で誰にも阻害されない様な学校生活を送る。




 そして裏から掌握としての計画を進め、世界を破壊していく。




 この王都に来た本当の目的は、その破壊計画の前座に過ぎないのだ。



 まずは世界相手に喧嘩を売る為の見せしめにこの王都を焼き尽くす、と言った所だろうか。





「取り敢えず、明日から学校か…」



「浮かない顔だね、どうしたよ?」



 気が付いたら、ベットにヴェイザーが座り込んでいた。



 僕はベットで寝転がっていると言うのに、彼女ときたら部屋に来るなり、ベットに座り込み惜しみなく己の肉体と肌を見せつけてくる。




 元より露出の多い服装を好むのが彼女だ。自然と妖艶な肉体が顕になってしまうのは仕方ない事ではあるのだが。



 彼女の薄めの褐色肌、豊満な胸、非常に魅惑的で美しい腰周りに肉付きの良い太腿や尻。





 これ以上の褒め言葉が出てこないぐらいだ。




 しかし、本当に美しい。間違いなく、誰が見ても美人と呼べる程の美しさと可憐さだ。

 これでまだ18歳と言うのがまだ、強い驚きを覚えさせられる。

 


 本当に18歳か?

 



 18にしては美し過ぎると思うが。





 しかし彼女の美しさに偽りは存在しておらず、彼女は正に美しく咲く、一輪の花と言った所だ。

 



 その妖艶で強い色気を漂わせる肉付きの良い肉体と、魅惑的で美しさを増させる表情に思わず、彼女が美しいと言う感情が駆り立てられる。




「どうやって入ったの?」



「私は転移魔法だって使えるんだよ、アンタのいる所なんて行くのは簡単さ」



「そりゃ分かってるよ。それで、要件は?」



 ショウマの目付きが一瞬で切り替わった。会話を傍受されぬ為に、ショウマは周囲一帯に素早く神経を尖らせ、自分達を見る気配が存在しないかどうかを確認する。


(反応無し、問題ないな…)



「報告、ミディアとジャックがもうこの王都地下に組織用の施設を建造したわ。後で場所教えるから…」



「次は?」



「ショウマ、アンタの行く学校あるでしょ?」



「あぁ、巷では『イージス魔法学校』と呼ばれている」



「実力者揃いよ、今年の新入生も勿論上級生もね…」



「甘く見るなよ、ヴェイザー。我がこんな下衆共に呆気なく負けるとでも思っているのか?」



「いいや、思った事無いね。アンタに勝てる奴なんて……まぁこの王都なら分からないけど」



「それもまた酔狂な事さ。先は見据えているつもりだ」



「そう、ならもう話は終わりよ……あ、ショウマ。アンタ今疲れてる?」



 うん、疲れてる。


 僕もう酔っちゃったし、新しい環境にも全く慣れないよ。


 今だけ、か弱い弟ムーブかましても怒られないよね?



 


「うん、疲れてる。慰めて?」



「はいよ、()()どっちで慰めてほしい?」



「えぇ~と、両方で」



「逢瀬のままに、MasterMind殿…」



 少し卑猥な事を考えた人、手を上げた方が良いと思うよ。



 残念だけど、期待した人には申し訳ないのだがそう言う感じの展開ではありません。



 まだ早い。これ以上は完全に無駄になる。



 ◇◇



「よぉ~しよし、いい子いい子。お姉さんが膝枕と頭撫で撫てとほっぺにキスで癒してあげよう」




 ―――あ~最高!





 いつの時もこの瞬間は最高の一言に限る。



 ヴェイザーに膝枕してもらいながら、頭撫で撫で、そしてほっぺと額に優しくキスしてくれる。



「頑張れ頑張れぇ~ショウマ、アンタなら出来るさ」



「あぁ、少しばかり頑張ってみるとするよ……」



 傍から見れば、微笑ましい光景だろう。




 年上のお姉さんに膝枕してもらいながら、頭撫で撫でしてくれると言う。

 更にはほっぺにキスまでしてくれると言う、最高の展開だ。






 あれ?



 ちょっと待って。



(これ、僕が主人公ルートに行ってるゥゥゥゥゥゥゥう!!)


 



 敢えて言おう、主人公にはなりたくない。モブにしてくださいお願いします。


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